声をころして
男の子のおはなしです。
夕方にちかいころ。
ぼくがおべんきょうをしていると、カーテンごしにさしこむお日さまの光についうとうとしていた。
そんなぼくのあたまの上に、シオンがとんできた。
そういえば、今のじかんはシオンがカゴからでてあそぶじかんだった。
ぼくのあたまの上で、シオンはもぞもぞと動いておちつけるところをさがす。
そして、よいしょと羽をやすめて、ぼくといっしょにおひるねをすることにしたみたいだった。
シオンをびっくりさせないように、ぼくは机のうえにあたまを休めた。
そしてシオンといっしょに、ぼくは夢をみる。
まずさいしょに見えたのはひろい森だった。
たくさんの木とそしてやわらかい光がおだやかにさしこむ森のせかい、
そこを女の子と2匹のとりたちがたびをしていた。
そのすがたを見て、ぼくは「ここにいるよ」とさけびたかった。
なんでさけばないといけないのか、ぼくは分からなかった。
だけどそうせずにはいられなかった。
女の子に近づこうと、ぼくは夢のなかでもがいた。
だけどぼくの体はみうごきすらできなくて、とても悲しかった。
あ。
もうすぐ夢からさめてしまう、という予感がした。
だからぼくは、さけべないと分かっていてもさけんだ。
「かならず! かならずチカをたすけにいくから!」
夢からさめると、女の子のかおも、なまえもおもいだせなくて。
ぼくは歯をくいしばって、なみだをこらえた。




