声をあげて
「ぼくはこれからどうすればいい?」
男の子は不安げに男の人をみあげます。
なにもしんぱいいらないよと、男の人はやさしく男の子のかみをなでました。
「まずは、命を与えてくださった神様に感謝すること」
「女の子やお母さん、大切な家族を愛し続けること。もちろん鳥さんたちもね」
「これから出会う人たちに優しくすること、嫌なことをする人にも優しくすること」
「自分ができることを諦めずにしっかりやること」
それをしっかりやっていくんだよ、と自分のことばをかみしめるように男の人はいいます。
「そうやってがんばっても、うまくいかなかったらどうすればいいの?」
とっても悲しいことがあって、なにもかもがいやになったとしたらと、男の子はたずねます。
「そういう時はね、君を愛してくれる神様と家族に助けてって言うんだ」
君のたすけては、遠くはなれていてもかならず聞いてもらえるからね。
聞こえないなんてことはないんだよ。
だから、つらい時にひとりぼっちになってはぜったいだめ。
おおごえで助けを叫ぶんだ。
「君は……どんなときでも孤独なんかじゃないんだよ」
男の人はしずかに、男の子にも自分にも言いきかせるのでした。




