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24. アン母の事情③

お待たせしました。お花畑ヒロイン、アンのお母さん回です。

ちょっと夫婦生活に軽く触れるところがあるので(ほんとに軽く)、苦手な人はご注意ください


「レァケ奥様、お茶が入りました。」

「ありがとう、 カレンさん。ちょうどヨハンもお昼寝しているし、話し相手になってもらえないかしら。」


学園を卒業してから私は、グリュックス王国に渡って親友のレァケさんの専属侍女をさせてもらっている。

レァケさんのご実家は、お兄様が1人に妹が2人。人手が増えるのが有り難かったらしく、かつ婚家にまでついていける侍女が老齢の乳母くらいだったので、平民出身の異国人である私も割とすんなり受け入れられたのだ。


「最近、現男爵(お義父様)の体調が思わしくないみたいで、次期男爵(あの人)が男爵家引き継ぎのために経営や宮廷勤めが忙しくなってきたみたいで、なかなかお話する機会がないのよね」


ぽつりと呟くレァケさん。全く、こんな可憐で明るくて素敵な人を蔑ろにするなんて、次期男爵(若様)は何を考えているんだ。

話をする時間も取れないなんてこと、そうそうないだろうに。

まぁ、プレッシャーに弱くて小心者のくせに、見栄っ張りなところがあるから、レァケさんにいっぱいいっぱいなところを見られたくないだけだろうけど。


「私でよければ何時でも話し相手になりますよ。あ、仕事の時間を調整しながらになりますが。何か悩みがあれば遠慮せずに言ってくださいね。」

「ありがとうカレンさん。あなたがグリュックス王国に一緒に来てくれて、本当に心強いわ。専属侍女になりたい、なんてお願いされた時はびっくりしてしまったけれど。」

「懐かしいですね。あれからもう何年経ったんでしょう。」

「うふふ、そうね。カレンさんも何かあれば、私になんでも言ってちょうだいね。」





「カレンさん、レァケさんの様子どうでした?最近元気がないので、みんな心配しているんです」

レァケさんの部屋を退出した後、お屋敷のメイドや侍女仲間に話しかけられた。


「そうですね。やっぱりちょっと元気がないみたいです。何か悩んでいるみたいなんですが …。」


そう、最近のレァケさんは元気がない。お世継ぎのヨハン坊っちゃまを産んでから、何か物思いに耽ることが多くなった気がする。


「じゃぁ、晩御飯はレァケさんの好きなものを出すように、厨房に言ってきますね。」


明るくて気さくなレァケさんは、屋敷の使用人にも誠意を持って接してくれるのでメイドや侍女たちから人気がある。

正直、現男爵(旦那様)次期男爵(若様)は私たちをいないものとして多いので、なおさらだ。まぁ、古くから続く由緒正しい貴族では珍しいことでもない。



◇◇

ある夜、なんとなく眠れなくて厨房でお茶を淹れて飲もうと廊下を歩いていたら、奥様の声が聞こえてきた。


「……………やっぱり私には……………。もう耐えられない………………。」


そっと声のする方に歩いてみるちと、厨房に続く食堂の端で、レァケさんが膝を抱えて泣いていた。」


「レァケさん?何しているんですか?どうしたんですか泣いておられるんですか?」

「カレンさん。私、わたし…」


とりあえずここで長居するわけにもいかないので、お茶をいれてレァケさんを部屋まで送り届ける。


『夫婦の生活が少し、わたしには合わないみたいで…』


お茶を飲んで少し落ち着いたレァケさんが、泣き腫らした目でぽつぽつ話してくれた。しかも隣国語。私にとっての母国語で。


『ふふ、こっちの言葉の方が、カレンさんと本音で話せる気がして。次期男爵(あの人)に万が一聞かれても、わからないでしょうし』


若様、もしかして隣国語が苦手なのか?


『経営補佐や社交については、大変だけど慣れてきたのよ。お世継ぎを産んで、貴族の義務も果たしましたし。』

『語学の腕を買われているからお仕事はやりがいがあるのだけど』

『その…、ベッドでのことが…あんなことするなんて知らなくて…………子どもを産んでもまだ続くのが辛いのよ』



なんでも、この国の貴族令嬢は純粋無垢であることが良しとされているので、閨教育がほとんどされないことが多いんだとか。

そしていざ結婚してから衝撃を受けて、塞ぎ込んでしまう令嬢も少なくない。


『その、もしかして次期男爵(若様)に何か変なことを強要されているのでしょうか…』


若様、もしかして変な青壁があるのか…?あまり知りたくないけど。


『えぇと、その、普通なんだと…思うけど…あの。月のものがない日は基本的に求められてしまうので、ちょっと…その精神的にも肉体的にも辛くて。』


顔を真っ赤にして涙目になりながら話すレァケさん。結婚してお世継ぎを産んでもまだまだ初心な少女のよう。


『えっと、ベッドの上ではお話する機会はないのでしょうか?その、日にちを減らしてもらうとか』


『えぇ、あまりお話する余裕は私にはないですし、その後すぐに眠ってしまわれるのであまり会話はないのよ』


寂しそうに笑うレァケさん。やることやるのに会話がないって…。そりゃぁ思い悩むよね。


『それでね、カレン。ちょっと考えていることがあるんだけど』


アン母回、もう1話続きます!すみません。

その後はセルフ断罪からのサイレント離脱パーティの続きを投稿しますね

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