その14
「うぉぉぉぉぉーーー!!!」
「ドラー!」
「ドララー!」
「うわぁぁぁーーー!!!」
戦いは激しさを増していった。
ドラゴンの火炎のブレスが吹き荒れるフロアで俺たちは地獄を味わっていた。
「サイキックパワー!」
「ドラァ!」
「ぐっ、早い!」
キツカちゃんの技を軽く回避するヤベ―オブドラゴン。
こいつらは巨体にもかかわらず素早さもある。
まさに最強の生物といったところか。
「まずは動きを止めようクレト!」
「そうだなぼっくん」
クレトくんとぼっくんがドラゴンの動きを止めるために駆けだした。
「ドラー!!!」
そんな二人にヤベ―オブドラゴンが爪を振りかざす。
しかし、ぼっくんはその爪を盾で受け止め、そしてその隙をついてクレトくんが振り下ろされたドラゴンの腕を足場に駆け上がる。
「無双アタック!」
そして一気にドラゴンの頭までジャンプして必殺技をぶち込んだ。
「ギャォォ!」
ヤベ―オブドラゴンはその一撃でひるむ。
「もらった!」
動きが止まった瞬間を狙ってキツカちゃんが追撃する。
「ドラッァァァ!?」
大きな火球の爆発をくらいヤベ―オブドラゴンは大きくのけぞった。
相当なダメージが入ったように見える。
「やったか!?」
「やったか!?」
「やったか!?」
「やったか!?」
「やったか!?」
「ちょっみなさん!?」
ザマァくんを除いて俺を含む全員がおなじみの台詞をくちにした。
「ドラァ……」
やはりというかまだ死んでなかった。
「ドララァ!」
「ぐっ、強い……!」
一方でザマァくん、俺、ぱっくんは強い方のドラゴンを相手にしていた。
「ぱっくん目とか狙えない?」」
「無茶言わないでよ!」
使えねぇ……。
「ドララァ……!」
「二人とも、ブレスが来ます!」
ザマァくんの呼びかけに俺たちは瞬時に反応する。
お互い別の方向へ回避する。
「そぅーーーら!」
そしてよけながら矢を射るぱっくん。
次々とドラゴンの頭にヒットしていく。
「今だ!」
「はい!」
ドラゴンの注意をぱっくんが引き付けている間に、ザマァくんが光の剣で縦に回転しながら斬撃を繰り出す。
くるくる回りながら斬り裂き進んでいく。
「ギャォォォォォ!?」
こっちもかなりのダメージを与えている、
勝てる……勝てるんだ……!。
こちらが優勢になってきた。
みんなの顔にもまだ余裕が見える。
行ける。
そう思った時だった。
天井からドラゴンが降ってきた。
「……えっ」
そのつぶやきは誰のものだったか、あるいは全員同じことを口にしたのか。
あまりの事態に脳が追いついて行かない。
わかっているのはもう、ダメなんだということだけだった。
「どうして何もないところから急にドラゴンが現れるんだ!?」
「そんなの……僕が知るわけないだろ!」
さっきまでの優勢が嘘のように逆転していく。
ぼっくんもクレトくんも混乱状態のようだ。
それは俺たちも同じだった。
「逃げようおっさん!」
「逃げるって……あんなのから無理だろ!」
もはやドラゴン3体を相手になす術はない。
戦うことも、逃げることも。
「使うしか……ないのか?」
俺は背中に背負った例の兵器を取り出す。
これを使えばこの場では勝利できるだろう。
だが、この先のことを思えばこそとって置いたものだった。
「……まってくださいおっさん」
「ザマァくん……?」
「俺が時間を稼ぎます……その隙にみんなを連れて逃げてください」
「何を言って……」
「みんなといた日々……本当に楽しかったです」
「バカ言ってないでさぁ……!」
「さようなら、おっさん」
そう、別れの言葉を言い残してザマァくんは3体のドラゴンへと駆けだした。
「ザマァくーーーーーん!!!!」
手を伸ばすが、もう彼には届かない。
友が死ぬのを見ていることしか出来ないのか―――ッ。
その時だった。
俺は気づいてしまったのだ。
ドラゴン3体分の重みで地面に亀裂が入っていることを。
「ザマァくん!中央にドラゴンを引き付けて!」
「えっ……!」
俺の声が届いたのか、顔をそっちへ向けるザマァくん。
「そういう……ことですか!」
俺の意図をくみ取ってくれたのか急いで方向転換をする。
「ぼっくん!クレトくん!キツカちゃん!ぱっくん!」
「応ッ!」
俺のその一声でみんなにも伝わったらしい。
「おっさん!いまです!」
「ドラァ!」
「ドララァ!」
「どらー!」
3体のドラゴンが亀裂のある中央に差し迫る。
「いっけぇぇぇぇぇーーー!」
俺たち5人の必殺技を地面へとありったけの力でぶつける。
そして、亀裂はさらに大きく広がり、そこへドラゴンがやってきた。
「ギャオオオオオ!?」
「ギャオオオオオ!?」
「ぎゃおおおおおお!?」
その地面を踏んだドラゴンたちは重みで地面が割れ、大きな穴が開く。
その穴に吸い込まれるように3体のドラゴンは落下していった。
いくらドラゴンと言えどこの高さから床ペロすればひとたまりもないだろう。
「勝ったのか……?」
「ああ……そうだよ!」
「ワーワー!」
俺たちは奇跡的な勝利に雄叫びを上げた。
まさに地獄のような戦闘を生き残ったのだ。




