表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
新世界2 サガ・フロム・アビス
59/122

その12


 冒険者ギルド本部の一室に俺とぼっくんはやってきていた。


「久しぶりだなぼっくん。となりの方は……」


「おっさんと申します、ギルド長」


 6階での出来事―――、ヤベヒーモスの件を話すためだ。


「そうか、初めましてだな。私はじっちゃん。知ってのとおりギルド長をやっている」


 目の前にいる老齢の男性は冒険者ギルドの最高責任者だった。


 俺たちは事の顛末を説明する。





「なるほど、そんなことがあったとは……」


「はい。私はおっさんのパーティーに入り原因の究明を急ぐつもりです」


「そうか、よろしく頼むぞ」


「お任せください」


 用はもうすんだので部屋から出ようとドアノブに手をかける。


「ああ、ちょっと待ちたまえ」


 だがギルド長の声でそれを止める。


 そしてギルド長は何かを机から取り出し俺に渡してきた。

それは何やら模様のついたカードだった。


「これは?」


「ウエポンショップゆきのふは知っているな?そこの店主に持っていけばわかるはずだ」


「は、はあ」


 特に説明が無かったが

ぼっちゃんの店ならそこで聞けばいいか。


 俺はカードを受け取って今度こそ部屋を出た。



 


 

「らっしゃい……なんだおっさんか」


「なんだってなんだよ」


 ギルド長に頼まれたことを果たすため

俺はぼっちゃんの店にやってきた。


 懐からカードを取り出す。


「……ッ」


 すると、それを目にしたぼっちゃんが少し驚いたような顔をした。


「ぼっちゃん……?」


「……そうか、そこまでのことが起こったのか」


 俺はカードをぼっちゃんに渡す。


 ぼっちゃんはそれを持って店の奥に行ってしまった。

いったいどうしたというんだろうか。


 そしてしばらくしてこっちに戻ってきた。


「ほら、これをもってけ」


 その言葉と共にテーブルの上に置いたのは

鉄や鋼といった素材とは違う、オーパーツのような材質で出来た剣だった。


「何この剣?」


「一発限りの最終兵器だ。それを起動させれば巨大な光の剣が発現する……それこそ街ひとつ消し飛ぶ威力のな」


「え、ええ!?」


 渡してきたのは人間には手の余る強大な力だった。

こんな危険なものがアビスの町の中に存在していたなんて。


「あのカードな、これを保管するための金庫の鍵なんだ。どうしようもねえ事態が起こった時のためにギルドから管理を頼まれていたんだ」


 そう言ってタバコを吹かすぼっちゃん。


「使いどころは考えろよ、何しろ物が物だからな」


「わ、わかったよ」


 こんな剣ひとつでそんなことができるのか。


「で、教えてくんねぇか?何があった?」


 俺はギルド長にしたような説明をぼっちゃんにした。





「……そうか」


 話を聞き終えたぼっちゃんはもう何本目になるか分からないタバコを取り出す。


「まさか……アイツが……」


 取り出したタバコに火をつけてまたそれを口にくわえる。

注意しないと聞こえないくらいの声で何かをつぶやく。


「何か知っているの?」


「……いや、ありえねぇ話だ。悪いが俺にもわからねぇ」


「だが、深淵の底に近づくほど眠っているオーパーツの力が増していく。それを見つけたのも9階だ」


 俺はもらった剣をじっと見つめる。

深淵とは、オーパーツとは。

そんな考えが頭の中をぐるぐると回っている。


「魔物を操るオーパーツなんてものも存在するかもしれねぇ」


「なるほど……」


 つまり、下層で戦える実力がある者がそこで手に入れたオーパーツを用いたかもしれないということか。


「けど、現在最強と言われているあのテンプレ騎士団でさえ8階どまりなんだ。そんな眉唾めいた代物を手に入れられる野郎はもうアビスにはいねえよ」


 なるほどそうなのか。


 ますます謎が深まるばかりだ。


 目的もはっきりしないし。

冒険者への嫌がらせだろうか。


「問題は階を移動しねえはずの魔物が上層に現れたってことだ。そんなことが可能なら2階上どころか地上にまで出てこないとも限らねえな」


「まさか、そんなことになったら……」


「ああ、町は大混乱。いや、規模によっては世界の危機だ」


 もしもの可能性ではあるが俺は戦慄する。

そんなことになればとても穏やかな生活は送ってはいられない。


「ちっ、怪我がなけりゃ俺も動けたんだがな……」


 珍しくぼっちゃんが落ち込んでいるように見えた。

彼は人に厳しく自分に甘い男であったが、責任感も人一倍強い男だった。


「俺の知り合いを呼ぼうにも全員アビスを離れちまった。後のことはおっさんたちに託すしかない」


 いつの間にやら遠くへ来たものだ。

生活のための冒険が、今では町の、ひいては世界のためになっている。


 正直、40のおっさんには重たい使命だった。


 だが、この町で過ごした日々の思い出が俺を奮い立たせる。


「フッ、任せてよ。なぜだかこういうのは得意な気がするんだ」


 それは強がりか、自信なのか、俺自身でもあいまいなものだった。


「ああ、なんだか俺もそう思うぜ」


 けれどぼっちゃんはそれが真実なのだと確信めいているようだった。


 俺はぼっちゃんと固い握手を交わし、店を後にするのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ