その12
季節は秋も終わりを迎え、ついに年末の
野球大会当日になった。
今までの練習の成果が今日試される。
俺たちはここ異世界市民球場へとやってきたのだった。
一回戦の相手はガリベンジャーズというチームらしい。
「お前ら!気を引き締めていくぞ!」
「応ッ!」
ぼっちゃんの仕切りで気合をいれた
俺たちは後攻なのでグラウンドに出る。
グラブをもって出ていこうとしたときだった。
「おいおっさん、ちょっと待て」
「何かな」
不意にぼっちゃんに呼び止められる。
何だろうか。
トイレなら一人で行ってほしいものだ。
「このチームのキャプテンはお前がやれ」
「え、なんで俺?」
意外……。
普段何かと仕切りたがりのぼっちゃんが
俺に指揮権を明け渡すというのだ。
「みんなのことを一番わかっているのはお前だからな」
「フッ、わかったよぼっちゃん」
そこまで言われちゃ断れない。
でもそういうことは大会前に言って欲しいものだ。
こうして俺たちの決戦の火ぶたが切られるのであった。
そして9回裏。
現在5対5の同点でギリギリの攻防が続いている。
なんとかこの回の攻撃で終わらせたいところだ。
「この回最初のバッターは……暮人くん!」
「まかせろ」
今日はまるで目立った活躍をしていない暮人くん。
よくそんな自信満々な態度を取り続けられるなお前。
「さあこい我利!」
「日根に僕の球が打てますかな?」
練習では彼のバッティングも悪くはなかったのだが
どうやら本番に弱いタイプのようでここまで
安打は無い。
ほんとつっかえねぇなあいつ。
「オラああああ!」
「なっ、何ィッ!」
おっと、意外にもここで捻くれ太郎が活躍。
ヒットとなり塁に出る。
ここまで彼はノーヒットだっただけに
喜びもひとしおだった。
「やっと塁に出たかアイツ」
「ゴミもたまには役に立つもんだね」
「あたりきつくありません?」
どうやらショーくんは人格者のようで
俺とぼっちゃんの共通認識にはついてこれないようだ。
「佐井ちゃん!頑張って!」
「まかせて」
ネクストバッターは佐井ちゃん。
超能力を封じられた彼女だったが
意外にも運動神経の良さと練習の成果で
安打を連発していた。
「くっ、これ以上は打たせません!」
「フン!」
「バ、バカなぁぁぁ―ッ!」
これは大きい当たりだ。
ツーベースヒットになった。
どうやら打順を考え直さなければならないようだ。
「勝ったな……」
「ああ」
もはや勝利を確信した俺たちだった。
「ぼっくん、頼んだよ!」
若干不安だが、ここぞというときにぼっくんは
強い。
ぼっくんは静かにうなずいた。
そしてバッターボックスに入っていく。
「よし!来い!」
「キー!打たせません!」
「オラぁああぁあぁ!」
「うわぁあああぁぁぁ!!!」
良い当たりだった。
安打となり、暮人くんがホームに帰ってくる。
俺たちの勝利が決まった。
「やったぁぁぁぁぁーーー!!」
「そ、そんな」
寄せ集めのつぎはぎチームだった俺たちだが
何とか一回戦を勝ち抜くことができた。
この先の戦いも油断はできない。
しかし、今は勝利の喜びをみんなと
分かち合うのであった。
けれど、この時の俺は
その後に世界の運命を決める戦いが
待ち受けるなどと思いもしなかったのだ―――。




