第十四話 転聖戦争
続々とバトオペ2に変形機体が参戦し、マクロスと化していますね。
Zを苦も無く引けたのですが、使ってて楽しすぎて気づいたらボコボコにされてます。
あとうたわれロストフラグの新イベントいい……ユズハとクオンが一緒に並ぶの泣けます。
「はっ」
知らない天井だ。
どうやら俺はベッドの上にいるらしい。
何があったのだったか。
「目が覚めたか、おっさん。いや、ここでは鴉って呼ばれてたんだったな」
思い出そうとしていると、ぬるっと誰かが顔をのぞかせた。
彼は……。
「ぼっちゃん? ……おっさんでいいよ」
そう。
彼は最初の敵にして最初の友。
永遠の腐れ縁。
「ああ。しかしまあ、あの怪我で生きてるってことは……そういうことなんだろうな」
俺の体に言及するぼっちゃん。
俺自身も疑問に思っていた。
死ぬような怪我をしてまだ生きている。
普通であるはずがない。
そして、そんな奇跡が長続きするはずもまた、ないのだろう。
「……やっぱり、俺は」
顔がうつむく。
そんな俺を労わるように、ぼっちゃんの手が俺の肩に置かれた。
「ま、今は気にすんな。色々と考えておく」
あれこいつこんな気を遣うようなやつだったっけ?
ちょっとポイント高いぞ。
「おっさん!」
そしたらまた誰かが病室に顔をのぞかせた。
「君は……シスタ」
「傷は大丈夫ですか?」
心配そうな顔で俺に近寄ってくる。
じろじろと体を見つめてきた。
「ああ。そうか、これは君が……」
「ええ。ヒーラーとしての力は折り紙付きですよ」
「知ってる」
彼女の力にあの世界の俺がどれだけ救われたことか。
すると今度は俺の手を両手で握ってきた。
「よかった……本当に会えてよかった……」
涙を流しながら積年の夢がかなったかのようなすがすがしい顔をしえていた。
ここの来るまで彼女はどんな旅をしてきたのだろう。
でも、その気持ちは本当に俺が受け取っていいものなのだろうか。
「……シスタ。俺は君と一緒にいたおっさんじゃあ―――」
俺が言葉を言い切る前に、彼女の人差し指が俺の口を押さえた。
「いえ、あなたはおっさんです。おっさんなんです」
力強い目線でそう言い切ってきた。
俺はそれに、熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「……」
それでも……俺は彼女の言葉を肯定するかどうか迷ってしまっていた。
「積もる話はあるが、今は完治させることに集中しろ」
俺の内面を知ってか知らずか、俺からシスタを引き離すぼっちゃん。
ありがたい。
「鴉さん起きたって!?」
「大丈夫ですかー!?」
「マホツさん。キツカちゃん」
またまた今度は女性2人組が現れた。
そういう流れが来ているのだろうか。
「むっ」
キツカちゃんがシスタと対峙する。
「むむっ」
シスタがうなる。
キツカちゃんとシスタの間に見えないはずの火花がスパークしている気がした。
「修羅場だな、おっさん」
「モテる男はつらいっていうか」
「は?」
ホントのことだろう?
ぼっちゃんの器量に低さには参るね……。
「まったく……どこの世界でも変わらない男だな」
「誰だ!」
何だか聞き覚えの無い声がした。
少年のような声だ。
「ふっ……」
気が付けば室内の壁にもたれかけながら腕を組んで目を瞑る黒衣の少年がいた。
誰だ。
「遅かったな、クレト」
「いちいちめんどくさいやつらに構われたからな」
あっ、捻くれ太郎! 捻くれ太郎じゃないか!
「久しぶりだね、クレトくん」
「ああ。本当に、な」
とりあえず再会? の握手をする。
なんか……伝説な気がする。
「見つめ合ってるとこわるいけど、僕もいるよ」
「ぱっくん! ぱっくん! じゃないか!」
帝国の王子がなぜこんなところに!
「ああ。今後の話し合いがしたくて呼んだんだ。クレトの超ステータスで連れてきたら一日もかからないからな」
「さすクレ」
「やれやれ、目立つのは嫌いなんだが……」
は? 黙れや捻カス。
馬車馬のように働け。
「丁度いい。とりあえず全員を集めてくれ。色々話したいことがある」
「わかった……呼んでくる」
キツカちゃんが重要人物を呼びに行ってくれた。
これから大作戦会議が始まるのだ。
「つまり……ギャークバーリは神々の力、時の力を手にしたことで、神としての資格を得た。だからこそ《転聖戦争》に出られるってわけだな」
「そんなことが現実に起こるなんてね」
この場には今、キツカちゃんマホツさん、シスタ。ぼっくんにクレトくんぼっくん、ぱっくん。
ぼっちゃんと四天王。そして通信機器越しにケイさんとおやっさんがいた。
今までのあらすじをぼっちゃんが説明していく。
ぼっちゃんが別世界の神だということも知らない人は驚いていた。
「それで……《転聖戦争》とやらは一体……」
ホームラが疑問をぶつけた。
「簡単に言うと、願いをかなえてもらう権利をかけた、神々が転生者同士を戦わせる大会だ」
疑問に答えるぼっちゃん。
「転生者というのは……この前戦ったあのニセンとかいうやつもか?」
「ああ。ギャークバーリ、あいつは時の力ってのを使って、かつて世界に存在した強者を復活させたみたいだな」
「私たち四天王が束になってもかなわないなんて……」
エンとスイが信じられないという顔をしている。
この世界だけで見れば四天王は相当な実力者だが、チート持ちに勝てるはずもない。
「当たり前だ。アイツらはチートを使う。チートは神が転生者に与える人ならざる力だ」
「生身の人型相手に古代のNBを使わねばならぬほど……か」
ホームラが低くうなった。
自らの無力さに打ちひしがれているのだろう。
「正直に言うと……お前らじゃ話にならない。ぱっくん」
少々きつい言い分に、ぱっくんは苦笑して答える。
「それは重々承知だよ。ぼっちゃん、勝機はどの程度ある?」
「……正直、よくわからない。準チート持ちがこっちには3人。あとはおっさ、鴉が不確定要素だが……さてな」
「今はあちらに分があるということか」
「まあな」
少し雰囲気が沈んでいく。
重たい空気の中、再度ぱっくんが前に出る。
「だが、負ければこの世界は終わる……やれやれ、せっかく天使を倒したってのに穏やかじゃないね」
軽い口調でそう言った。
「あとは俺たちの結束次第と言ったところか」
ぼっちゃんも後は気合だと言わんばかりだ。
「幸いこっちにはNBがある。何とか戦力の差は埋められるはずだ」
『次の襲撃までに修理が間に合えば、だがね』
おやっさんが口を出す。
機体を直すのはマホツさんやおやっさんなのだから、気が気でないのは当たり前だろう。
「それは大丈夫だな。転生者を召喚するってのは相当な数の石が必要だ。神の力を手にしたやつが戦力を補強するのにはそれなれに時間がかかるだろうさ」
『ふむ……分かった』
ぼっちゃんの言葉に一応納得したのか、それ以上の問答は無かった。
「話は以上だ。解散してくれ」
集まっていた人たちはそれぞれ散っていった。
ぱっくんとぼっちゃんと俺だけが残る。
「……この世界の未来、託していいのかい?」
「正直この世界がどうなろうとしったことじゃねえが……決着をつけるのは俺、いや俺たちの役目だ」
いつかと変わらない感じにぼっちゃんがそういいのけた。
「ありがとう」
そしたら、真摯に感謝を述べたぱっくん。
「へっ。随分殊勝なやつになったじゃないか」
「これも誰かさんのおかげかな」
「違いない」
何故か2人は俺を見て笑うのであった。
何故笑うんだい?
「鴉さんは私と一緒にいたいの!!!」
「私とです!!!」
「ちょっ、待てよ」
ニセンの襲撃から3日が経った。
今日も鴉の病室では、シスタとキツカが鴉の腕を引っ張り合っている。
その光景をマホツと画面越しにケイが呆れながら見ていた。
『なんか想像以上にややこしいことになっているわね?』
「ほんとですね」
異世界からなんやかんやあって来た、新しい仲間。
シスタのことはおぼろげにしか覚えていないケイだったが、頬が緩んでいくのがわかる。
『ああ、それはそうと、ラルカンシェルの修理は何とか終わったわよ』
「こっちも《メイガス》の修理はおおよそ。ただ、鴉さんの《プロトタイプ・ムソ―》は部品が足りず壊れたままですが」
『戦いになったら彼をあてにできないってことね』
「そうでなくても……何度も死にかけているんですから」
まるで聖母のような顔で鴉を見つめるマホツ。
『守ってあげたいって?』
茶化すようにマホツの内心を当てるケイ。
「ケイもなんだか視線が優しいですよ」
『あら? 私はいつでも優しくしてるつもりだけど?』
「はいはい。口ではあなたに敵いませんよっと」
短い間にお互いの仲はすっかり縮まっていた。
「サイキックひっぱり!」
「シャイニング指!」
「いでえええええ!? たすけ、助けてマホツさん!」
ベッドで2人の少女に引っ張られ悲鳴を上げている鴉。
「勝手にやっててください」
無慈悲に無視を決め込む2人だった。
「ニセンがやられたようだな」
「だがあの子はオーエスシリーズ最弱……」
「預言書の面汚しよ」
玉座以外何もない空間に3人の少女が浮かんでいた。
その誰もが特異な雰囲気を見に纏っている。
「集まっているようだな」
そこに老年の男性の声がする。
「ギャークバーリさま」
瞬間移動してきたギャークバーリは玉座に腰を下ろし、3人を見渡した。
「ニセンのことは残念だったが……それだけ侮れないやつらだということがわかるな?」
3人の少女は一斉に頷く。
「我らが一斉に出るというわけにはいかないのでしょうか?」
少女の1人が質問した。
「慌てるな。こちらも戦力を補強せねばならん」
「しばらくは静観すると?」
「だが、いつまでも待っているわけにもいくまい。ナ・ローが復活した今、神々もまた生まれ出でようとしている」
「そうなればライバルが増える、ということですね」
「左様」
ゆっくりと頷き、ギャークバーリが腰を上げた。
「一週間だ。ワシが時の力を完璧に使いこなし、ログボで石を稼ぐまでの時間を稼げ」
「はっ!」
仰々しく手を上げ、少女たちに命令を出した。
すると少女たちは一瞬で消え去っていく。
「行ったか……」
それを見送ったギャークバーリはどすっと腰を下ろした。
「うおおおお!!! ここがアイツの居場所か!!!」
だが、突然何もない空間に爆発が起こる。
そして現れたのは白銀のNBだった。
「なっ、どこから入った!?」
「ブックマークドライブのちょっとした応用だよ」
ギャークバーリがそのNBと対峙した瞬間、古の記憶が浮上する。
「その機体……まさか」
驚きの声を上げたのはギャークバーリだった。
「久しぶりだな。皇帝」
コックピットを開き、姿を現す青年。
「ショーか!」
無言で肯定する青年。
「オリジンが殺したと言っていたが、やはり生きていたか」
「死に際にエターナルと同化することで肉体を再生したのさ。少し時間がかかってしまったが」
「そうだとして、神側の人間に近いお前では《転聖戦争》に参加はできまい」
「ああ。だが、お前の邪魔をすることはできる」
コックピットを閉め、戦闘態勢を作り上げるショーと《エターナル》
「ほう? 十全でないお前がワシに敵うとでも?」
拳を握り、覇気を纏っていくギャークバーリ。
「あの時のことをもう忘れたのか?」
それを見てショーは挑発するようにそう言った。
「覚えているさ。魂は転生を果たしたが体には憎悪だけが残った。貴様への憎悪もだ!」
姿が消え、一瞬で肉迫する両者。
拳と拳がぶつかり合い、轟音が鳴り響く。
「ぐっ……! しばらくは付き合ってもらうぞ!」
ショーは苦し気に操縦桿を握りしめるのであった。
「っ」
「どうしたのぼっちゃん?」
「ショーのやつ……相変わらず気を遣いすぎる男だぜ」
「?」
「いや、なんでもない」
ぼっちゃんがいきなり黙り込むので、不審に思ったがなんでもないそうだ。
「それで作戦の説明だが……」
再び会議を開いた俺たち。
この場には前回、画面越しだったおやっさんとケイさんもちゃんといた。
「今回の《転聖戦争》は俺とギャークバーリの2人しか参加しない。だから面倒なルールは一切ねえ。手札がつきるまで続く文字通りの戦争だ」
静かにぼっちゃんの話しを聞く面々。
「どっちにしろやつらは俺たちを殺しに来る。戦力をかき集めて迎え撃つ、それだけだ」
「作戦って程でもない気が……」
「しっ、気にしちゃだめだよ」
キツカちゃんは気にしぃだな。
俺もだけど。
「あと、ぱっくんやおやっさんには頼みたいことがある」
「なんだい?」
「ここはいずれ戦場になる。民間人は比較的無事な帝国に避難させたい」
その話しを聞いたおやっさんは驚いた顔をしている。
「ラルカンシェルに乗せるだけ乗せろと……しかし、それでも多くは……」
「ケガ人と子ども、それに老人を優先してくれ。あぶれたやつは……最悪残りだ」
悪いな。
と、申し訳なさそうにぼっちゃんが言う。
すべての命を守れるほど、この戦いは甘くないのだ。
「なるほど……わかった。全力を尽くそう」
「助かる」
おやっさんが大きく頷く。
「オッケー。だったら四天王をここに残そう」
それを見たぱっくんが、軽々しくそう言った。
マホツさんが驚いている。
「……! 良いんですか王子?」
「構わないよ。ホームラ達もそれでいいよね?」
「はっ。我らもこの前の戦で騎士とは何たるかを真に知ることができました。たとえ祖国のためではなくとも、守るべきものがあるなら剣を振るうのが騎士だと……」
胸に手を当ててホームラがそう言った。
「俺もだ」
「ま、もう国も関係ないって」
「王国にもずいぶん世話になりましたからね」
エン、カ、スイも同じように答えた。
彼らこそ騎士、その称号に相応しい。
そう思った。
「ありがとうございます! みなさん!」
深々と頭を下げるマホツさん。
「新たに騎士部隊を編成する。……こちらは我らに任せよ」
そう言って俺に握手を求めてきたホームラ。
「ああ。……ホームラ。ここまで本当に世話になったな」
「フッ。あの時うぬを仲間にした我の目に狂いは無かった。そなたこそ真の勇者よ」
思えばホームラに誘われて戦場に立ったのだ。
俺が彼を助け、彼が俺を助けなければ始まらなかった物語だ。
強く、感謝を込めて握手を交わす。
「生きろよ」
「誰に言っている」
不敵に笑う彼の顔は、まさに四天王最強に相応しいものだった。
会議室を後にする四天王たち。
「っと、もしものための王国側の守りだが……」
「ラルカンシェルには一応ナローズがいるから。向こうで何かあっても大丈夫よ」
ケイさんがそう説明する。
ならいいな!
「ええ。信じていますよ」
なぜかぼっくんも太鼓判を押していた。
「さて……敵が仕掛けてくるまで、チームとして連携を高めろ。おっさんは休んでおけよ」
「応ッ!!!」
本当の最終決戦。
俺の体がどこまで持つか分からない。
それでも、アイツと決着をつけなければならないと思った。
けど、ここにいるのは最高の仲間たち。
一切の恐怖心は無かった。
いつか来る別れも、この時の俺は忘れることができるのであった。




