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第71話 悶々とする誠と不死人の帰宅

 深夜と呼ぶには遅く、早朝と呼ぶにはまだ早い時間だった。


 誠は慣れないワインを飲み過ぎての不快感から目覚めて足を寮の玄関先に向けてそこで一人思い悩んでいた。


「昨日は……酷い一日だったな。僕が独占できないと知ったとたんにかえでさんは……アレは完全に不機嫌なんだろうな。顔には全然そう見えないし笑顔は常に向けているけど……僕にあんなにワインを勧めて来るなんてこれまでなかったもんな。それによって来るたびに『ちょっと外に出ないか』とか言ってきて……」


 そんな独り言を言いながら誠は顔を赤らめた。かえでの狙いは確実に分かっている。かえでがそう言うたびに運転手を務めるリンが立ち上がったりホテルサイトを誠から見えるように検索していたりするのが見えていた。


「確かにあんな人……僕にはもったいないくらいの人に好きになられるのは僕としては本当にうれしい事なんだけど……あの人変態だからな。僕は犯罪者にはなりたくない。かえでさんは貴族だからリンさんが手を回して揉み消してくれるかもしれないけど僕は間違いなく牢屋行きだよ。もしリンさんが僕の分まで手を回してくれたとしたらそれこそかえでさんに逆らえなくなる……本当に『女性用アダルトグッズ』として生きていかないといけない人生が待ち構えている……隊長はそれが男の生き方だというけど……それはそれで……」


 誠は完璧な美女にして犯罪レベルの変態であるかえでについてぶつぶつとつぶやきながら玄関先の廊下を行ったり来たりしていた。


「おう……のろけとは……良い身分だな……俺の舎弟の癖に……生意気だ……」


 突然、玄関先で思いもしない人の声を聴いて誠は飛び上がって驚いた。


「誰ですか!こんな時間にこんな場所で!」


 そう言いながら誠はそのまま玄関の上がり框まで歩み寄った。


 そこには腹から血を流した島田がニヤ付きながら誠を見上げて倒れていた。


「島田先輩!どうしたんです!その怪我!今すぐ救急車を呼ばないと!」


 慌てて部屋に向かおうとする誠に島田は飛びついて押しとどめた。


「騒ぎにはしたくねえ……内臓がおかしなことになってるのは確かだが、傷はもう塞がってるよ。俺は不死身なんだぜ?それより昨日日野少佐とどこまで行った?どうせ渡辺大尉がその様子をビデオ撮影してくれてるんだろ?その動画、俺にもくれや」


 島田はそう言って誠にしがみついてニヤリと笑った。ただ、その顔色は青ざめていてまるで死人のように誠には見えた。


「そんなことはどうでもいいんです!確かに普通のお医者さんじゃどうにもならないですよね!ひよこちゃんを呼びます!先輩がこんなになってるって言えば今からでも来てくれます!とりあえず部屋まで僕が背負っていきますので!」


 そう言って誠は大柄な島田を背負った。


「すまねえな……バイクはあとでうちの兵隊にとりに行かせる……」


「バイクの事なんかどうでもいいですから!とりあえず奥の島田先輩の部屋まで!」


 そう言いながら朦朧とした意識の島田を背負い、誠は一回一番奥のこの寮では一番広い部屋と言うことになっている島田の部屋を目指した。

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