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希望の光10

ほどなくディスプレイに文字が浮き上がった。


『いたい

いたい


へびがかみつく

おにいちゃん

いたい

なんでどけてくれないの』


絵本に載った童謡のように、平易かつ難解な文章だった。

痛い、というのはわかる。コメカミに穴を空けられてコードを刺されて、痛がらない生き物はいない。

『おにいちゃん』が政直を指しているのは汲み取れたが(オジサンと呼ばれたくない微妙な年頃の政直はちょっとだけ嬉しかった)、『へびがかみつく』を『コードが刺さる』に訳すのには一時の間を要した。とはいえ、予想していたより翻訳器は仕事をしてくれていた。


政直は抱きしめる手に僅かに力を込めながらキーボードに手をかけた。

『ごめんね

きみといしのそつうをやりとりするには……』

そこまで打って、デリートボタンを連打してやり直すことにした。翻訳器の能力からして、易しい言葉を使わなければ誤訳が発生する恐れがある。


『ごめん

きみとはなしするには

ほかにほうほうがない』

平仮名しか表示できないもどかしさに辟易しながら、政直は決定ボタンを押した。


メッセンジャーが不思議そうに目を見開いて、政直のことを見つめた。

数人かの科学者たちがこの子とのコンタクトを試みたようだが、話し相手を認識して対話するのは初めてなのではないかと政直は思った。

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