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希望の光9
(有働さん、あんたって人は……
マジで頭いかれてんのか、それとも……)
政直の思索は正解と呼べそうなものに至ろうとしていた。有働の矛盾だらけ行動から合理的な理由を読み解くとしたら、考えられそうなことはたった一つしかない。だがそれは、この悪党をさんざん軽蔑してきた政直を裏切るものだった。政直にとって極めて不愉快で都合の悪い結論だった。
そんなわけで、政直は目の前の作業に集中することにした。逃げてるわけじゃない、今すぐやらなきゃいけないのはこっちなんだ…と、自分自身に自らを繕った。
『翻訳器』は、呆れ果てるほど原始的な造りだった。
子供のコメカミに繋がれたコードは脳波データをAIに送り、そこで暗号解析をする。解析された言語が、壁にかけられた大型ディスプレイに表示される。
つまり、モノは嘘発見器と暗号解読ソフトを組み合わせたものに過ぎない。とあれ、花に土地を追われ資材の限られた中ではこんなものでも上等な部類だろう。
政直は手元の綿埃の詰まったキーボードを打つことで、自分からメッセンジャーに語りかけることも可能だ。とあれこの子特有の言語解析がどれほど進んでいるやらわからない状況では、咀嚼具合も推して知るべしといったところだ。




