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メッセンジャー3
部屋をこっそり覗くと、人がいた。二人いたが、政直が考えたのは「これで道を聞けるかもしれない」という、今までの流れからすれば極めて当然のことではなかった。
一人は有働と同じく白衣を着ていた。おそらく研究員のようだが、机に突っ伏して眠っている。道を聞けると考えられなかったのは、起こしたら悪いからではなかった。
政直は部屋に帰ることも忘れるほど奇妙なものに遭遇していた。花との生存競争のことも、政府との駆け引きも、ナオミとの関係のことも、今まで政直の頭の中を全てを占めていたものを、何もかもを一時的にだが脳の隅に追いやられてしまった。
研究員の他にいたのは、幼い女の子だった。まだ10才になるかならないかの、年端のいかない子供だった。
その子は拘束されていた。額、首、下腕部、腰、両脚と椅子に丈夫そうな拘束具をかけられていた。
銀色のプラチナブロンドの髪が床の近くまで伸び、灰色の虚ろな瞳は見開いたまま瞬きもしない。
少女の見た目も奇妙だったが、それよりも奇妙だったのは彼女のされていた仕打ちだった。




