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東京ドーム居住区9
「あたしのこと、ヘンだと思ってるんでしょ?」
視線を逸らしたまま、ナオミは肩を震わせていた。
「本当は気が弱いくせして、強がって、そのくせメッキ剥がれて……」
「ヘンだとは思わないよ。興味はあるけど」
今、獣のような目をしているんだろうなと政直は自覚していた。しかし、止められなかった。
「今の方が、ずっと好感が持てるよ。どうして今まで、わざと嫌な女を演じてたのかがわかんないくらいだ」
全くもって勿体ない話だ。元の性格がアレなのを隠すならまだしも、こんなに可愛らしい心根を隠すなんて意味が分からない。
「……こういうのが嫌だったからですよ」
ナオミは泣き出しそうになった。
「あたし、昔は凄く弱い子だった。厳しく躾られて、大人しい良い子になるよう過ごして、でもそうしたらこんな風に男の人にからかわれたんです。
本当は嫌なのに、逆らえなくて。そんなときに香苗が…花に殺された友達なんだけど、その子が助けてくれて。あたしなんかより百倍美人で、だけど頭も良くて強くて、口数が多い方じゃないのに一緒にいると友達がどんどん集まってきて…香苗は、あたしのヒーローだった。
香苗がいなくなった時、今度はあたしが香苗にならないといけないって思った。香苗がいなくても、強く生きて行かなきゃって思った。
でも…これじゃ高校のときと同じに逆戻りだ……」




