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小さな花2

「げんきな…花?」

花怜の小さな頭脳は、そんな名前の花は存在しないことを知っている。


「そうだ。元気な花だ。

こいつはな、裏路地のビルの陰で、コンクリートの地面から生えてたんだ。こんなにしっかりと花をつけてな。感心したから、パパは花怜のお友達に認定することにしたんだ」


得意気に胸を張る清一だが、花怜の小さな眼は少しだけきつくなった。

「おとうさん、いけないんだよ。

お花はね、生えてるとこに元気に咲いてるのが一番いいんだよ…」


そこまで言って、花怜ははたと口を止めた。


父親の不器用な愛情に茶々を入れてしまったことを、子供心ながらに後悔した。

花怜は、そういう子供だった。


清一はふっと笑って、花怜の頭を優しく撫でた。

彼にはわかっている。この子は、頭が良すぎる。

娘のベッドの傍らに置かれた厚い本。普通ならランドセルを背負いはじめる年令なのに、もうランドセルがいらなくなるような年令向けの本を読んでいる。

清一が押し付けたものではない。花怜の外出許可の日のこと、書店に連れていったはいいものの「流行ってる少女マンガって…何だろう?」と頭を抱えた父親を尻目に、娘ときたら興味を示した本を既に手にしていた。


『地球と環境について』


いくら花怜だって、背伸びしすぎだろ…という清一の懸念をよそに、電子辞書の隣に置かれた本の栞は真ん中あたりに刺さっている。

この子は、この年令で人間と自然の正しい関係の何たるやを習得しはじめているのだ。

だから、今のような生意気がつい口からこぼれたのだ。




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