第51話:アーマード・コンフリクト
「……あれ? 花鈴さん、右腕のアーマーはどうしたんですか?」
梓ちゃんに言われてあたしは思い出す。
「ああ、そうだった。右腕を切断されちゃって、アーマーだけ回収したんだった」
あたしはそう言いつつアイテムボックスから右腕のアーマーを取り出して装着する。
「え? 切断された……?」
梓ちゃんが青ざめている。あたしは慌ててフォローする。
「だ、大丈夫だよ!! リペアキットで治ったから!!」
だがあたしの心配は見当違いだったようで、梓ちゃんは俯いて呟く。
「ナグモさんが言ってましたよね……人間とロボットが戦っていると」
そこまで言うと梓ちゃんは顔をあげて、まるでその勢いで言葉を発した。
「僕達の存在ってなんなんですかね? 人間なんですかね? ロボットなんですかね?」
「「「……」」」
この質問に即答できるものは誰もいなかった。ナグモさんと話してから梓ちゃんの様子がおかしく感じたのは、この疑問を抱えていたのか。
あたしたちが何も言えないでいると、梓ちゃんは泣きそうな顔、いや泣いているけど涙の出せない目つき。くるりと背を向けて全力で南の方向に走り出した。
「梓ちゃん!!」
「「梓!!」」
「「梓さん!!」」
みんなの声が届かないのか、届いたけど止まる理由がないのか、そのまま走っていった。
「私が話し合って連れ戻してきます」
真夕ちゃんが立候補するが、綾乃ちゃんがそれを止めた。
「いえ、わたくしが行きますわ。この中で移動速度が一番早いのはわたくしですし……」
綾乃ちゃんは深刻な表情をしつつ答える。恐らく先ほどの梓ちゃんの言葉になんと声をかけるべきか考えているのだろう。
「一人で平気か? あたいも行こうか?」
恭子ちゃんが心配そうにしている。一番年上なので責任感を感じているのかもしれない。
「……いえ、みなさんはここで防衛をしていて下さい。ナグモさんに見せて頂いた地図では、街から砦までの間で南の方には何もなかったはず。敵が来ることはないでしょう」
そんなことを話していたら、西側の方で太陽の光が反射した。そちらに目を向けると敵が団体で向かってきている。街を襲撃する部隊であろう。こんなタイミングで……。
「くっ」
綾乃ちゃんが苦し気に声をあげる。梓ちゃんも追いかけないといけないのに、敵も来てしまった。
「綾乃!! いけや!!」
「そうだぜ。ここはあたいたちに任しておけ。一匹も通さねえよ」
佳那子ちゃんと恭子ちゃんが綾乃ちゃんの背を押す。
「……直ぐに戻りますから持ちこたえて下さいね」
そう言うと綾乃ちゃんは梓ちゃんを追って、南の方向に全速力で走り始めた。




