第40話:魔法屋
「二人とも行っちゃったね? 佳那子ちゃんと真夕ちゃんもまだ戦っているし、梓ちゃんどうしようか?」
話題を突然降られてオロオロしている。
「え、えっとそれじゃあ、魔法屋みたいなところがないか探してみませんか? ナグモさんのお話ですと魔法があるみたいですし。ファンタジーって感じじゃないですか?」
「おお~! いいね~」
目的が決まった所で歩き回る。朝市の露店を歩き回るも、ほとんどが食材か雑貨である。ここにはなさそうなので他の場所に移動する。
「ないね~?」
「そうですね? お店ではなく学校で学ぶ感じなのですかね?」
「どうだろう? ここまで歩いてみた感じ、学校っぽい建物はないね?」
「ですよね? もうちょっと探してみましょうか」
あちこち闇雲に歩いてみる。そしてやっと魔法屋を見つけた。そこは『こんなところにお客さん来るの?』と思うような小路であった。
なんか建物の外見がおどろおどろしい。魔法というイメージのせいなのか、それとも怪しいぼったくりのお店なのか、入るのに勇気がいる。
「……よし、入ろうか?」
「ぼ、僕は遠慮します」
すすすっと逃げようとする梓ちゃんの腕を捕まえる。お互いに魔法に興味はあるんだし、ここまで来たら一蓮托生だよ。勢い任せでドアを開ける。
「お邪魔します!」
「……いらっしゃい」
おおう! ファンタジーに出てきそうな、まさに魔法使いの老婆って感じの人が店主をしている。
思わずちょっと後退る。すると老婆が声をかけてくる。
「人を見て怖がるとか失礼なやつらだね」
「「ご、ごめんなさい」」
慌てて謝る。じゃないともっと叱られそうな雰囲気を出している。あたしは空気を変えようと話題を振る。
「あ、あの、ここって魔法屋さんなの?」
「ああ、魔法の巻物を売っているよ」
そう言うと老婆は巻物を一つ手に取り見せてくれる。
「これがそうだよ」
そういいつつ巻物の紐をほどいて広げて見せる。巻物には何やら文字が色々書いてある。
「え、えっと、土の……」
「こら! 読むんじゃないよ!」
声に出して読もうとしたら怒られた。読むくらいいいじゃんと思いつつ言葉にはしない。
「魔法の巻物はね、読むことによって魔法を取得するんだよ。魔法を取得したければ買ってからにしておくれ」
「ああ、そういうことね」
「あ、か、花鈴さん花鈴さん」
梓ちゃんがあたしの腕を引っ張り、老婆から少し離れたところで小声で話す。
「僕たち、この世界のお金を全然持ってないから、何も買えませんよ」
ガーン! 言われて気づいた。確かに転生しました。この世界に衣食住にも困らなくなりました。でもお小遣いは? ナグモさんに言ったらくれたりするのかな?
そんなことを話し合っていると老婆が急かしてくる。
「買うのかい? 買わないのかい? はっきりしないか」
「ま、また今度にしようかな……あはは」
あたしたちは愛想笑いをしつつ魔法屋を出た。




