第23話:気の合う二人
あたしたちは街中を走る。
敵の出現場所を確認するために警鐘を鳴らしている人の所に行く。辿り着くと高くそびえ立つ鐘塔がある。その下の所にいる人に状況を聞く。
「あの、敵ってどの方向から来ているんですか?」
「あ、ああ……街の西側の城門の方だ」
「西ってどっちの方向だ!」
恭子ちゃんが乱暴に問いただす。まあ緊急事態だしやむを得ない。その兵士は指を差す。
「向こう側だ。どうする気が?」
佳那子ちゃんと恭子ちゃんがにやりと笑い、同時にこう言う。
「「もちろんぶちのめすんだよ」」
あたしたちは教えて貰った方向に向かう。逃げる人たちと反対方向に向かうために、全速力で走るわけにはいかない。あたしたちの全速力で人に当たると、バイクや車で轢き殺してしまうようになってしまう。
「ええい! 敵の所に辿り着きにくいな」
「まったくや」
「仕方がないよ。住民が避難しているんだし」
逃げる人を擁護する。あたしがメカ少女でなく普通の人として転生していたら、同じように逃げていただろう。
「「わかってるよ」」
二人に言われて犬なら思わずキャイーンと鳴いてしまいそうである。そして人混みをかき分けつつ西側の城門についた。
門の扉は閉ざされている。
「扉を開けて貰えませんか? あたしたちが外に出て戦います」
「扉を開けるのは無理だ! もう敵がすぐそこまで来ている!」
逃げ惑う人々を避けて来ていたので時間がかかってしまった。その時間で敵の接近を許してしまい、扉を開けれない状態。
「しゃあない。やるか」
「そやな」
二人の言うことが分からない。この二人は単純思考な上に短気という所が似ているので、意思疎通ができているのかもしれない。
すると二人は同時にぐんと脚を曲げて勢いよく伸ばしジャンプする。ああそういうことね?
あたしも二人に続いてジャンプする。そして鉄くずの壁の上に登った。
「うは~、結構な数来てるな? さっきの数ぐらいいるんやないか?」
「さっきのあたいらとは一筋違うぜ」
恭子ちゃんの言うことはもっともである。あたしたち三人は先ほどパワーアップしている。あたしはグレネードランチャー。佳那子ちゃんはアクチュエーターでパワーが上がっている。恭子ちゃんも両肩にキャノン砲を装備しているので火力は増している。
「よし! 行こう!」
あたしはそう言うと鉄くずの壁の上から敵のいる方に飛び降りた。
「あ! 花鈴ずるいぞ!」
そう言うと、二人もあたしに続いて飛び降りてきた。




