銀の髪留め
王城を出るとセシルが待っていた。
普段の革鎧や訓練着とは打って変わって、淡い水色のブラウスに、膝丈の巻きスカート。
ブーツだけは踵の低い革のもので、そこだけ冒険者時代の名残が抜けていない。
髪はいつもの無造作な束ね方ではなく、横に流して簡素な銀の髪留めで留めている。
しかし、耳の後ろから後れ毛が何本も逃げていて、本人もときどき気にするように手で押さえていた。
「お待たせ、雰囲気が変わって綺麗だね」
「え!?あ、ありがとうございます//」
鍛冶屋に向かって歩き始めた。
「さっきはなんで部屋に飛び込んできたの?王城で暗殺なんて」
「5年前に魔族の子供が王城に侵入した事件がありまして」
「魔族の、子供?」
「ええ、アリマレンという魔族でした。召喚士長が襲われ気を失っているところを発見されました。」
そのまま殺してくれてたら、俺は召喚されへんかったんじゃないん?
もう一歩頑張ってくれよ・・・
「その魔族はどうなったの?」
「アリマレンは捕獲され、処刑されました。魔族とはいえ子供の処刑は気分が悪かったです。」
「王城にどうやって侵入を?」
「それが、いくら探しても侵入経路が分からなくて。転移系のスキルがあったのではという結論になりました。」
転移のスキルがあれば処刑まで捕まってるわけがない。
城のどっかに秘密の通路みたいなのがあるんか?
城の人間が5年探して見つからんのやからほぼないんやろうな
そうしているうちにカラクリの工房に到着した。
「あれ?勇者様?カラビナはまだ完成してませんよ?」
工房に入るとカラクリが汗だくで作業していた。
「追加で頼みたいことがあって。話いいかな?」
カラクリは作業を止め、テーブルについた
「勇者様のアイデアは面白いですから楽しみですね」
カラクリはワクワクしたように笑みを浮かべる
「強化銀の鎖を巻き取る機構を鎧の小手に仕込んで欲しいんだ」
そう言って風見鶏をテーブルに置いた
「これは、魔道具ですね。」
「こいつに使われている魔力で回転する魔道モーターを使ってほしい」
カラクリは顎に手を当てて考えている。
「風を送る魔道具を鎖を巻き取る機構に・・・よく思いつきましたね」
「あとこれも作って欲しい。」
上総は一枚の紙を取り出した。
「鉤爪ですか?」
シンプルな3本爪の鉤爪が描かれていた
「強化銀で作った鉤爪の先を聖銀にして保持力を高めて欲しい。
根元には聖銀の刃を付けることで外れない時は切り裂いて回収出来るようにして欲しいんだ」
「なるほど。これならすぐに出来ますが・・.」
考え込んだ様子で鉤爪の絵を見ている
「もちろん、より良いアイデアがあるなら試してくれて構わないよ」
「お!勇者様、わかってますねぇ」
カラクリは嬉しそうに笑顔を見せた
こういうのは職人の嗅覚に頼るべきやな
「じゃあ、納期は明後日か明明後日になるかな?」
席を立って納期を確認すると
「いいや、明日です。こんな面白いもの見せられたら他のことなんて手がつきませんよ」
そういってカラクリは足早に奥の工房に引っ込んでいった
鉤爪の話になってからついてこれなかったのかぽけーっとしてるセシルを連れて工房を出た




