ふたり2
俺が別の何かを考えて行動をしていても、俺の中にいる奴。一人称は「僕」。
透き通っていて一般の女性よりも少しだけ低そうな声。だから、男性と言うよりも女性の声に近い。
そんな『ふたり』の声。
それがずっと脳内に響いてくる。故に、毎日が集中できない。
こんな現象は、俺が物心がついた時にははじまっていた。
だからもう、『ふたり』の声と言う概念に対しては当たり前になっている。でも、その声に対して慣れというものは一切なく、まるで俺とは別の、他人の声や思考が脳内に響いている。そんな『ふたり』と仲良くなるわけもなくて、当たり前のように喧嘩をしている。
小さい頃なんかは、両親や周りの大人、友達にもこんな俺の体質を躊躇いなく話していたけれど、次第に変な奴と思われる恐怖を感じてから、こんな俺の悩みを隠してきた。もし、この体質から逃れられると言うのなら、俺は一刻も早く逃れたいと思っている。だから、俺はこの答えを探しているんだ。答えを知れば、俺は他の人と同じになれるんだろうか。
「なあ、こんな日だから聞くんだけどさ。お前は俺と別れたいのか?」
『僕がそう口を開く理由、そして今日に限ってそんなことを聞く理由。それは今日が僕の誕生日であるからだ。そして、自分で解いたその質問に僕が答えなくてはいけないのだから、僕がその質問に返答しても、しなくても、僕が心の中で解決して終えばいいだけなのだ。だから、何も言わない』
「そんなに焦らしたんだから何か言えよ、もしかして本当は別れたくないのか?」
『別れる別れないというよりは、分離という方が適切だろう。まさかこの男。恋愛的対象として受け止めていたのだろうか。それはもう、気持ち悪すぎる。果たして、僕の身体をなんだと思っているのだろうか』
「本当に口悪いよな、あとその話し方はどうにかならないのか?小説読んでるみたいで、すげえ頭痛くなるんだけど。それに、身体なんてないくせに」
『あのさ、僕の楽しみに文句言うのはやめてくれるかな?好きでお前の身体にいるわけじゃないし、それに…口なんてないし』
「そっか、なら早く分離でもなんでもして、お前はお前の意識がどこかに宿ればいいな」
『僕に対しても他人事な奴。きっと友達にもそんな奴で、そもそも友達程の関係を築いた事なんてないのだろう。もし、僕の身体と僕の意識が逆だったら、きっと人としての正解に近かったはずだ』
「だから!そーゆーことを言うのやめろ!結構傷つくんだぞ!」
『ふたり』の遠回しな嫌味に突っ込むけれど、俺はこの身体で生きていて「意味があるのだろうか」と、思ってしまう。『ふたり』が言うように、俺らの立場が逆であったなら、俺的にはどれだけ楽であったのだろうか。いや、もしかすると、今の『ふたり』の様に嫉妬していたのだろうか。そんなことを『ふたり』に聞く勇気はなくて、『ふたり』が俺の思考までは読み取れないと言うことに、ただ安堵している。




