41.せせらぎと草船
そよそよと風が流れる大地で、俺たちはしばしの休憩を取っている。何故かと言うと、別に急ぐ必要もないので、のんびり行こうと二人で決めていたからだった。
浅瀬の近くに腰を下ろした俺は、一目散に水の方へと駆けて行ったグリュンを眺めてふと思いつく。そういえば、これは一回もやってみたことは無かったな。
そう思った俺は、道端の草をちぎってある形に編んでいく。笹の葉の両端を内側に折って、切り込みを入れ、切り込みを入れた3本のうち、左右の部分を重ねる。それを反対側でもやれば完成だ。
そうして編み終わった後、グリュンよりも水の流れの上に行き、それを流した。
さらさらという水の流れに乗って、それは進んでいく。そして最後はグリュンの足元にぶつかって止まる。
「……?何これ……っ凄い!」
「気に入ってくれたか?」
「うん!ねぇヴェル、どうやって作るの?」
「言うと思った」
あらかじめ予想していた俺は、二枚の葉の片方をグリュンに渡す。そして先ほど俺がやったようにグリュンにも教えていく。
すると、グリュンは意外とこういった小さい作業は苦手なのか、出来上がった船がなかなかのボロボロで思わず笑ってしまった。グリュンには即座に叩かれたが。
「っ、もう一つ作るか?」
「もう、いつまで笑ってるのヴェル!作るけど!」
けれど、なかなか綺麗なのは出来ず、格闘すること数分。
若干グリュンが諦め出したその時、今までとは遥かに違う草船が出来た。それを奇跡と言うべきか偶然と言うべきかは定かではないが、取り敢えず頭を撫でて褒めておく。
「これ、流して良い?」
「グリュンが作ったんだから、好きにして良いぞ」
「じゃあヴェルのと一緒に流そーっと」
がしっと掴まれていった俺の草船を見やりつつ、船であろうものをどうしようか考える。ちぎってしまったのだから、せめて何かには使ってあげたい。そう思ってしばしの間首をひねる。
しかし結局、何も思い浮かばなかったので今日の晩ご飯に利用することにした。俺たちは山育ちみたいなものだから、毒が入ってなければ食べれる……はず。確信はないが。
「おぉ……ヴェルが話してくれた『海』みたい!」
「船と水があるからか?」
「そう!」
そうか、海に行くのも良いかもしれない。川とはまた違った感覚だろうから、その時のグリュンの顔が楽しみではある。
そう俺の頭の記録帳に書き込んで、何処で寄ろうかと考えていると、遊んでいたグリュンがお腹が空いたと言い出したので、一旦中断しおやつを出す。
作りためておいたクッキーを、サクサクと音を立てながら食べているグリュンが、少しだけリスのように思えて微笑ましくなった。
「それじゃあそろそろ出発するか?」
「はーい、あ、待ってこれ持ってく」
「……それ、は……」
必要なのか?と言いかけて止まった自分を褒めたい。それもそのはず、グリュンの手にあるのは酷使されてしなびてしまった俺の草船。
またグリュンのよく分からないコレクションが増えてしまった……と思ったのだった。




