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世界最強の竜、子育て始めました!?  作者: 蒼空花
第二章「世界を巡る旅へ」

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40.出発の日


「本当に良いのか?」

「だっていなかったんだもん」


 出発の日。俺は早々にアルトリウス様とスーウェンに別れを告げてきたが、グリュンの方は少々難航気味らしい。

 どうやらルークが町中どこを探しても見つからないらしく、ついには諦められていた。

 それで本当に良いのかと思いつつも、グリュンが決めた事ならまぁ良いのか?とも思っている。


「ねぇヴェル、次はどこ行くの?」

「一応予定としては『ネーヴェ』だが……道中にも町やら村はあるから、すぐじゃないな」

「へー……ん?なんか来た?」

 

 ふと、グリュンが後ろを振り向く。それに釣られて俺も振り向くと、久々に見た黒色がこちらに走ってきていた。

 

「っは、間に合った……っ」

「どうしたの、ルーク?」

「グリュンにこれを、渡したかったんだ」

「……これは」


 鈍く、青く光る石。それは紛れもない、召喚石だった。

 基本的には魔物を捕獲して作り出すが、ここまで綺麗な色は出せない。となると考えられるのは。


「俺の加護は『幻獣の息吹』。これを使ってくれれば、俺はいつでも助けに行ける」

「……でもルークってあんまり強くない……」

「それは……言われると困るが。でも俺も、グリュンやヴェルさんみたいに強くなって見せるからな!」

「期待せずに待ってるね」

「相変わらずひどいな」


 そんな二人の会話に思わず笑みが溢れる。もしかしたらこの二人はいい相棒になるのではないだろうか。若干グリュンの扱いが辛辣ではあるが。

 ただ、ルークも、俺やグリュンと比べるから弱そうに思えるのだが、恐らく一般的に見ると強い部類に入るのではないかと思っている。

 少なくとも武器の扱いは俺たちより上だし、咄嗟の判断も早い。これで魔法も上手なら完璧だったのだが。


「何か変なこと考えてませんか、ヴェルさん」

「いや?まぁ頑張れ」

「投げやり……」

「と、いうか良いの?この召喚石、ルークの大切なものじゃないの?」

「あー……まぁグリュンなら間違った使い方しないだろうって、信じてるからな」


 まっすぐなその目に思わず息を呑む。何故そんなにグリュンが信頼されているのかは分からないが、嘘を言っているようにも見えなかった。

 確かに召喚石は、一歩間違えれば世界を滅ぼしかねないものだ。世界だけでなく、自分自身でさえも。

 何があったか、は結構長くなるので今は話さないが、いつか話そうと思う。

 あ、ちなみに俺は何も関係してないからな。


「じゃあまた、帰ってきた時に思い出話、聞かせてくれ」

「分かった、貯まる前に喚ぶね」

「おい」


 そうしてグリュンのルークとのお別れも終わり、じゃあ出発するか、となったのだが。一つ問題……というか気がかりがあった。

 それは、俺に強烈な嫌悪を与えていった『勇者』についてだ。

 アルトリウス様にそれとなく聞いてみても、それとなく濁されてしまったし、スーウェンには何故か苦い顔をされた。そんなに癖がある、もしくは厄介な人物なのだろうか。

 まぁ、今すぐどうこうではないのだから気にしなければ良い話なのだが。

 ただ、何があったとしても。


「ヴェル、行こう!」

「ああ、道端の草は勝手に食べるなよ」

「はーい」


 ───グリュンの旅は見届けたい。

 そう心から誓うのだった。


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