29話
「今日から君達の担任になる マルホン・ギースだ。新任なんで宜しく頼む」
茶髪に青い瞳、長身に眼鏡 。『来た来た来たー!お邪魔エドに続いて、ローズの幼馴染みのギースお兄ちゃん。ローズを守るために平民から王立学園の教師まで上り詰めた男!』
「あー、それと特例だが転校生がいる。入ってこい」
「はいっ」
ガラガラッ
ドアを開け、入ってきた男に目をやると『えっ!?何であいつが…』
「初めまして。カーネリア・ザックです。宜しくお願いします。」
『黒髪に紫の瞳、短髪にあのピヤス… 間違いない。アリア商会長男のザックじゃないの!?でも、確かあいつは留学したんじゃ…』
「久しぶりだな…」
マリーの横を通り過ぎるザックが小声でつぶやく。マリーが声のする方に目をやるとザックは ニヤッと笑みを浮かべた。『こいつ… 』マリーとザックは幼馴染み。しかも犬猿の仲である…
◆◆◆
「ローズ 久しぶりだな。随分と綺麗になってしまって名前見るまで分からなかったよ。」
「ギースお兄ちゃんは変わらないね。直ぐに分かったわ。」
「そ、そうか… これでも、結構努力をしたつもりなんだけどなぁ…」
今、マリーとオゼットはローズに付き添い教卓の周りに集まっている。
「ギース先生 失礼ですがお年はいくつですの?」
「今年23になるな。」
「まあ、わたくし達と5歳差ね。では、ご結婚は?」
「まだ、独身だ。俺は平民だからなぁ、貴族と違って婚約者みたいなのも無いし、気楽にやってるよ。」
「そうなんですのね… ちなみに好きな方はいらっしゃるの?」
「それは私も是非 聞きたいな。」
アンソニーがローズとギースの間に割り込んできた。
「す、好きな奴か… 好きかは分からないけど、、守りたい奴ならいるよ…」
「まあ、私 応援します!ギースお兄ちゃんの恋!」
「もう、ローズ ちゃんと聞いてましたの?好きな方じゃなくて、守りたい人よ!もし、他の誰かが既にその方を守っていれば、先生が守る必要も無いって事よ。ねぇ、アンソニー。」
「そうだね。私にもそう聞こえたよ。」
「ハハッ、手厳しいな。でも、そういうことになるんだろうね…」
寂しげな顔をするギース。『そうよね!ローズを助けるために頑張ってきたもんね…』
「スカーレット嬢、ちょっといいかな?」
『チッ、この声は…』
「あらっ、カーネリア様、私に何の用でしょうか?」
「ちょっと2人きりで話したいんだが…」
「2人はお知り合いですの?」
「そ…」
「いいえ。全く知らない方です。」
「相変わらずマリーはひどいなぁ~。皆さん初めまして。アリア商会 長男のザックです。マリーとは幼馴染みになるのかなぁ~どうぞ宜しく。」
◆◆◆
「で、なんなのよ。用って…」
マリーはザックに連れられ、中庭のベンチに座る。
「久しぶりに会う幼馴染みに冷たいなぁ~。元気にしてたかなぁと思ってさ…」
「見て分かんないの?元気に決まってるじゃない!」
「なぁ、何でそんな喧嘩腰な訳?」
「あんたにヤられた数々のイタズラ 忘れたとは言わせないわよ!」
『アンソニーに会って前世の記憶がもどり始めた頃、お父様に頼んでアリア商会に連れていって貰ったのがキッカケでザックに出会った。ザックはヤンチャで近所ではガキ大将、私を見つける度にベビや虫、カエルなどを投げつけて来たり、髪を引っ張ったり、スカートをめくったりと意地悪ばかり…14歳の頃 隣国に留学するって聞いた時は嬉しくって眠れなかったくらいこいつの事が大嫌いなのよ!』
「そんなこともあったな…」
「そんなこと… ですって!ふざけないで!何しに帰って来たのよ!」
「あーっ なんとなく?」
「なんとなくですって!もういい?話しは終わった?私帰る!」
「なぁ、お前好きな奴出来たのか?」
「な、な、な、な、なんであんたにそんなこと言わなきゃいけない訳?」
マリーはそのまま走り去った…
「やっぱり、出来たんだ… 親父の送って来た写真の奴だろうな…」
◆◆◆
「なぁ、マリー。今 親父と試作品作ってんだろ?俺も混ぜてくれよ~なっ?」
『あーっもう、うるさい!朝からなんなのよ…』ここ最近、毎日の様に付きまとうザックにうんざりしているマリー。お陰でアルフリードをゆっくり観察出来ないでいる。
「オゼット、ローズ助けて~」
「朝から仲いいわね。」
「止めてよ。気持ち悪い!あいつが来てから私のライフスタイルが滅茶苦茶よ!お陰でリード様不足でおかしくなりそう…」
「なら、言ってあげなさいな!好きな人がいるから付きまとわないでって。」
「なんでそんなこと言わなきゃなんない訳?」
「あら、だって彼、貴女の事好きなんでしょ?」
「ば、馬鹿言わないでよ!ただの腐れ縁よ!お互いそんな感情ひとつも無いわ!」
『オゼットが変なこと言うから興奮して声をあららげたら頭が痛くなってきた…』
「ちょっと、保健室に行ってくる…」
「体調悪いの?マリー大丈夫?」
「付いていきましょうか?」
「大丈夫… 1人で行ける」
マリーは教室から出ると保健室には行かず、違う場所を目指した…




