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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
20/51

20話


「誰だっけ?」


「やっぱり、覚えてないよね… 学園祭で君をナンパしただろう?あの時は今と反対で僕は逃げる方だったけど…」


「あ!思い出した!リード様を見て逃げたネコ科の獣人だ」

「マリー知り合いなの?」


「知り合いではないかな」


「ひどいなぁ… 僕は君の事ばかり考えているのに」

『ゾワッ なんか一瞬嫌な感じがしたんだけど…』


「助けてくれてありがとう。じゃーねぇー」


「助けたお礼に少しだけ向こうで話さない?2人きりで」

ここは人気の無い廊下… あとちょっと進めば化粧室がある。


「それなら、私、化粧室に行ってきます」


「ごめんね、ローズ。じゃあ少しだけね。直ぐそこのベンチでいい?」


「勿論だよ」

廊下の脇から外に出ると2人でベンチに座る。


「話って?」


「あれから、君の事が頭から離れないんだ。良かったら僕と付き合ってくれないか?」


「ごめんなさい。私、好きな人がいるの…」


「やっぱり、あの龍騎士が好きなんだろ…」


「何で分かったの!」


「だから、あんな下着を持ってたんだ…」


「あんな下着… ってもしかして!うっ…」

口と鼻に布を押し付けられるとそこから薬品の用な匂いがしてきた。次第にマリーの意識は朦朧としてくる。


「彼女、酔っぱらっちゃったみたいで…この住所まで馬車を出してくれ」

『違う!酔ってない!誰か助けて…』


「もうすぐ着くよ!僕を好きになるまでずっと一緒にいようね。そうだ!明日から子作りをしよう。楽しみだなぁ~だから、今はゆっくりおやすみ…」

そこで、マリーの意識は途絶えた…


◆◆◆


「んっ?先程の馬車から何か薬品の匂いがしなかったか?」


「はい、僅かですがしました。あの匂いは眠り薬でしょうか。誰か眠れなくて薬を飲んだんですかね?」


「私は会場の方で変わったことがないか見てくる。引き続き警備を頼む。それと1人あの馬車を見張れ」


「はっ、分かりました」

『何か嫌な感じがする。何事もなければいいが…』

アルフリードは会場へと急ぐのであった。

◆◆◆


「あれ?マリー?先程の人と会場に戻ったのかしら?」


「ローズ!探したのよ」

「ローズ嬢大丈夫でしたか?」

アンソニーとオゼットが駆け寄ってくる。


「ええっ、親切なネコ科の獣人さんに助けていただいて、マリーとお話をしていると思うのだけれど…会場かしら?」


「会場には居なかったわ。何処に行ったのかしら?」


「マリー嬢の事だ、とんでもない所から現れるかもしれないよ」


3人でクスクスと話していると

「アンソニー様、会場で何か変わったことはありませんでしたか?」

アルフリードが物凄い勢いで現れた。


「別にないけど」


「それなら良かったです。あれ?今日はマリー嬢は一緒ではないのですか?」


「マリーならさっきまであそこのベンチで獣人の男とお喋りを楽しんでいたみたいよ」


「オゼット!駄目よ…」


「いいのよ!だけど居なくなってしまったようなの。今頃仲良くなってたりして」

アルフリードは先程までマリーが座っていたベンチの傍に行くとスンスンと鼻を鳴らす。


「薬品の匂いが微かにするな。アンソニー様、持ち場を離れる許可を頂けませんか?」


「何があった?」


「先程 出た馬車から薬品の匂いがしたので、会場で変わったことがないか調べに来たのです。マリー嬢が座っていたベンチからは同じ薬品の匂いがしました。薬品はどうやら眠り薬のようです」


「では、マリー嬢は拐われたと?」


「恐らくは…」


「やだ、マリー!」

「マリー!」

オゼットとローズは泣き崩れる。


「しっかりしないか!オゼット、私達にはやるべき事があるだろう?アルフリードは持ち場を離れることを許可する」


「ありがとうございます」

アルフリードは矢の如く空を飛び、あっという間に居なくなってしまった。


「アルフリードに任せておけば直ぐに解決するさ!さっ私達のやるべき事をやるよ」


「そうね。ありがとうアンソニー。ローズはわたくしの部屋で休んでて頂戴」


「いいえ、私にも何が手伝わせて下さい」


「そうしましょう!まずはお父様達に報告ね」

『どうか、マリー無事でいて…』


◆◆◆


「僅かだが、ここからマリー嬢の香水と薬品の入り交じった匂いがするな…」


「はい、先程ここに止まった馬車はネコ科の獣人と若い女性を降ろして、また会場へと戻りました。女性の方は寝ているようでした」


「ありがとう。報告ご苦労」


「は、はい!隊長、突撃しますか?わたしもお供します」


「いや、私1人で行こう。もし、犯人が外に逃げた時頼むよ」


「はい!任せてください!」


「では、行ってくる」


「御武運を…」

『マリー嬢、どうか無事でいてくれ…』


◆◆◆


「くそっ!何故お前自ら現れる!龍騎士団長じゃないのか?」


「貴様には関係の無いことだ」


「くそっ、くそっ、彼女と僕はツガイになるんだ!邪魔をするなっ」


「はぁ、貴様が彼女のツガイ?笑わせるな!」


「馬鹿にするな!」

ネコ科の獣人はアルフリード目掛けて勢い良く拳を振り上げ、襲いかかる。何度も何度も。しかし、アルフリードは全てを避け、最後に一発獣人の腹に拳を埋めた。


「うっ… なんで… くそっ」

獣人は窓から身を投げると屋根づたいに逃げ出す。


「そっちに行ったぞ。あとは頼む」


「任せてください!」

龍騎士は獣人を追っていく。


「マリー嬢…」

アルフリードは意識の無いマリーを持ち上げると、そのまま漆黒の闇の中を飛んでいった…


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