19話
「やぁ~遊び倒したね~」
「そうね。あの後、アンソニーが城から呼び出されて殿方がみんな帰った後は海で遊びたい放題でしたものね」
「美味しい海の幸も食べられて本当に楽しかったです」
アンソニー達が帰ったことをいい事に堂々と水着で遊びまくった。オゼットもローズも途中から水着に馴れたようだった。
「ねぇ、今週末にわたくしのうちで夜会があるの。2人とも来てくれるわよね?」
「えっー面倒くさいよ」
「勿論行きます」
「では、決まりね。マリー、ちゃんと来るのよ?先に言っておきますけど婚約者であるアンソニーは来るわよ。と、言うことはアルフリードも来るから」
「…… 」
「この間の件、ちゃんと直接謝りなさいね?」
「…… 」
「返事は?」
「… はいっ」
「よろしい。では詳しい事は招待状を見て頂戴。では、また夜会で」
「ええ、オゼットありがとう」
「楽しかったよ~またね~」
寮に着き、部屋へ戻る途中 何故か人集りが出来ていた。
「何?何かあったの?」
マリーは人集りにいたクラスメイトに声を掛ける。
「あっ、マリー様今帰ってきたのですか?実は女子寮に泥棒が入ったのです!許せませんわ」
「ど、泥棒!?」
「そうなんです。数名の女子の部屋に入り込み下着を盗んだみたいですのよ…怖いわ」
「部屋に入られたってこと?」
「マリー様ちょっと寄ってくださいまし…」
女子生徒Aはマリーを近くまで誘導するとこそこそと話し出す。
「なんでも胸の小さい方の下着ばかり盗む変態だとか… だから、わたくしは狙われなかったのです。良かったわ~胸が大きくて」
『胸が小さい方の下着ばかり… まさか!』
「マリーどうしたの、急に走り出して!待って」
ローズはマリーの後を追う。
バタンッ
自室のドアを思いきり開け、クローゼットへと急ぐ。
「無い、無い、無い…」
「どうしたのです?マリーまさか?マリーの所にも泥棒が?」
「なーーーい!!私の勝負下着が無くなってる!!一生懸命探してやっと買ったドラゴン刺繍の下着が上下無くなってる!!」
「えっ?ド、ドラゴンの下着?」
「そう!龍よ龍!龍なのよ~わぁーん、やっと理想の勝負下着見つけたと思って買ったのに!許せない」
マリーは溢れ出てくる涙を拭く事も忘れ怒りに震えている。
「絶対に見つけてやる…」
◆◆◆
「マリー、止めましょうよ… 警備隊の方にお願いしましょう?」
「ヤダ!絶対に見つけ出して下着を返してもらうんだ」
「えっ?泥棒が触ったものをまた使うつもりなの?」
「あれは私にとってお守りなの。あれを買った後からリード様とお喋りが出来るようになったんだもん。絶対に取り返す!」
「分かったわ… 私も手伝うわ」
「ありがとう、ローズぅ~」
まずは聞き込みから。私を含め5人の下着が盗まれた。どの人もいつの間にか無くなっていたとの事。見た感じみんな胸は小さそうだ…明らかに私が一番大きいと思うんだけど、なんで私?納得が行かないまま調査を続ける。
「あーなんも手懸かりが見つかんなーい」
ベッドにダイブし、バタバタと足をバタつかせる。
「どうして見つからないのよ!もうすぐオゼットの夜会があるから一旦家に帰らなくちゃいけないのに…」
何日か血眼になって手懸かりを探したが何の収穫も得られないまま夜会当日になった。
「マリー、貴女下着を盗まれたんですって?」
「な、何故それを!」
「みんな知ってるわよ。何故か龍騎士が犯人捜しをしてくれているみたいだけど、それでも見つからないそうよ。そうなると犯人は龍人か獣人になるわね」
「え、何で?」
「だって、龍人は鼻がいいのよ?そんな龍騎士が見つけられないならそんなの龍人か獣人しかいないじゃない。人間は香水をつけているもの。直ぐに見つかってしまうわ」
「あ、成る程…」
マルクス公爵家の夜会は煌びやかで、大勢の国の権力者やエリートが集まっている。人間だけではなく、龍人や獣人もたくさんいた。
『なんかそんなこと言われたらみんなそうゆうふうに見えてきちゃうよ…』
マリーは龍人や獣人が横を通る度にジロジロと見つめる。
「止めなさいよ!全く貴女って極端ね… あ、ローズが来たわー」
「ごめんなさい。遅くなりました…」
「まだ、始まったばかりよ。気にしないで。わたくしはちょっと御挨拶に回らなくちゃだから2人ともあそこのテーブルに座って好きな物を食べてて頂戴」
「「はーい」」
オゼットは優雅に去っていった。
「なんか食べよっか」
「そうしましょう」
山盛りに食べ物を盛って貰うとテーブルに運んだ。
「んっーこれ美味しいよ」
「こっちも美味しいわ」
「こんばんは、お嬢様方…」
振り向くとそこには見知らぬ男の人が2人立っていた。
「こちらのテーブルにご一緒しても宜しいですか?」
「もうすぐ友人が来ますので…」
『オゼット姉さん早く戻ってきて…』
「友人は男性の方かな?」
「いえ、女性です」
『こら、ローズ!本当の事を話すな!』
「友人が来るまで、だからさ…」
そういうと男性2人はマリーとローズを囲うようにして勝手に座りだす。
「お酒はどう?持ってこようか?」
「私達は学生なのでお酒は飲めません」
「えっ、学生なの?って事はまだ婚約者も決まってないんだ!俺立候補しようかな?名前教えてよ」
『なんなの!ノリ軽、やたら近いし…お酒臭い…』
チラッとローズの方を見るとローズも絡まれていた。
『姉さんヘルプミー』
◆◆◆
「ちょっとアンソニー、あれほっといていいの?」
「よくない!よくないけど、下手に動けないんだ」
「どうにかならない?」
アンソニーとオゼットはお互いの両親に捕まっている。アンソニーの両親といえば国王夫妻だ。オゼットも下手には動けない。
「アルフリードはどうしたの?」
「今日は父上と母上がいるから外の見回りをしているはずだ」
「こんな時に使えないわね」
「ああ、私も同じことを思っているよ…」
可哀想なアルフリードである。
◆◆◆
「ローズそろそろ行こう」
「ええっ」
「待ってよ!友達はどうしたの?」
「友人はどうやら向こうで待っているようなので失礼します」
マリーはさっと立ち上がり、ローズの手を引っ張り化粧室の方へ歩く。
「待ってよ、名前くらい教えてくれたっていいじゃないか」
「そうだよ!折角出会えたんだからさ」
『しつこいなぁ…』無視してさっさと歩くマリー。
「なぁ、無視すんなよ!聞いてることに答えろよ」
「いたっ」
急にマリーの肩を掴み、無理矢理自分の方へ向かせた。
「なぁ、名前教えてくれよ」
グッと肩に置かれた手に力が入る。『痛い…』
「止めないか!嫌がっているだろ!」
「ひっー!」
男達は慌てて逃げていった。
後ろからした声に振り向くとそこには…
「やあ、また会ったね!」
「貴方は!」




