負傷
「アル、今のうちに早く逃げましょう。」
「う・・ん。とりあえず結衣さんのところに。」
とてつもない激臭が近づいてくる。
「アハ。良かった。無事ではなさそうだけれど生きてるわ~。」
「結衣さん。その臭いは。」
「そんなことは後。ここは引くわよ~。奴らは私達の種族や人数を見て行動しているわ~。まあ、力量だけは見誤っていたけど。」
「ならせめて部下の救出を・・・」
「あなたが歯が立たなかった相手にあの子たちが勝てるとは思えないわ~。目的は大方片づけたのだからよしとしましょう。命が大切だわ~。」
「けど・・」
「聞き分けのない子は嫌~い。この中で大人しくしてなさい。」
結衣の影が白狼を包み込み結衣の影と同化した。
「アルに何したの。」
「何って~私の影に仕舞っただけ。こっちのほうが安全だし移動も楽になるから。心配ならあなたも入って看といてあげなさい。」
結衣の影がエリアを包み込み同化した。
「よ~し。帰るわよ。」
結衣は近くを飛んでいた鳥の影に入り魔王城の方向に飛んでいく鳥に乗り移りながら2週間という速さで魔王
城に帰ってきた。
魔王城
「結衣様お帰りなさい。お怪我をされているではありませんか。」
「結衣は後でいい。それより今すぐ治療のできるものを。白狼が危険。」
「わかりました。お前ら急げ!」
結衣は影から二人を出した。
「ごめんねアル。私の力不足で・・・」
「大丈夫だよ。誰でも得意不得意があるから。」
「連れてきました。」
白衣を着た悪魔が現れた。
「いきます。汝を癒せ・・ハイヒール!」
白狼の体の傷が治っていく。
「では次、結衣さん。腕を見せてください。」
結衣も同じく治療してもらい怪我が治る。
「手が動く。でもまだ体が重い。」
「ちょっときちんと治しなさいよ。」
「たぶん、魔力系統の傷かと。それは魔法では治せないのです。」
「じゃあ、どうやって。」
「今の技術では治らないでしょうな。」
「そんな・・・」
「ですが命に関わることはないはずです。」
結衣が立ち上がる。
「結衣は魔王様の所に報告に行くから大人しくしてなさい。」
「わかりました。」
俺はどうすればいいのか。
魔王の部屋
「魔王様。実は。」
結衣は起こったことを話した。
「そうか。白狼が・・・。」
「結衣のせい。結衣が一人で上手く仕事できれば。」
「結衣、そんなに自分を責めるな。後は俺が何とかする。」
「結衣に手伝えることはなんでも言ってください。」
「わかった。今日はもう休め。」
「はい。」
とは言ったもののどうしよう。宗教国家のことも気になる。どう出るべきか。
橘 充はただ天井を見上げていた。




