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3段目の階段

作者:加藤 啓治
最新エピソード掲載日:2026/07/02
高校には、誰も気にしない階段がある。

校舎の西側。

普段ほとんど使われない古い階段。

その階段には、昔から一つだけ噂があった。

「3段目だけは踏むな。」

理由を知っている人はいない。

先生に聞いても笑ってごまかされる。

先輩も「気にすんな」としか言わない。

主人公・春人も最初はただの噂だと思っていた。

ある日の放課後。

友達とふざけながらその階段を上る。

一段目。

二段目。

そして──

三段目を踏んだ。

何も起きない。

「なんや、ただの噂やん。」

笑いながら帰宅する。

その日までは。

翌朝。

学校へ行くと、違和感があった。

担任が違う。

クラスメイトの一人がいない。

誰に聞いても、

「最初からそんな人、おらんやん。」

と返される。

主人公だけが覚えている。

世界が少しだけ変わってしまったことを。

それから主人公は気づく。

三段目を踏むたびに、世界が少しずつ変わっている。

家族。

友達。

将来。

自分の性格。

少しずつ。

本当に少しずつ。

だから誰も気づかない。

でも最後に分かる。

変わっていたのは世界じゃなかった。

主人公自身だった。

ラスト

もう一度、あの階段へ向かう。

一段目。

二段目。

主人公は足を止める。

三段目を見つめる。

そこで初めて気づく。

三段目には、小さく文字が彫られていた。

「ここから先は、後戻りできない。」

主人公は静かに笑う。

そして一歩踏み出す。

物語はそこで終わる
2026/07/02 02:30
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