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プロローグ
数日前、俺は森の中で迷い込んでいる一人の少女を助けた。年は同じくらいだと思う。
「大丈夫ですか? すぐ近くに神社があるのでお送りしますよ」
彼女は地面に横たわっていて、服は泥まみれだ。俺が手を差し伸べると、妖しい笑みを浮かべた。
「あら、優しい人もいるのね」
彼女の手が俺に触れた瞬間、森中の鳥や虫などが空へと向かって飛び出した。こんなのは見たことがないぞ。それに、指はかなり冷たい。そんな季節ではないはずだ。
「権宮司なのね。ふふ、ありがと」
俺の手を握っていたはずの彼女は、その場から姿を消した。
「ッ! 何だ。神様だったのか?」
後日、宮司である父さんにこのことを話した。
「嘘だ……そんなことがあるのか……!」
父さんの呼吸がとぎれとぎれになっていて、目も揺らいでいる。
「どうしたんだよ、父さん」
「……大丈夫だ、葵は小さいときから優しい子だな。良くも悪くも」
すべての始まりは、ここからだったのかもしれない。




