第四の試練 76
やっと試練が終わります!
フィリアは、真っ白な空間に立っていた。
息を吐くと、白く、一歩歩くと、サクッという雪を踏む音がした。
辺りを見回しても、誰もいない。
そこには、何もない。
「誰か?いないの?」
静かな空間には、白色が延々と続く。
ゲームの第四の試練を思い出そうとすると、頭の中に靄が広がったように思い出せない。
ここで、何が起こるのかが分からない。
足元がふわふわとしてくる。
「あれ、私は、、、ここで何をしているんだったかしら。」
何も考えられなくなり、浮遊感に包まれる。
「やぁ、こちらへどうぞ。」
目の前に、雪のような綺麗な少年がいる。促されるままに、目の前に現れた椅子に座った。
真っ白な椅子は冷たい。
「あなたはだぁれ?」
「さぁ、だれでしょう。」
「ここはどこ?」
「さぁ、どこでしょう。」
フィリアはにっこりと微笑みを浮かべた。
なんだか気分がとても良い。
「なんだか、ここはとても気分が良いわ。」
「そう。なら、ずっとここにいればいいよ。」
そう言われ、思わず頷きそうになる。だが、心がそれを止める。
「えっと、、、」
「ここにいれば、何も心配はいらないよ。」
「心配?」
「そう。ここは何も考えなくて良い。」
頭がふわふわとして、何も考えられない。
「でも、、、」
それでも心が何かを訴えかけてくる。
何か、大切な事が在ったのだ。
それが引き止める。
「外には考えないといけない事がいっぱいだ。それはすごく大変だよ。」
「でも、、、何か、大切な事があったはずなの。」
「本当に?別にいいんじゃない?」
「いいのかしら?」
「いいよ。別に自分が良ければそれで良いんじゃないかな?」
その言葉に胸が痛くなる。
「本当に?」
「人間自分が一番でしょう?」
「違うわ。」
自然と口からそう言葉が溢れた。
「嘘だね。人間、自分が一番。後はまぁ、どうでもいいよ。」
その言葉に悲しくなる。
「そうは、思わないわ。」
「本当に?君だって、もうここがどこかも分からないんでしょう?」
フィリアは黙り込み、辺りを見回した。
「出口はどこ?」
「ないよ。出口なんて。」
「でも、行かなければいけないの。大切な何かが有るはずなの。」
「そう。ならどうぞ。でも出口はないよ。」
ここ以外は、見渡す限り白一色。
進んだからといって、出口があるかは分からない。
「怖いでしょ。先に、何か有るかもしれないし、無いかもしれない。それでも、行くの?」
胸に手を当てると、進めという声が聞こえる。
「ええ。行くわ。」
「ならどうぞ。出口が有るといいね。」
不意に、少年と視線が合う。
フィリアはにっこりと笑うと、少年の手を引いた。
「一緒に行きましょう。」
「え?」
「この先に何が有るかは分からないけれど、ここで一人でいても、きっと楽しくは無いわ。」
「ここには、楽しさは無いかもしれないけれど、不安や心配も無い。」
「あら、楽しさが無いなら、つまらないわ。」
そう言ってフィリアは少年を立たせた。
「行きましょうよ。」
その言葉に、少年は大きな声で笑いだした。
「これまで、たくさんの人を見てきたけれど、こんな人は初めてだ!」
フィリアはそう言われ、首を傾げた。
「あら、駄目だった?」
「いや、面白いよ。普通は、ここにいたらやる気も目的も記憶も全て薄れていく筈なのに、それでと君の心は進路を見失わないんだね。それに、僕まで助けようとするなんて、恐れ入ったよ。僕の負けだ!」
その言葉に、フィリアは一瞬で頭がはっきりとし出した。
目の前にいるシオンにそっくりな者は、にっこりと笑った。
「第四の試練も、合格だ。君なら相応しい。歌のかけらをたくそう。」
すると、目の前が一気に明るくなり、光に体が包まれる。
頭ははっきりしだしたもののまだ状況がつかめない。
目の前の景色は様々な姿に変わり、そして、静寂が訪れ、目の前に、求めていた者の姿が現れる。
「グリード!!」
フィリアの悲鳴にも似た呼び声に、幾重にも鎖で繋がれたグリードの体が弱々しく動いた。
グリードさん!
やっと出てこれた!
また続きも楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!




