カインの不安 60
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強さとは、何だろうか。
フィリアと向き合い、剣を交えているとふと疑問に思った。
自分は弱い。
小さな頃から、兄のことがあり、男たるもの強くあれと血反吐を吐くほどの鍛練に励んできた。
それでも、弱い。
強くあろうと、口調も男らしく感じられるように意識した。
兄のことを、認めているようには振る舞っているが、心のどこかで、兄のようにはならないという自分がいた。
だからこそ、強さを求めた。
それなのに、こんなに自分は弱い。
「俺は弱いな、、、強くあろうと、心に決めているのに、、、弱い。」
つい弱音を吐くと、フィリアは真面目な表情で、はっきりと言った。
「強さとは、なんでしょうか。」
じっとこちらを見つめてくる。
「私は強さとは、物理的なものだけではないと思いますよ。」
クロエラも考えるように悩むと、つぶやくように言った。
「でも、私はカイン様を弱いとは思わないですが。」
「フィリア嬢に到底かなわないのにか?」
自嘲気味にそういうと、クロエラは首を傾げた。
「人にかなわないから弱いのですか?」
「え?」
「カイン様。それで言えば、強いのは魔王とかじゃないですか?自分がかなわないなら弱いというのは、違うと思いますよ。」
クスクスと笑うクロエラに、カインは驚いた。
「カイン様の求める強さとはどんなのですか?」
「俺の求める強さ。」
男らしくあることか?
人よりも勝ることか?
敵を退けることか?
最初は、兄のようにはなりたくないから強くなりたいと思った。
だが、果たしてそれは正解なのだろうか。
自分は兄をただ、認めたくなくて否定していただけなのだろうか。
自分とはあまりに違いすぎて、認めたくなかった。
けれど、心ではすでに分かっている。
兄は、強い。
自分を曲げず、自分の生き方を、自分の道を切り開いた。
そんな兄を、自分は尊敬している。
強さとは、、、。
「私は、ずっと努力をするカイン様を知っています。それに、お兄様の事を否定せず、自分が家督を次ぐと言って周りを説得した姿も知っています。そんなカイン様が弱いわけないじゃないですか。」
クロエラはまっすぐにそう言った。
カインは、それを聞いて、笑いが漏れた。
「そうかな?」
「はい。そうですよ。」
剣を持つ自分の手は、豆だらけで、とても無骨なものになっていた。
これまで自分が努力してきた証である。
強さとは、一つではないのだなとカインは思った。
頭がすっきりと晴れた。
「ありがとう。クロエラ。」
「ふふ。おかしなカイン様。」
あぁ、これはクロエラの高感度があがったぞ、と、フィリアはにやにやが止まらなかった。
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