↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/129

災いの魔力との対峙 119


 グリードの体は、災いの魔力で一気に飲み込まれた。


 そして、姿は暗黒龍へと代わり、恐ろしい漆黒の炎を空に向かって放つ。


 空は一瞬で色を変え、どす黒く雲が渦を作る。


「グリード。」


 その声が、届かないと分かっていても呼んでしまう。


 漆黒の翼は大きく、その黒曜石のような瞳はフィリアを見据える。


 並ぶ歯列は鋭く尖り、口元からは炎が漏れる。


 禍々しく、恐ろしい姿。


 遠くから悲鳴が聞こえた。


 化物との声が聞こえる。


 ざわめき、泣き声、怒鳴り声、罵声、悲鳴、人々の恐怖。


 それをグリードに向けるな。


 自然と、フィリアの瞳からは涙が伝っていた。


 体が引き裂かれる痛みを知っている?


 耳鳴りのようなおぞましい声を知っている?


 繰り返される永遠とも思われる絶望を知っている?


 グリードは、それを全て知っているの。


 なのに、人を憎みもしないで、それを受け入れて、なんてことのないように、振る舞ってしまえる人なの。


 私が怒るのは筋違い。


 だけれど、怒らずにはいられない。


 人々の礎になり、犠牲になり、皆の平和のために犠牲になったのに、人々はそれを知りさえせず、それを当たり前だと思っている。


 今の平和は、当たり前ではないのよ。


 平和を得る為に、犠牲になった人がいて、その上に私達は今立っている。


「グリード。」


 悲しみが溢れる。


 グリードが泣いている。


 自由にならなくなった体に、苦しんでいる。


「大丈夫。その怒りを私にぶつけて。」


 大丈夫。


 だって、この日の為に私は自身を鍛え上げてきたのだから。


「貴方の怒りも、悲しみも、すべて私が受け止めてみせるわ。」


 両手に聖剣を生みだし、自身の体を聖なる魔法で包み込む。


「だって、私は。」


 にっこりと、笑顔を向けた。


「ヒロインだもの!!」


 暗黒龍は、フィリアに向かって黒い炎を放つ。


 フィリアは、それを聖剣で受け止めると、空へと弾き飛ばした。


 空に飲み込まれた炎は雷鳴を呼び、雲の中で光と炎が入り交ざる。


 落ちる雷鳴には、災いの魔力が混じり、地面に落ちるとそれは素早い小さな龍へと変わり地を這い回る。


 フィリアは、魔力を聖剣に込めると、地面に叩きつけた。


 すると一瞬で、小さな龍へは光へと変わり消えていく。


 暗黒龍がにやりと笑った。


 フィリアも、笑みを返す。


 暗黒龍は、口の中に炎を貯めるとそれを一気に吐き出す。


 フィリアは、炎に向かって聖なる魔法を込めた聖なる水を放つ。すると、炎は消え、地面に落ちた。


 炎が駄目だと分かった暗黒龍は、翼を広げ空へと飛び立つ。


 フィリアも後を追い、自分の背中に魔法で翼をつけると空へとと舞上がった。


 暗黒龍の起こす風にフィリアは押されながらも懸命に追いかけ、背中に貼り付いた。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=680220678&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。