卒業式 118
青く澄んだ空に、鐘の音が響き渡る。
これは祝福の鐘の音。
学び舎で共に過ごしてきた者達の新しい門出を、未来に広がる希望を、祝う音色。
先生や、後輩が見送る。
卒業生は胸に花を飾り、背筋を伸ばして友と語らう。
そして、卒業証書が手渡され、皆が、一同に広場に集まる。
花びらが舞い上がる。
何度も見てきたスチル。
四大貴族の皆様は、婚約者の手を取り微笑んでいる。
その姿を見て、フィリアはハンカチで涙を拭った。
「グリード。見て。なんて、なんて幸せな光景なのかしら。」
ユーリとエマはお互いの胸に一輪ずつ、おそろいの花を付けている。
きっと、自分達で育てた花をお揃いで付けたのだろう。
あぁ、可愛い!
カインとクロエラはさり気なく襟元にお揃いの貝殻の形をしたピンをつけている。あれはレアアイテム。好きな人とお揃いにすると幸せになれるという。
あぁ、素敵!
ロイとマリアは、卒業式なのにも関わらず本の話題で盛り上がっている。しかし、気づかないとお思いか?眼鏡をお揃いにしたんですね?素敵なおしゃれ眼鏡。
あぁ、仲良し!
シオンとシェーラは、相変わらず仲が良さそうにほんわかとした雰囲気の中話をしている。
はい。さすがシオン様。
シェーラ様とお揃いの指輪をすでにつけていらっしゃる!
あぁ、ごちそうさまです!
「私、もう鼻血が出そうだわ。」
「鼻栓をしておくか?」
「グリード。これでも私も乙女だからそんな事できないわ。」
「そうだな。それで?フィリア。」
「なぁに?」
「幸せか?これがお前の願いだったんだろう?」
「え?」
「小さい時から、ずっと言っていただろう?卒業式に皆が幸せな姿を見てやる!それが私の幸せだって!」
クスクスと笑いながらそう言うグリードに、フィリアは、笑顔を向けた。
「えぇ!願いは叶ったわ!」
皆が笑顔だ。
悲しそうな顔の令嬢は一人もいない。
その時、ルーナを見つけた。
ルーナはハロルドに手を引かれて恥ずかしそうにしていた。
あぁ、眼福である。
鐘が鳴り、鳩が飛び立つ。
これは間違いなく、ハッピーエンドである。
けれど、悲しいかな。
そう。
最後のイベントは、やはり、訪れる。
「フィリア、、、、、そろそろ。限界だ。」
「グリード。、、、、大丈夫。必ず救ってみせるわ。」
「迷惑をかける。」
生徒達が、避難していく。
これは、事前に打ち合わせをした通り。
グリードの瞳をフィリアは見つめた。
「大好きよ。」
次第に、その大好きな人の瞳は災いの魔力に飲み込まれていく。
グリードは笑った。
そして、災いの魔力が、グリードの体から吹き出した。




