アイデール王国 109
アリアは魔法が途切れたのを感じ、焦りを感じた。
アレクシスの時もだったが、自分の魔力に酔い魔法に掛かるのは容易いが衝撃に弱いのが難点であった。
「きっと、ルーナね。あの女。本当に邪魔だわ。」
けれどこのままではいけない。
一番はアレクシスを狙っていたのに残念だ。
この国にいるのも得策ではないだろう。
やはり、レクスに魔法を掛けて、国外へと逃げてからレクスに稼いでもらい豪遊するのがいいだろう。貴族社会は、堅苦しいし息が詰まる。
アリアはそこまで決めると、レクスの部屋へと人に見つからないように進んで行く。
見張りの騎士もおらず良かったと思ったアリアはレクスの部屋へと入っだ。
ベッドにはレクスが横になっている。
アリアは部屋いっぱいに自分の魔力を充満させていった。
そしてニヤリと笑う。
だが、突然騎士らが現れるとアリアに剣を向けてきた。
アリアは青ざめ、両手を上げると悲鳴を上げた。
「キャァァ!何?何なの?!」
扉から、ハロルド、ルーナ、フィリア、グリードが現れ、アリアを見つめる。
アリアは慌てて猫をかぶるが、ルーナの一言で青ざめた。
「現行犯ですわね。」
「な、何のことですか?私は、レクスさんの様子を見に来ただけです。」
フィリアは、ニッコリと笑うと言った。
「この部屋いっぱいの、あなたの魔力という証拠があるけれど?」
アリアは苦々しい表情を浮かべると、レクスに向かって叫んだ。
「レクスさん助けて!」
だが、先程までいたレクスが、消えている。
「え?レクスさん?!」
グリードがうんざりしたように答えた。
「レクスは別の部屋だ。幻覚の魔法など初歩の魔法だぞ。」
ハロルドは怯えるアリアにニコリと笑みを向けた。
「悪い事はするものではないね。」
アリアはキッと睨みつけるようにルーナを見た。
「貴方のせいよ!私は皆から愛されていたのに!」
「愛ね。」
ルーナは扇子を取り出し、口元を隠すところころと笑った。
「貴方の言う愛のなんと薄っぺらいこと。殴られるだけで消える愛なんて、可愛そう。」
「貴方なんて最初から愛されないくせに!僻みじゃない!」
その言葉に、ルーナは眉間にシワを寄せた。
何故この女にこんな言葉を言われなくてはならないのか。
けれど、ウィリアム殿下に愛されてなどいないことは明確で、ルーナは苦しくなる。
泣くな。
泣いたら負けだ。
そう思っていた時であった。
ルーナの肩をそっとハロルドが抱き、そして甘い瞳でルーナを見つめた。
「心配されなくても大丈夫。この人は私が愛し、落としてみせるから。」
アリアだけでなくフィリアもルーナも目を丸くした。
グリードはため息混じりの息を漏らしている。
ルーナは最初何を言われたのか分からず、呆然としていたがみるみるうちに顔を真っ赤に染め始める。
アリアは奇声を上げた。
「どういう事!?なんでよ!離して!はなせぇぇぇ!」
騎士達はそんなアリアを押さえつけ、連れて行った。
「ななななな何を!?」
「ん?」
にこりと笑ったハロルドは、ルーナの頭を優しく撫でてニコニコとしている。
フィリアはその様子に驚いたものの、確かによくよく見てみればお似合いの二人である。
しかもハロルドの方がルーナをかなり気に入っている様子だ。
うん。
よし、応援しよう。
その心の声がルーナに聞こえたのか、戸惑うルーナにフィリアは睨みつけられた。
何故だ。解せぬ。
「は、、ハロルド殿下。止めて下さいませ。な、、何を突然。」
「うん。ごめんね。では、まぁ国に帰ってからおいおい色々と決めていこうね。大丈夫。私は気は長いから。」
「は?!何を決めるのです!?」
ハロルドはにっこりと笑うだけであった。
その後、アリアは幽閉措置になり、アイデール王国の王子等はアレクシスが殴りつけて正気を取り戻した。




