お客様が来ました 9
精霊もグリードさんも常識がありません。
楽しんて読んでいただけたら嬉しいです!
殺気をグリードが放ったときには心臓が止まるかと思うほど驚いた。
過保護に拍車がかかっている。しかも、それを止めるために、だっこって、あなた。恥ずかしすぎて悶え死にそうだった。
屋敷に帰ると、精霊達がわらわらと集まってくる。
グリードが一緒に住み始めてからさらに精霊は増え、屋敷全体に住み着き、林の中も賑やかになり始めた。
「フィリア。」
グリードが名前を呼びながら、また首筋に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
「どうしたの?」
何も言わないグリードはどこか不安げで、何にそんなに不安を抱いているのかフィリアは眉間にシワをよせた。
「グリード?」
顔を上げたグリードの揺らめく瞳と目線が合う。
「好きになったり、、、してないか?」
わぁお。これはヤキモチさんですね。
かまってちゃんですね。
なんて可愛いのでしょうか。
「グリード、前に話したでしょう。私は彼らと悪役令嬢を応援しているのよ。好きになんてならないわ。」
その言葉にほっとしたように、グリードは笑みを浮かべた。
「よかった。我も一緒に応援するから、好きになってはダメだぞ。」
「当たり前よ。」
そう答えながら、グリードさんは私に恋愛をさせる気がないな、あれ、私結婚出来ないかもしれないぞと内心思ったフィリアであった。
さて、これで攻略キャラの誘拐もふせいだし、とりあえずよかった。
よし、次の問題である。
攻略キャラと出会ったらライバルキャラが登場するはず。つまりいよいよ、悪役令嬢に会えるのだ。
だが、普通なら登場予定は1人だったのが今回は4人共に登場した。これはもしや、悪役令嬢達も勢揃いで登場するのだろうか。
しかも、本来なら今日町で会うはずだったが家に帰ってきてしまっている。どうなるのだろうかと不安がよぎる。
『誰かキタ!キタ!』
『キタ!テキ?ケス?』
おっと恐ろしい発言が聞こえたぞ!
最近精霊達がよくお喋りをするようになり、すごいなぁと我が子の成長のように感じてしまう。
けれど、どこでそんな恐ろしい事を覚えてくるのか。
「いや、消すのは相手が分かってからだ。」
わぁお。ここに犯人がいました。
「ダメです。消すのはなし!グリードも恐ろしいことを教えてはダメです!」
すると小声でフィリアにはバレないようにという恐ろしい声が聞こえた。
「バレなくてもダメです!そんなことをした子とは絶交です。」
すると精霊達が怯えたようにざわざわと慌てだした。
『ダメ!ダメ!精霊全体に通達!ケス!ダメ!』
消す気満々だったのかと精霊が少し恐ろしく感じた。
フィリアの服をぎゅっと掴み、潤んだ瞳でグリードは言った。
「我もだめか?」
「ダメです!ぜーったい!」
何自分だけはいいと思っているのだ。
精霊にもグリードにもあらためて常識を教えていかなければいけないと思うフィリアであった。
お客様が出てきませんでした。
読んで下さりありがとうございました!




