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幕間~王国の夜~

果てしない広さを誇り、異様とも言える資源の豊かさの湖の中心にそびえたつ、歴史を感じることのできる壮大な城を持つ国。


『ル・エリテーゼ王国』


この世界においては1・2を争うほどの歴史を誇り、魔法の力を借りて発展を遂げてきた超大国である。

しかし、これらの発展には大きな犠牲もつきものであった。


ル・エリテーゼ王国は2度の大戦を経験している。


1度目は国を興したばかりの頃。湖の統治と資源を巡り、いくつかの小国が群れをなして侵略してきたのだ。

2度目はつい最近。といっても、20年も前の話なのだが。発展も著しいものになってくると、やはり他国からの恨みをかうようで……。今度は別の大国が宣戦布告し攻め込んできたのだ。

どちらの争いも10年単位の月日を要し、人と土地を蝕んでいった。

そんな争いに終止符をうったのがル・エリテーゼ王国の宮廷魔法士団である。

戦争の概念を変えたとさえ言われる対国家超殲滅魔法を開発。


1度目の戦争では小国を丸ごと消したとさえ言われている。


そんな超魔法も戦争時以外は厳重な封印がなされており、その封印を解くための呪文は歴代の筆頭魔法士にしか教えられていない。

そんな超大国の恩恵を受けて発展した街では、外周部を巨大な壁がぐるりと囲み、地域ごとに区分けされた場所を、王国から派遣された魔法士を隊長として、それぞれの自警団が守っていた。

巨大な戦力を盾にして、この国では自由貿易が認められており、一定の税さえ納めていれば定住も自由であるという、商人にとっても冒険者にとってもありがたい街となっている。


「ふわぁ~……」


街を囲む壁に設置された4つの入場門の東側に位置するこの場所を担当する若い兵士は、任務の退屈さに思わず小さなあくびを漏らした。


「おい。これだけ夜も更けると、人の出入りもなくなって退屈になるのは分かるが、人の代わりに魔物が出る時間だ。気を抜くな。」

「は、はい!」


入場門の担当は5人1組が基本である。

これほどの人数が必要なのかと思うだろうが、昼間は商人やら冒険者やらの入場が相次ぐのでかなり忙しくなる。

しかし、夜間はというとかなり退屈なのだ。街の周辺にももちろん魔物は出現する。しかし、宮廷魔法士団の訓練でそのほとんどが討伐されてしまっているのだ。

ここまでやってくる魔物といえば、はぐれ魔物と呼ばれる単体がほとんどだ。

あくびが出てしまうのも仕方のないことだろう。


「でも隊長。魔物が出たところで、隊長の魔法で1発じゃないっすか。」


若い兵士は自身が「隊長」と呼ぶ壮年の魔法士を見た。


「そうかもしれん。しかし、魔物はいつやってくるか分からないからな。それに、私の魔法は近距離を苦手としている。もし外してしまったときは、お前たちが頼りだ。」


そう言って、壮年の魔法士は若い兵士を見た。

実際、この壮年の魔法士の言っていることは間違いではない。

魔法士にはそれぞれ得意とする魔法があり、お互いが短所を補うことで、この王国が攻守に秀でた超大国として君臨し続けているのだ。


「まぁ、宮廷魔法士団筆頭のミシェル様であれば、そんな弱点などありはしないのだがな。」


壮年の魔法士は自分よりも一回りも二回りも若い魔法士のことを考え、深いため息をついた。


「ミシェル様って、この国1番の魔法士の方っすよね?金髪で髪の長い。あとは……胸のデカイ人。」


若い兵士の言葉を聞いて、壮年の魔法士はより深いため息をついた。


「最近の若い奴の印象ってのはそんなもんなのか……。まぁいい。俺は戦場であの方の戦いを目にしたことがあるが、あの方の力は誰よりも隔絶されておられる。あの人が歩いた後に、生きている魔物など存在しないのだ。」

「へ~……」


今一つ理解できていない若い兵士に、壮年の魔法士は、その凄さを理解させることを諦めた。


「まぁ、いつかお前も目にする時が来るかもしれん。その時までに、お前はお前で鍛練を積んでおけよ。」


それだけ言うと、壮年の魔法士は別の部屋に書類整理に行ってしまった。


「そんなすごい魔法士がいるこの王国に、攻めてくる馬鹿がいるのかねぇ~。」


若い兵士は、そんなことを呟きながらも、自身の武器を磨き始めた。


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