ミッション8.5「傍目からすると、どう好意的に見ても○○です畜生めえええええええ!」
壁|ω・`)約一年と五ヵ月ぶり…遅筆スマソ…
聖地エルロマが死人の軍勢に襲われるという大惨事の後日…
地理、言語、宗派的にも親和性が高いということでアウグストゥス正統王国に
生き残ったエルロマの民たちが身を寄せてきて結局ウィンダリアウスは
クラップフェンの予告通り多忙な事態に陥って違う意味で死人になりそうだった。
「こちらもお願いいたします陛下」
すでに書類の山に埋もれているウィンダリアウスの視界を塞ぐように
ドカドカと紙束を置くクラップフェン。
「え、ちょー、クラップフェンマジかー…(´Д`;)」
「マウナやゾンゲルをはじめ、文官総動員で仕事は回せるだけ回してますが、
如何せんどうしても陛下に目を通していただかないとダメなものが多いのです」
「……ヴェー…(@д@)」
「いやしかし…羊皮紙や草簡に比べて和紙というものは凄いですね。
この薄さもさることながら筆の走りや印字のノリが素晴らしい…
草簡に似た製法にもかかわらずコストは何気に低いですし…」
和紙の手触りを楽しみながら書類にサインや判子を押して、やっぱり紙束を
目が死にかけているウィンダリアウスの前にドサリと置くスヨーヴィン。
「ばーかやろー…! だから余計な書類仕事が増えてるんだよマヌケぇー…!
王様である俺様が書類処理とかマジおかしいだろーが!」
「効率性が高まったと仰ってください陛下…あ、この書類は
サインと判子だけで大丈夫です…47枚ほどで終わりますのでこれは急ぎで」
「…おぉぉおぉおぉ…!」
ウィンダリアウスの瞳から光が消えそうだ。
「陛下、この書類全部片づければ休めますよ」
出来る男であるスヨーヴィンの一言に、
すかさず何かを言おうとしたウィンダリアウスだったが
「そういうことです陛下。三 日 三 晩 死 ぬ 気 で や れ ば
およそ四刻の休憩時間が取れる計算です。追い込みをかけましょう」
無情な言葉とともに遮られる。
「……助けて母上様(´TдT`)」
ウィンダリアウスの目はもう死んでいた。
……。
…。
一方そんなウィンダリアウスの地獄とはまた一味違う
インフェルノ即ち氷結地獄状態で正座させられているギヨーム。
氷結に対する耐性が【神大不可侵】だからこその離れ業とはいえ、
普通なら凍死していることを慮ってもらいたい。
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<基本情報>
名前:アリーエ【アリーエ・アンジェリーナ】
年齢:10
性別:女
種族:不死族【転生】
<身体能力ステータス>
格位:95【生ける聖骸】
生命:C(5827)
精神:S+(67287)
腕力:C(122)
体力:AAA(7852)
速力:B(254)
理力:AA(643)
抵抗:AAA(4099)
<属性親和性【耐性】>
地:224【三種無効】
水:202【三種無効】
火:77【激減】
風:23【軽減】
雷:18【軽減】
冷:21【軽減】
光:87【高耐性】
闇:84【高耐性】
波:24【軽減】
星:8【微減】
<加護>
『光の不死者』
『龍脈本流器』
『神使徒の主』
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「とりあえずギルドで身分証代わりにカード発行しましたけど…
この子の能力もとんでもなさすぎます…!」
手にした赤髪の幼女ことアリーエのギルドカードを見て
薄ら寒そうな様子のシュリール。
「種族の横に【転生】と出てる…」
横から覗き込むシオンも目つきはいつもより鋭い。
「………」
ギヨームは喋らない、いや喋れない。何故なら氷漬けだからだ。
「たいちょーがウッカリ壊しちゃった二つのアーティファクト級アイテムが
粒子化したと思ったら幼女さんが現れたという証言は
トリスさんの証言とカメラ映像が物語ってますね」
「全く以て非常に残念です」
「(トリス、貴様…! 今の発言は様々な解釈できんだぞ…!?)」
ギヨームは氷漬けなので喋れないが体内通信でトリスを罵倒した。
「生前の事、覚えてる?」
「生、前…?」
「………不死者に襲われる前のこと」
「……不死者………あ…マリオ…ブルーノ…ロッソ…う、う…うぁあぁぁ……!」
シオンの問いかけに涙を零しながら頭を抱えて蹲ってしまうアリーエ。
「うーん…難しいですね」
「(……あくまで推測なんだが、この子は意識が完全に途切れるまで
ゾンビに貪られたとかそういう状況だったんじゃないのか? だとしたら
10歳の子だしショックがデカすぎて厳しくないか?)」
「(やっぱり最悪なパターンしかないですかね、たいちょー)」
「(とりあえず励ましまくるとして…そろそろ氷漬けから脱出していいか?)」
「(そうですね。たいちょーの疑惑も晴れましたし)」
「(……最初から俺は無実だって言ってたけどな!)」
体内通信を終え氷漬けから脱出するギヨームにギョッとするアルク以外の面子。
「…いきなりは止めて」
「ギヨーム殿が氷結に異常なまでの耐性を誇るとわかってますが…
やはり心象的によろしくないです」
「あーすまんすまん…っていうか氷漬けだと普通に喋れないからね?!」
ギヨームはゆっくりアリーエに近づいて、目線を合わせた。
「元気出せとか、頑張れとかは言わないぞ」
一瞬ビクッとされたが、何も言わずギヨームはアリーエの頭を優しく撫で続けた。
「……………みんな…みんな怪物になっちゃった…! マリオも!
ブルーノも! ロッソも! …ルティ姉も…みんな…みんな…!」
震えながらも言葉を紡ぎだそうとするアリーエをギヨームはひたすら撫でた。
「……パニス屋のおじさんも…花園を手入れするおばちゃんも…
どんどん怪物に食べられて…怪物の仲間になって…」
ガタガタ震えだしそうになるアリーエの肩にも優しく添えるように
空いている手を置いてやるギヨーム。
「…何も…何もできなかった…最初に出会った怪物の"中"に閉じ込められて…」
「……生きながら体内に取り込まれてた…?」
アリーエに憐憫の表情を向けるシオン。
「やめてって言ってるのに怪物は笑うだけで…! 悔しくて…! 苦しくて…!
わたじが…ふぐゅ…わだじがぁ…ふぐぁうにゃあぁあうぁぁ…!」
「……」
嗚咽がひどくなって何を言っているのか聞き取りにくくなってきたが、
ギヨームは何も言わずアリーエの頭を力加減を見つつ優しく撫で続ける。
何分かそれを続けていたらアリーエの嗚咽は少しづつ治まってきた。
「…んぅ…ひっく…お兄さんとお姉さんが怪物達を
どんどんやっつけていくのが見えたとき、私を閉じ込めた怪物が
凄く怖がってるのが分かって…」
アリーエは鼻水を垂らしていたので何も言わず拭き取ってやるギヨーム。
「怪物がきっと悪いことが起きる呪文を唱えていたかと思ったら、
光に包まれて……すごく痛かったけど…あの怪物がもっと痛そうだったから
ざまあみろばーかって思いながら…後は全部まっしろになったの」
「ごめんな。もうちょっと痛く無い方法を取れたかもしれなかったんだが、
あの時は俺も余裕がなかったから」
「………いいの。お兄さん悪くないよ。悪いのは私を閉じ込めた怪物だもん」
アリーエは自分で涙を拭くと、ギヨーム達を見回した。
「でもね、まっしろになるときにね? "助かったー"って
聞こえたんだよ? 怪物になっちゃった皆は
お星様の向こうにいる統一神様のところに行けたんだよね?」
鼻を啜ってもしかすると無理矢理感がある笑顔を皆に向けるアリーエ。
「多分、な…」
ギヨームはアリーエに少し引きつってしまったが笑顔で応えた。
他の面子は面子でアリーエに如何声を掛けてやればいいのか困惑している。
いつの間にかここにいたゾンゲルは視線を逸らした。
「でもね? マリオたちはね? 私と一緒に来てくれたんだよ?」
「「は?」」
「「え?」」
「ん?」
「へっ?」
「そうだよね? マリオ?」
アリーエは小気味よく一回手拍子する。
するとアリーエの近くに人が一人入れる程度の大きさの魔方陣が現れ、
そこからエレベーターが上ってくるように、純白の鎧のような衣を纏い
手斧二振りを腰に差したアリーエと同じくらいの年頃だが少し無造作ヘアな銀髪と
血の気を感じさせないほど青白い肌に虚ろな赤い瞳をもつ少年が出現する。
「い、不死者がッ?!」
思わず武器を手に構えてしまったシュリール達。
それに呼応するように純白の装備の少年も虚ろな瞳はそのままに
腰の手斧を二刀流で構える。
「マリオ? 危ないから手斧持っちゃダメだよ」
純白装備の少年…マリオはアリーエを一瞥し、手斧を腰に戻す。
「えーと…?」
さり気なく懐の拳銃に手を掛けていたギヨームは空いてる手で
頭をポリポリしながら苦笑いでアリーエに話しかける。
「どうしたのお兄さん?」
何気にマリオの傍から新たに複数の魔方陣を出現させ、
そこから武装こそ少し違えどマリオ同様に純白の装備に身を包む
銀髪に青白い肌と虚ろな赤目の少年二人…に加えて
綺麗に白骨化した純白の修道服を着たシスターらしき者が現れる。
「(なあ、コレどう突っ込めばいいんだろう?)」
「(たいちょ-、流石にコレはボクもちょっと力になれないですよ…?)」
「(生体反応ゼロ、しかし敵対反応+病原性ウイルスもゼロですね)」
体内通信で内緒話を試みようとするも
やんわり斬られたので苦笑いが増すばかりのギヨーム。
「…あ、ルティ姉はね? 行くか行かないかでちょっと迷っちゃったから
なんかガイコツさんになっちゃったけど…あれ? でもそうなるとこの間
ルティ姉が履けそうで履けなかった黒いスケスケの…―」
何処から取り出したのか、骸骨の修道女ことマルティーナは
アリーエの脳天に軽く錫杖を振り下ろした。
「―ショーtびにゃっ!?」
ルティの行動に瞳こそ虚ろだが狼狽するような様子を見せる少年たち。
「痛いよールティ姉!!」
骸骨なので言葉を発することは出来ないが、
自分がアリーエにしたことに対して申し訳無さそうに頭を垂れるマルティーナ。
何気にマルティーナとアリーエの間を右往左往していた少年達も胸を撫で下ろす。
「もう…! "綺麗に痩せたから良かったね"って言おうと思ったのに…!」
え? そこ違くね? と言いたそうな振る舞いを見せた
マルティーナ+マリオ達だっだが、アリーエはそこには反応しないようだ。
「(…マジでどう突っ込んだら良いんだコレ?)」
「(ボクに振られても困りますよたいちょー…(;-ω-))」
「(いつものように無情に残酷に振舞えば宜しいのでは?)」
「(今そんなボケはいらねぇ真面目にやれトリスAS-0982)」
シオンがジト目で見つめてくるも、気付いて無いフリをするギヨームは
引きつった笑顔を取り合えず張り付いた笑顔に頑張って変換することにした。
「えーっと…ありれっ、アリーエちゃん?」
「? ホントにどーしたのお兄さん?」
「今出てきた子達なんだけどさ…?」
「…あ! ごめんねお兄さん達! えっとね、最初に来たのがマリオで…」
促されるままギヨーム達に少年達を紹介していくアリーエ。
別に聞いてはいないのだが、ブルーノは双頭の槍こと騎乗双剣を振るい、
ロッソは巨大な三日月刀を扱い、マルティーナは先ほどの錫杖に加えて
棘鉄球や戦金鎚で不死者を
二度と蘇らぬよう完膚なきまでに滅殺獄殺圧殺轢殺撲滅するのだそうだ。
「Et perdes omnes mortui sunt! Et perdes omnes mortui sunt!
Et perdes omnes mortui sunt! Et perdes omnes mortui sunt!
Et perdes omnes mortui sunt! Et perdes omnes mortui sunt!」
さらにマリオ達の武装云々を流暢に喋っているうちに何故か興奮してきたらしく、
アリーエは正統王国語ではない言語で連呼し始めた。
「な、何ぞ?!」
「これ、多分…古代聖都語」
さりげなくギヨームの傍に寄って一見には分かりにくいドヤ顔で答えるシオン。
「正統王国語に類似する語彙が多いので容易に訳せますね…
ギヨーム様。彼女は"ロリ☆ンは皆死ねば良い"と連呼しております」
「ロ☆コンは絶対違うに最近のお気になやや甘口アウグストゥスワインを
ワインセラー内の全部賭けてもいいんだぞゴルァ?!」
「ギヨームの勝ち…? 精霊はギヨームに何を支払うの?」
「まさかちょっとしたジョークに本気で返されるとは…」
「この…ッ!」
ギヨームは銃を連射したい衝動に駆られたがアリーエの手前なので自重した。
ならばと煙草に火を点けたかったが、やはりアリーエの手前なので自重した。
「Et perdes omnes mortui sunt! Et perdes omnes mortui sunt!
Et perdes omnes mortui sunt! Et perdes omnes mortuひにゃっ…!」
尚も連呼をやめないアリーエを今度は本当に軽く錫杖で小突いたマルティーナ。
「…あ、ごめんルティ姉…」
アリーエの謝罪に首を振って改めてギヨームに向き直るよう促したマルティーナ。
「そうだね。大事なことだもんね」
どうもアリーエは先ほどから言葉を発していないマルティーナ等と
意思疎通ができるらしく、さらにマリオ達の
軽いボディーランゲージを受けた後でギヨームの居る方ににちゃんと向き直った。
「…んんっ?」
アリーエとマリオ達はギヨームにあろう事か跪いて頭を垂れた。
「この度は私に、私の掛替えの無い友人達に類稀な機会をお与え下さいまして
真に有難うございます。この身は既に人ならざる者の身ではありますが、
粉骨砕身の働きで貴方様のお役に立てますよう励む所存です。
今後とも私共々よろしくお願いいたします…お兄さ…ギヨーム聖上…
…もう、私だってこれくらいちゃんと言えるよルティ姉?」
少し頬を膨らました顔でマルティーナを見ようとして
そのマルティーナの姿勢を正されるアリーエ。
ちなみにギヨームはギヨームで氷結地獄状態でも無いのにフリーズしていた。
ミッション9に続く
壁|))スッ




