プロローグ
神殿の奥にある一室で、神殿長が魔術師に指示する。
「国を揺るがす地鳴りから救う勇者を、今ここに」
魔術師が床に描かれた大きな魔法陣の前に立つ。
その後ろで、神官たちが地図の描かれた石盤に魔石を置く。
「神殿の位置に、置きました」
「召喚に必要なだけの魔石を」
そう言って魔術師が振り返り、神官の持つ袋の中に手を入れた。
いくつかの魔石を取り出す。
石を手に、魔術師が詠唱を始める。
床の魔法陣が淡い光を放ち始めた。
そのとき。
ぐら~り、ぐら~り、
地面が揺れた。
揺れは徐々に、そして急に大きくなった。
「ああっ! 」
袋を持っていた神官が体勢を崩す。
袋の中に残っていた大量の魔石が、ばらばらと魔法陣の上に散らばった。
それとほぼ同時に、石盤上の地図に置かれていた魔石の位置がずれた。
床にうずくまっていた神殿長は見た。
魔法陣から放たれた大きな光が、部屋の窓と周囲の壁を破壊して外へ向かい、郊外の森へ吸い込まれるように消えた。
ドーン!
遠くで、大きな音が響いた。
やがて、揺れがおさまる。
神殿長はゆっくりと立ち上がり、言った。
「――聖女様を、お呼びしろ」
第4話まで、明日より連日公開です。
その後は月・水・金の公開を予定しております。




