第16話 終演
ドスッ。
大江の腹には刀が突き刺さっていた。
なぜか。
明快である。虚実は逆手のままただ剣を振り下ろしたのだ。
大江は吐血し、気絶。
「けっ決着ううううう!!勝者っっ!!!日本刀代表須佐野虚実いいいいいいいいい!!!!」
湧く会場。その声は虚実には届かなかった。
―ピコンピコン
もはや耳馴染み。
「おー。起きた起きた。君もう立って大丈夫だよ。」
「いいんですか?」
「うん。」
「ありがとうございました。」
「はいよ!」
「よう須佐野!起きたか!」
「三浦、おれ、どのくらい寝てたのか?」
「大体3時間くらいだな。」
「そうか。大江さんは?」
「あの人は手術だ。なんせ手首が取れちまったからな。つけないと。」
「そうか。それはそうと、俺は勝ったのか?」
「覚えてないのか?勝ったじゃねえか!最後はぐさーっと差してよ!」
「そうだったのか。」
「その後すぐ気絶したからまあ覚えてないのも無理はないな。」
「ああ。最後の技は『虚』を応用したものだ。前に言ったことあるだろ?無意識下で行われる領域が広がるって。」
「あーなんか心臓がかってに動くみたいにどうのこうのってやつか?」
「そう。『虚』ではその領域を広げてるんだけど、最後のやつは、もともと無意識のやつを意識的に、意識的なものを無意識にしたんだ。もちろんもともと無意識のやつで切り替わってないところもあるとは思うけど。そして俺は五感をほぼすべて遮断した。視覚をほんの少し残してね。無駄なカロリーを使わないように。あとは体が勝手に一番効率よく致命傷を出せる攻撃をしたんだ。」
「む、難しいな。」
「俺自身まだ掴みきれてないしな。」
「そうか。」
「浜田。」
「なんや。」
「これ、バズったのはもちろんやけどものすごいことになってんで。もうバズったとかじゃ言い表せんくらい伸びてるわ。」
「せやろ。」
「これ第2回決定やな。」
「そうや。もうスポンサーもえらいいっぱい来てるわ。」
「もう?早いなー。」
「そして金もやけど選手もそうや。世界チャンピオンやらなんやらも続々。」
「こらおもろくなるな。」
「えー、みなさん、松本です。まず、どーでしたか?東京コロッセオ。もう大満足でしょ。こんなにおもろいとは思わなかったです。そうですよねー。あのー、これバズり散らかしてまして、もう第2回のスポンサーやりたいって会社もあるんですよ。気が早い気が早い。まあでもそんだけおもろかったなら良かったです。これ閉会式ですけどもね、やはり閉会式ならば表彰式もありますので。それでは出てきてもらいましょう。東京コロッセオチャンピオンはこの方です!」
虚実が出てきた。その手には刀が握られている。
「日本刀代表の須佐野虚実選手です!いやー予選初日からものすごい盛り上げてくれて。ほんとにおめでとう。そしてありがとう。なにかコメントありますか?」
「いやー、まあ、なんというか、嬉しい気持ちはありますけど、純粋にこの大会が楽しかったです。」
「いいことですねー。あ、そうだ、あのー準優勝の大江選手からぜひ伝えてくれと、言われていることがあるのでいいますね。『いつか道場破りに来るから覚悟しとけ』だそうです。あのー彼は治療中なんで出てこれないんですけど、どうですか?これ聞いて」
「ワクワクしますね。どんな戦いになるのか。」
「目がほらもう!輝いてるもん。あのー、次の戦いがワクワクするで言うとなんと!第2回大会が決定してします!さっき気が早いとか言いましたけど、これホンマにおもろいから、もうやります。お楽しみに。では須佐野選手、ありがとうございました。」




