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第1話 始まり


 空は茜色に染まり、遠くの山並みが黒く沈んでいた。


 風は涼しく、どこか塩の匂いが混じっている。ここは海と森に囲まれた国——和の国に似ているが、現実とは少し違う、不思議な気配が漂っていた。


 私は腰の刀にそっと手をかけた。


 刃は深い瑠璃色に輝き、峰には桃色の光がほのかに揺らめく。月光が当たると、その光はまるで夜明けの空のように明るさを増した。


 隣には、もう一人の仲間が立っていた。


 彼の刀は紫紺の刃に金の稲妻模様が走り、夕陽を受けて鋭く光っている。


「行くか」


 低く落ち着いた声が、夕暮れの空気を震わせた。


 私たちは王族の血を引く者らしい。


 しかし城に縛られることなく、国を守るために外の世界を旅している——そんな立場だった気がする。記憶は少し曖昧だが、胸の奥で確かな使命感が燃えていた。


 そのとき、森の奥から太鼓の音が響いた。


 ドン、ドン、と重々しく、しかしどこか急かすように。祭りの音にも聞こえるが、妙に不穏だ。


「間に合うかな」


 私がつぶやくと、彼は一歩前に出て刀を抜いた。


 紫と金の刃が、夕陽の残光を受けてぱっと輝く。


「行こう、あいつらを止めないと」


 私も刀を抜いた。


 瑠璃色と桃色の刃が日輪のように輝き、胸の奥の鼓動と呼応するかのように震えた。


 二人は同時に駆け出した。


 森の中へ、太鼓の音のする方へ——。


 青と桃、紫と金。


 二つの光が、夕闇の森を切り裂くように駆け抜けた

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