奪還作戦
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拙い文章ではございますが、どうか楽しんでください。
勇者 葉月真由
「春だというのにまだ寒いねえ」
東の空が明るくなってきていた。
いつもは朝までお酒を飲んで明け方に眠り、昼頃に目を覚まして練習用の槍で素振りをして汗を流し酒気を抜くという生活が続いていた。
フィーグルという地に来てもう8年が過ぎており、当時17歳だった私も25歳になっていた。
でも私達勇者は女神の恩恵を得ている為に4年ごとに1歳の年しか取らないので、肉体的には18歳であるが、勇者としての素養と祝福によるステータスにより人として生涯最高レベル100に対して540と、クラスメイトの誰よりも高いレベルに達している事と、勇者としてもボーナスでステータスはすべて3倍の能力を持っていた。
重装歩兵としてのクラスを持っており、他のクラスメートよりも防御力が2倍以上持つ私は前衛で壁役として働いていた。学園では空手部に所属していたので天災級の魔獣の攻撃でも平気で受け止めることが可能で、精々平手打ち程度の痛みしかなく、余裕で討伐が出来ていた。
同じクラスの小田みのりは近所の幼馴染で、いつも一緒に遊んでいて、小、中、高とずっと同じ学校に通い、しかも同じクラスであった。
当然アドラ国内においてもみのりと一緒だし、どの作戦でも一緒にミッションをクリアしていた。
170cmの私よりも小さく茶髪のショートカットで目が大きくクリっとしていて、仕草もまるでハムスターのように可愛いみのりを結城のくそボンボンは狙っており、事あるごとに手に入れようと色々と画策していたが、魔大陸の遠征軍で勇者が2人必要とされていた為、結城の手から逃れるため2人で志願したものだ。
あの子は昔から人見知りが激しくていつも私のそばから離れる事がなく、直ぐに私の後ろに隠れてしまうし、フィーグルに来てからも戦闘訓練にはついて行く事が出来なくていつも城内の図書館に入りびたる日々を過ごしていたっけ。
まあ、あの子のユニークスキルが魔法博士って言うのも合っているかもしれないわね。
魔法や魔道についても研究熱心で今までありそうでなかった魔法もいくつか開発もしていたし、魔道を使える芝和歌子と一緒に研究もしていたことを覚えている。
3年前のドナクレア島の残党狩りに加わった時の魔龍攻略でも、あの子は怖がっていたので、後方の部隊支援として非難させて同じクラスの園田美穂と芝和歌子の3人でとどめを刺して討伐に成功した。
正面から戦っても勝てない魔龍が人の姿をしている時は通常より弱いことを結城から教えて貰い(ホントは聞きたくもなかったけど)その時を狙う為、敵陣地へ潜入に成功して寝込みを襲って複合毒と呪詛の重ね掛けがうまくいって倒す事が出来た。
まさかあんなきれいな人が恐ろしい魔龍に変化するとは思ってもみなかったけどね。
こうして私もみのりも男爵の地位をもらって、一応は安心できたのだけど最終目的は地球に帰る事。
帰還させてもらえる条件は未だに教えてもらってはいないが、半年前に吉野健太、藤田昌則、今野保志の3名が地球の知識と必要な物資を調達する為、地球へ帰還するのをこの目で見たので帰還はできる事に嘘はつかれていないのは理解した。
でも彼らは、なぜか復活したドナクレアの魔龍に殺されて死体でフィーグルに戻ってきたのを見た時は私のみならず、クラスメイト全員が驚いていたのは余談としておきたい。
だって、彼らは〈分解〉を掛けられていて、死んでしまっていて2度と復活できないようになっていた。
私は失敗などはしたくない。
絶対に生きて地球へ帰るんだ!
もちろんみのりも一緒にだけど、どんな汚い事をしてでも必ず帰ってお父さんとお母さん、そしてお姉ちゃんと弟に再会するんだ!
昨夜突然の招集があって軍議に参加すると、いつもの残党狩りから警備任務へと変更になった。
どうやら敵ゲリラ部隊に潜入しているスパイから今日の昼頃に飛空船と海船の軍港を狙ったテロ活動が行われると言う情報が入っていて私とこの間追加支援で来たクラスメイトの園田美穂と芝和歌子で使徒ヤーノと言う人族の戦士に誘われるままついて行き、私は軍港でゲリラの別働部隊を待ち伏せをして一網打尽にするという計画となっていた。
それにしてもソノッチとワカちゃんとはドナクレアの魔龍以来だから久々の共同作戦だな。
ローグインに来てからは全員別々の方面に増援として赴いていたから話は出来なかったけど、冬の待機期間中は色々話が出来て良かったな。
「鈴本が本国から取り寄せた新兵器もあるし、今回も戦功を挙げてやるんだ!」
今日も頑張って戦功を挙げて一日も早く地球に帰るんだ!
――――――――――
深夜の会議が終わってから3時間は経過してであろうか、簡素なベットで横になっていたヤーノは眠い目をこすりながらも起き上がり、洞窟の外にある小川におぼつかない足取りで向かい、到着してすぐに顔を小川に突っ込みながら、ガシガシと爪を立てて頭も洗い始める。
「っぷあー!目が覚めた!」
小川から顔を出して首を左右に勢いよく振りながら立ち上がると、タオルを持ってくることを忘れており、しまったと髪の先から幾つも水滴を滴たらせながら思っていた。
しかし、勇者時代に野宿や野営を経験したヤーノにとってはさほど問題にもならず、「まぁいいか」と気にせずにアジトの洞窟へ向かおうとしたが目の前にはタオルを持ったカーラが待っていて「どうぞ」とヤーノに手渡しをするのだった。
「おはようございます。と言ってもまだ暗いですね。ここのところ満足に寝ていませんのに」
「タオルありがとうカーラ。暗いうちに移動しておかなきゃ敵にばれちゃうからね。…それに今回の作戦は明日のローグインの援軍への被害が左右されてしまうからね」
「それでもです!寝不足は集中力を乱してしまいます。50年ぶりに戻ってきたというのに、休む暇もなく戦い続ける日々。夫婦の語らいも満足にできないままなんて私や義妹達も満足できてません」
「すまないな。でもこの作戦がうまくいけば、時間は取れるはずだから、もう少し頑張ろうな」
ヤーノは自分を心配するあまり抗議の言葉を発してしまったカーラに謝りながら、肩を抱き寄せながらアジトまでの極僅かな時間を妻を安心させるために費やすのであった。
うっすらと東の空が明るくなり始めた早朝と呼ぶには、まだ早い時間にヤーノとゲリラ部隊35名のメンバーは、現領主しか知りえない秘密の地下通路を通り、領都内へ侵入していた。
アドラ軍に支配されてから形成されたスラム街の建物の一角にゲリラ部隊は集結しており、最後の作戦についての確認と人員の配置を決めていた。
「………と、言う訳で5名1班で編成した第1~第2部隊は領主城への襲撃を頼む。そして2時間後には第3~第7部隊が手薄になっている軍港施設の破壊を実行してくれ。各班とも目的の施設破壊が済み次第即座にその場を離れアジトへ戻ってくれ。以上だ!」
ヤーノの号令の下に各班は散開して各々の潜伏位置へと向かうのであった。
この時、鼠人族の男に焦りが発生していた。
今まで知らされていた作戦の中身が違っているのだ。
勇者がヤーノを追いかける隙をついて軍施設の襲撃となっているはずが、勇者をひきつけながら、統治本部がある領主館を襲って兵を集め、手薄になった軍施設を襲う。
事前に知らせていた軍施設にゲリラ部隊の殲滅の為、兵力を集中させていることが予想される。
そして領主館が手薄になっているはずなので、今襲撃されては自分への信頼も、そしてゲ氏族再興が遠ざかってしまう。
鼠人族の男は班の一番後ろを歩き、隙を見て列より外れて仲間が見えなくなった事を確認すると、将軍のいる憲兵所へと駆け足で向かっていた。
「そんなに急いでどこに行くのかな?スイゲ君。いや、モンラッド・ゲ・コーワン子爵嫡男スイゲ・ゲ君」
鼠人族スイゲの名前を呼び、正面に立つヤーノとまるで忍者のような恰好をした黒ずくめの4人がスイゲを囲んで立っていた。
「なっ!貴様いつの間に。しかも諜報部の精鋭部隊まで!」
「ん?気づかなかったのかい?僕はとっくに君が裏切っていた事に気づいていたよ。君もう少し気を付けたほうがいいね。僕がカーラ達と再会して、どんどんと巻き返しをするようになってから、隠しているつもりなんだろうけど殺気が漏れちゃっていたよ。おかしいとは思わなかったのかい?君が漏洩した情報で死んだり、捕まった仲間が誰一人として存在していない事に」
スイゲは驚き、そしてヤーノを睨みつけながら奥歯を強く噛み締めて拳を強く握りしめていた。
「…それじゃあ、俺は初めから騙されていたということか」
「いや。正確には僕が合流してからだね。ずいぶん情報を流していたようだね。そのおかげでアドラからは信用を得ているようだったしね。今回は貯まったツケを払って貰ったと言う所だね」
そう言ってヤーノは一瞬にしてスイゲの懐に飛び込み、鳩尾に短槍の石突で突き入れながら、体を回転させて延髄へ肘を入れると彼はそのまま地面に伏して気絶をする。
「君の母と弟妹、そして一族が170年も償ってきた贖罪を一気にダメにしてしまったんだ。それなりの罰は覚悟しておくんだね」
倒れたスイゲに背を向け、短槍をホルダーにしまいながらヤーノは呟くのであった。
―――――――――
昼時になったというのにコーワンの中央広場や、市場に疎らな人族と露店があるのみでほとんど閑散とした状況であった。
いつもならば、漁から帰っって来た猟師やその関係者、各地から商談に来た商人、食材を買いに来た主婦、魔大陸への観光できた旅行者なのであふれており、活気に満ちた場所であったがアドラ軍の占領により兵士たちは当たり前のように財貨を奪い女を犯し、人をさらっては奴隷として売り飛ばしたりと略奪の限りを尽くしており、ほとんどの住民は領外の村や町へと避難していた。
それでも空は青く海は穏やかなベタ凪で、アドラ軍さえいなければ平和な時を刻んでいるだけなのであったが、"ゲリラ軍が港の軍施設を今日にでも襲撃する"という情報があり、いつもの5倍の兵で3個大隊の約4800名で警戒をしていた。
鎧が擦れる金属音だけが響いている中、突然爆発音が5回連続で領都内に響く。
兵達は「ついに来たか」と警戒を強めて槍や剣を握り直し音のした方向を見るが、近辺の施設に煙の上がっている場所はなく、不思議に思いつつ彼らは辺りを見回していた。
「やられました!!軍施設襲撃の情報はガセです!ただいま領主城が襲撃を受けています!」
馬に乗った伝令兵が警戒に当たっていた軍団長へと報告を挙げていく。
「くそ!してやられたか!本命は領主城か!今あそこの兵は通常の半分で400名しかいないぞ!みんな!急いで城に戻るぞ!」
「使徒だー!使徒ヤーノが倉庫群に現れたぞー!」
部隊長は城へと戻ろうとした時、東側に勇者が現れたという報告も聞こえてきた。
すると城と南側の軍施設から爆発音があり、爆発の煙から飛び出して建物の屋根伝いに走り去るヤーノの姿を見る事が出来、その後を追うようにして勇者と思われる人影が2人飛び出すのだった。
「くそ!資材倉庫をやられたか!ええい!使徒は勇者に任せて第3大隊は消火と警戒に当たれ!残りは城へと急いで戻るぞ!」
そうしている間にも再び城から数回の爆発音が聞こえており、城からいくつもの黒煙が上がっているのが見えたので、軍団長は飛空場と港に1個大隊の約1600名ほどを残し全員城へと向かい始めたのであった。
しかし、城に向かう彼等は気づかない。
城は直接攻撃されておらず、攻撃を受けたのは城壁内にある暖房や、調理用の薪が置いてある燃料庫と近衛が使う宿舎と修練所内の火薬倉庫、そして城壁隣の軍宿舎と修練所の火薬庫と燃料庫のみですでに作戦は終了し、ゲリラ第1部隊は軍港へと向かっている事に気づいていないのである。
火薬庫は名前の通りアドラ軍が持ち込んだ鉄砲や大砲用の倉庫であり、一度燃え上がれば大音量と共に一気に燃え上がる炎で錯覚。
次に燃料用とする薪等は7000名にも及ぶ兵達と城内には最低でも500名は詰めているはずで、春とはいえまだ寒く、その毎日の燃料の量は膨大であり一度燃やせば煙が尋常ではない。
そして軍の宿舎は布団や書類がわんさかおいてあり可燃物の山であり、これまた燃やせば煙と炎が大量に上がるので遠く離れた位置から見れば、前者を合わせれば城が襲撃を受けたと錯覚するのも無理はない。
ヤーノは戊辰戦争時の白虎隊のエピソードを利用した陽動作戦で見事海岸方面の兵を釣ることに成功したのであった。
つまりは城には一切の被害を与えず、最小限の設備破壊で最大の被害を演出したのであった。
最後に爆発して間もないはずなのに即座に来た伝令もゲリラ部隊の変装した兵で、爆発音で緊張が最高潮に達した状況で重要施設の襲撃を伝えて思考を停止させ何の疑いもなく城へと向かわせて、鼠人族の情報を逆手に取ったヤーノの勝利であった。
「まてえええ!このおおお!」
芝和歌子は〈高速飛行〉で南門へと逃げるヤーノを追いかけながら〈ウィンドカッター〉を展開し続けていたが、すべて弾かれるか避けられてしまっており、高速飛行にもかかわらず追いつけない事と、なかなか有効打が当たらない状況に半ばキレ気味になっていた。
「ワカ。打ちすぎ。魔力温存考えて。」
園田美穂は冷静になるようワカコを諭しながら、ヤーノに斬衝を放つ。
ヤーノはまるで後頭部に目がついたような動きをしており、逃げながら勇者の攻撃をことごとく躱していた。
しばらく逃げていると南門からコーワン城へと延びる幅500mのメインストリートいつくと2人に向き合いながら槍を構える。
「使徒!いや謀反の勇者ヤーノ!女神の祝福を汚し、人族を裏切った魔族の手先め!覚悟しろ!」
「今までのようにはいかない。今回こそ私たちが勝つ」
「正直言って無理です。君達は今の状態ではどうやっても勝つ事は出来ないよ」
勇者ミホはローグインで魔族に巻き返されているとの報告で膠着状態にある南方遠征から魔大陸への援軍要員としてコーワンに上陸し、ヤーノと対戦したが、一度も勝つ事が出来ずにいた。
勇者ワカコと組み、魔道と刀術を組み合わせての攻撃でも勝つ事が出来なくて、雪深くなった年末から春までもう一度修行に明け暮れることにし、ついに刀術のレベルがカンストすると新たなスキルを4つ取得に成功した。
もちろんワカコも修行を重ね、龍族に匹敵する魔道を取得し、雪解けを待ち再びヤーノと対峙する事となった。
その後ミホとワカコに少しばかり遅れて勇者鈴本宏が合流もしており、最新兵器の性能テストを兼ねて勇者たちへ支給されていた。
「くらえ!《瞬雷の槍》」
「"縮地""神速の居合"」
勇者ミホはヤーノのように一瞬で彼の懐まで移動すると、肉眼ではとらえる事が出来ない素早さの居合切りでヤーノを縦一閃に斬りつける。おそらく切られた本人は斬られた事すら分からず、ただミホの聖刀が光っただけに見えたに違いない。
そして勇者ワカコはヤーノからミホが離れるのを確認した直後に、人種では使えないはずの雷龍が使う魔道で3本の雷が収束した槍を展開すると同時にヤーノへと突き刺さると、まるで雷が落ちたような音と共にヤーノの上半身が爆散してしまって下半身だけが残っていた。
「「やった!倒した!」」
勇者ミホとワカコはヤーノを倒す事が出来たという手応えを感じ、思わず声をあげて喜びを露わにしていたが、ヤーノの立っていた場所を見ているうちに笑顔は消えて再び武器を構えなおすのだった。
「ケホッケホッ……なるほどね。ステータスシステムにも枠を超える力があるということなんだね。ミノルから造ってもらった鎧に傷がつくとは大したもんだ」
2人の勇者が斬りつけ、魔道を展開した場所には多少の煤けた姿をしたヤーノがおり、ミノルの鱗で作られた鎧には左肩から右わき腹にかけて斜めの傷がついており、刺さったはずの個所は少々焦げているだけだった。
「そんな馬鹿な…確実に縦に真っ二つに両断したはずなのに」
「私だって龍の体さえ貫く雷の槍で仕留めたはずがどうして…」
2人とも構えは崩してはいなかったが、驚きを隠せないでいた。
「さすがに頭の守りはないから避けたけど、結構衝撃は来ましたよ。それに魔道だってすごいよ。鎧がなければ死んでいたかもしれないよ。でも残念だったね?この鎧は僕の盟友が作ってくれた特別製の鎧でね。古龍種じゃないと貫けない代物だよ」
そういいながらヤーノは身に着けた鎧に視線を移して、それをなでながら勇者に語るのであった。
「だったら私達が身に着けている鎧と同じものではないか!私達のだってドナクレアの魔龍から造られた龍鱗の鎧なんだぞ!」
「それは龍の死体から剥ぎ取った物でしょ?残念だったね。僕のはね、本人が自分で剥ぎ取って自分で魔導を練りこんで作ってくれた鎧なんだよ。君達の鎧とでは比べ物にならないんだよ」
2人の勇者が身に着けているのは金色に光る龍の鱗でできた鎧だが、確かに鎧から発せられる魔力が桁違いであった。
「さて、そろそろ僕のターンで行かせてもらうよ?君達の刀技と魔道は素晴らしかった。でもね、僕だって死に物狂いで学んだ槍術があるんだ。まだまだ君達には負けられないんだよ後輩達よ」
ヤーノは笑みを浮かべながら、両手に持つ短槍を合体させて長槍と化した武具を構えだすと、その姿に圧倒され2人は一歩下がってしまうが、気丈にも腰をさらに落とし迎撃に備えるのであった。
「いくよ?」と告げるとヤーノはミホとワカコに襲い掛かる。
ミホがスキルの"鉄壁"と"受け流し"を発動してヤーノの攻撃を受け、捌いているとワカコは2人から離れて魔法と魔道を展開してヤーノへ攻撃するがいとも簡単に躱されてしまい、逆に反撃されて強力な衝撃波が彼女を襲う。
ヤーノの激しい攻撃にミホは徐々に圧されて来ており、ワカコの補助魔法も焼け石に水の状態で、勇者の2人は反撃もできずにいた。
「くそ!このままでは!」
「ソノッチ!待ってて!いまよ!どいて!」
そう言いながら、ワカコは空間収納から何か取り出してヤーノに向けて行動を起こす。
すると5発の発砲音にヤーノは驚き即座に魔法障壁を5重に展開し、銃弾を受け止めるのであったが、なぜか5重の障壁は破られて鎧に一発だけ当たってしまうが幸いにも銃弾を弾く。
「連続の発砲音?……っ!これは火縄の玉じゃない!まさか!」
障壁で受け止められ、勢いを失って地面に転がる銃弾は、丸い火縄用の弾ではなく現代の地球で使われている銃弾のような形状をしており、それを見たヤーノは銃弾が発射されたワカコの方角を見て、その手に握られた銃に驚くのであった。
「機関銃?いや、この銃弾の大きさは、アサルトライフルか!おまえらM16なんてどっから持ってきた!」
実際、彼も持ち込もうと思っていろいろと勉強して着ていたが、現代地球の日本では入手は不可能で、猟銃だけは持っていたが、ミノルとの約束で魔法袋に死蔵している状態であった。
その隙をついて続けてミホも空間収納から銃を取り出すと、ヤーノに向けて発砲するが、今度は7重の障壁によって受け止められるのであった。
「あぶな!コルトガバメントか?いや、この弾の大きさは…デザートイーグルか!おまえら50AEまで!」
その時ヤーノは戦慄してしまう。
自分だけならばなんとか対処は可能であったが、まさか火縄だけではなく地球の現代兵器までは気が回っておらず、対処法を知らない他のゲリラ兵はいとも簡単に殺されてしまい、作戦の失敗どころか全滅の可能性を予想してしまいヤーノは2人の捕縛を断念し、踵を返して軍港へと向かうのであった。
「くそ!もう飛行船が来ている!軍施設は…破壊したようだな。急がなきゃ!無事でいてくれみんな!」
ヤーノは後ろから魔道と斬衝を放つほか、銃でも撃たれてはいるが障壁と見切りでかわし続けながら、行く先に見える軍港の状況を確認しながら急いで向かう。
ゲリラ部隊の中には第3夫人のアリサと第4夫人のジュリアが参加しており、正直言うとヤーノは仲間たち無事を祈ってはいるが、それ以上に妻の無事を祈るのであった。
あと500mほどに近づいて来た所で、飛空船が上空でとどまっているのを確認でき、そこから竜人らしき人が3人船から飛び降りてきているのをヤーノは確認した。
「まずい!よりにもよって竜人か!仕方がない!まだ貯まりきっていないがメーフェ様の息吹を使うしかないか!」
ヤーノは呟きながら、奥の手を使おうとするのであった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
休みが取れたのに疲れが取れず寝落ちしておりました本当にごめんなさい。
次の更新は明日になります。




