表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

ヘルメス商会にて

遅れてすみません

ダーリ男爵邸が炎に包まれた夜。

三つの影が、街の裏通りを駆けていた。


「なぁ、いい加減説明しろよ!」

アーサーが声を荒げる。

「人ん家燃やしておいて、なんでケロッとしてんだ!」


ルミナスは首をかしげて小走りのまま言った。

「だって、あの人悪いことしてたんでしょ?終わらせただけだよ。 」


「いやいや流石にやりすぎだろ!」

アーサーが呆れ顔で怒鳴ると、後ろを歩くルークスが小さく笑った。

「まぁまぁ、ルミナスの“止め方”はいつもああなんですよ。」


「いつも!?」

アーサーが絶叫する中、ルミナスはしれっと言葉を続けた。

「でもね、あれでも昔よりは加減できるようになったの。前は町ごと――」


「それ以上言うな!!!」

アーサーの怒鳴り声が夜空に響く。


やがて三人は、月光に照らされた白い建物――ヘルメス商会本部にたどり着いた。

ルークスが先に門を押し開け、振り返る。

「さあ、入ってください。ここなら騎士団も手出しできません。」


中に入ると、大理石の床と暖かな灯り。

アーサーは緊張した様子で辺りを見回した。

「……で、なんで俺まで連れてきたんだ?」


ルミナスは椅子に腰を下ろし、紅茶を注ぎながら言う。

「え? だってアーサーくん、困ってたでしょ?」


「だからって、知らない奴にいきなり助けられても信用できるかよ。」

「うーん、じゃあ仲良くなるために一緒に紅茶飲もう?」

「話噛み合ってねぇ!!」


ルークスが苦笑する。

「ルミナス様、少し落ち着いて説明を。彼はまだ状況を理解していません。」


「そっか。えーとねアーサーくん、私はルミナス・エテルネル。オリンポス魔法学園の生徒会長なの。

 強いって言われてるけど、まだまだ修行中。」


アーサーは眉をひそめる。

「学園の生徒会長? そんな偉そうな奴が、なんで俺なんか助けた?」


ルミナスは少し考え込み、ぽつりと呟く。

「……君、あの時、泣いてたけど…誰も諦めてなかった。

 そういう人、放っておけないの。」


アーサーは一瞬言葉を詰まらせるが、すぐに顔をそむける。

「……お人好しめ。」


ルークスが二人を見比べながら、真面目な声を出した。

「アーサー、ルミナス様は君を学園に推薦したいと言っている。君の魔力には未知の可能性がある。」


「推薦!? はぁ? 俺、学校なんてごめんだ!」

アーサーは即座に拒否した。

「俺は強くなんかならなくていい。もう誰にも関わりたくねぇんだよ!」


ルミナスは紅茶を置いて、まっすぐアーサーを見る。

「それでも、君は強くなれるよ。だって、あんな時でも人をかばってた。」


「……っ」


沈黙が落ちる。

やがてルークスが時計を見て低く言った。

「そろそろ行きましょう。騎士団が来る。」


ルミナスは立ち上がり、少し笑ってアーサーに手を差し出した。

「とりあえず、一緒に逃げよ? それから考えよう。」


アーサーは一瞬だけ迷い、ため息をついてその手を取る。

「……めんどくせぇ女だな、お前。」


「え? 褒められた?」

「褒めてねぇ!」


三人は夜の街へと消えていった。

新しい物語の始まりを連れて――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ