残虐のスープ
今回は描写が『かなり残酷』です。
魔法という物を、使ってはいけない方法でコンボさせています。
変なトラウマにならないよう、心しての閲覧をお願いします。
ちなみにこの物語はR15相当です。
規約に従い閲覧制限は間違ってないと思いますが、間違っていた場合はお手数ですが紙じゃない方のメッセージください。即時対応します。
異世界「カルスレーン」にある人間たちが住む首都の上空から、全長30m級の円錐型の氷柱が降り注ぎ始めたのは、ほんの数分前のことだった…
それは首都の特徴であり象徴である数百本の塔をなぎ倒しながら降り注ぎ、首都の地面に満遍なく巨大なオブジェのように突き刺さった。
その数ゆうに「数千本」
落下する巨大な氷柱に貫かれた建物があちこちで崩れ、倒壊する。
突然の災害に驚き逃げ惑う人々の頭上にも無慈悲に降り注ぐ巨大な氷柱は、直撃した者の頭から足までを貫いて骨の混じった肉片に変えるばかりではなく石畳にぶつかった衝撃で飛び散り、鋭い氷の破片は周囲の人々の身体を容赦なく貫いた。
地面に刺さりきらずに倒れた氷柱は、それが倒壊する先に運悪くあった全ての物を、一切の区別なく自前の大重量で押しつぶして粉砕した。
いつもの幸せな昼食を知らせるはずの「塔の鐘」は、すでにそのほとんどが地面にたたき落とされ、かわりに逃げ惑う人々の怒号と悲鳴と嗚咽が首都全体を包み込んだ。
そんな状況の中で運良く生き残った者も、透明な氷柱が粉砕した物を強制的に見せられることになる。
透明な氷柱の下で、頭蓋が粉砕された血まみれの人間が破壊された物と混ざってつぶれている姿が、街のあちこちで嫌が応にも目に飛び込んでくる状況に、気が狂い始める者も出始めた。
「ねぇ知ってるラズ?人間が塔を建てるのは、高い位置にいる方が偉いと思ってるからだよ」
「…知ってる」
氷柱が降り注いだことで大混乱に陥っている首都を、一望に見下ろせる高さの上空に「ラズ」と「フィー」の姿があった。
「あっそ」
ラズの回答に少しいらっとした顔を見せた銀髪の少女フィー。
彼女が手に持っていた杖を掲げると、彼女の周辺に再び大量の巨大な氷柱が召喚され、それらは再び首都の広範囲にわたって降り注いだ。
いくつかの塔が残されていたが、次いで降り注いだ氷柱になぎ倒された。
「しかしこの世界の人間は何考えてるのかしら…。人間のくせに空に行こうなんて神様のつもり?勘違いもいいところね。人間は人間らしく地面に這いつくばってなさい!」
フィーの手によって召喚された大量の氷柱が降り注ぎ終わる頃、カルスレーンの首都には大量の氷柱が乱立し、まるで氷で作られたハリネズミのような無残な状態になっていた。
「…次は…焼く…」
「ええ、シフトするから数秒待ちなさいね、ラズ」
そう言うと、フィーは杖を握りしめて集中し始めた。
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「ぎゃあああああああっ」
人々の阿鼻叫喚が響き渡る街の中、氷柱の落下する轟音が止んだことを確認すると、少年『ロベリア』は両手で押さえていた頭を離し、周囲を見渡して絶叫した。
先ほどまで一緒に食事していた街の仲間たち、魔道学校の友人たちが、粉々に粉砕されて氷と混じって散らばっていたからだ。目の前には、先ほど自分を突き飛ばして降り注ぐ氷柱から助けてくれた先生の頭部が半分つぶれた状態で転がっていた。
数分前まで生きて笑っていた人が、まるで切れた糸と共にミキサーで破砕された「あやつり人形」のように、すり潰された部品単位で散らばっている。
地獄のような状況を目にした少年は
自分のいた日常が終わりを告げられたことを理解した。
「たすけて…」
かけられた声の方向を見ると、口と飛び出した目から血を流しながら、見知らぬ少女が手を伸ばし、ロベリアに向かって必死に助けを求めていた。
だが、砕けた氷柱の巨大な塊に胸の下まで潰された状態では、もはや助けようがない。
自らの胴体が吹き出す自分の血の海のなかで、数秒で彼女は息絶えた…
ロベリアが地上の惨状から目を背けるべく空を見上げると、「2人の誰か」が空に浮かんで首都を見下ろしている姿が見えた。
その片方が手を上げると、空中に大量の氷柱が出現する。
その大量の氷柱は、彼のいる場所とは別の方向に降り注いでいった。
「あいつらが…やってんのか…なんで…なんでだよ…ふざけんな…」
自分が何も出来ずに殺される側に回ってしまったことを理解したロベリアは、震える声でそう言うとその場に座り込んでしまった。周囲には大気中に散り飛んだ人間の内臓の臭いが、氷柱の着弾時に巻き起こされた土埃と共に充満し始めていた。
「早くこっちにおいで!」
突然、ロベリアの後方から恰幅のいいおばさんが走ってきて、座り込んでいる彼の手を掴んで立たせると、そのまま手を引っ張って近くにあった建物に向かって走り出した。
「周りを見ちゃだめ。逃げるよ!早く!」
ロベリアは言われたとおり目を閉じると、助けに来てくれた見知らぬおばさんに引っ張られるまま建物の中に逃げ込んだ。
逃げる間に何かを踏んだが、それを確かめる余裕はもうない。
ロベリアはもう、この地獄から逃げることしか考えられなかった。
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「はい、シフト完了」
「…仕上げ…る…」
ラズが両手を広げると彼の周囲に大量の「黄色い光を放つ球体」がいくつも出現した。
「…『キュポラ』」
「はい、よく出来ました」
フィーがニヤリとした顔でラズを誉めると、ラズは開いていた両手を握る。
その直後、黄色い球体は次々と「青色」に変化して直径10m以上に巨大化し、さらに熱を増した。まるで太陽のようになった巨大な熱源が首都の周囲に向かって散らばり、各地で上空から首都を熱し始めた。
「調理の時間だよ」
地面に刺さっていた大量の氷柱が一斉に溶け始めると、大量の水が首都にあふれ始めた。大量の塔が建てられるほど堅牢な地盤と石畳のために水は地面にあまり地面に吸収されず、といって首都を囲む巨大な城壁の外に水が出ていく様子がない。
そう、フィーが氷柱を降らす前からとっくに、排水路と城門を氷で塞いでいたのだ。
近くにいた人間ごと。
氷柱によって粉砕された大量の物が溶け込んだ水は、首都内の建物が生み出す複雑な流れによってかき混ぜられ蒸発によって濃度を増し、気持ちの悪いどす黒い液体になって城壁の内側に溜まっていく。
それを見た生き残った人々は、急いで高い場所や建物の中に避難した。
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「上に逃げるんだよ!早く!」
逃げ込んだ宿屋の1階に流れ込んできた泥水が湯気を上げ始めたことからその変化に気づいたおばさんは、ロベリアと共に建物の階段から上の階に逃げ始めた。
「なんだ!熱い!なんでこんな泥水が!?」
「助けて!扉を開けて!!」
1階の部屋に取り残された何名かが、熱湯と化していく泥水に茹でられて悲鳴を上げ始めていたが、もう助けられない。
「いいから、逃げるんだよ!」
ロベリアとおばさんは一気に最上階に駆け上る。この建物(宿屋)にいた他の客数名も、急いで階段を駆け上った。
しかしその間も、熱せられていく泥水がボコボコと沸騰し悪臭を伴ったどす黒い湯気を発生させ、逃げようとする人々を襲った。100度をゆうに超える蒸気が呼吸を阻害し、衣類で守られていない部分の皮膚に火傷を発生させる。
もはや氷柱に倒されずに街の中に残った建物は逃げ場ではなく、
生き残った中の人間を蒸し焼きにする調理器と化していた。
しかもラズは、効果が切れかけている「キュポラ」を新しくするついでに、温度が下がりきる前に泥水の中に捨てる。
3000度近い温度を持った塊が泥水に触れたことで水蒸気爆発が起こり、その際、泥水の中に含まれていたたくさんの破片が爆音と共に飛び散り、その破壊力は周囲の建物を軽く吹き飛ばし倒壊させた。
「あ…あ…あ…あああ…」
最上階に到着したものの相次ぐ爆発に対する恐怖のあまり怯えるロベリア。
「大丈夫だボウズ、助かるからな」と、同じ最上階に逃げていた宿屋の主人が、金庫の中に入れられたロベリアの頭をぽんぽんと叩く。
さっきまで金庫に入っていた札束や資料は、宿屋の主人によって外に投げ捨てられ、代わりに大量の毛布とクッションがロベリアの周りに詰め込まれた。
金庫の扉を閉めようとするおばさんの服を必死に握るロベリア
「早く離しておくれ。私たちはだいじょう…」
おばさんの言葉が終わる前に建物のすぐ近くで大爆発が起こり、直後に彼らのいた部屋の壁と窓が一斉に吹き飛んだ。
衝撃でロベリアは金庫ごと吹っ飛ばされ、その勢いで金庫の扉が閉まった。
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「やっぱり料理はきちんと『綴じ蓋』しないとね?」
フィーはそう言うと、下に向かって杖を掲げた。
呪文を唱えると、首都を包むドーム型の『大気の防壁』が出現する。
「…『スクラス』…」
次元断層系魔法最大の防御魔法スクラス。
それはあらゆる物を通さない、勇魔専用の球体型防御魔法でもあったが、対象を閉じ込めることで一切の抵抗を無力化するという使い方も出来た。
そう、その抵抗には「熱」や「大気」も含まれる
それをフィーは下に向けてずらし始めた。
首都を覆うスクラスの作る半球体が地面に押しつけられると共に、内部の大気が圧縮されて圧力が上がる。
首都の中で湯気を上げる泥水は気圧増加により沸点が跳ね上がり、熱せられた大気は散らばらず、『キュポラ』の供給する熱でさらに高温となり、スクラスの作るドーム内にある物全てを低温で焼き始める。
「耳が!頭が!痛い!助けて!たすけ…げ…がぁ」
「俺の腹が…破裂っ…うぼえ…ぁ」
「ぎゃああああああっ」
中にいた人は気圧で鼓膜が破れるばかりか、気圧で絞られた手足の血流が一気に内臓に集中するために、腹部で大量出血を引き起こしていた。
脳や心臓の血管が破裂して倒れる人も続出した。
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「熱い!開けて!あけてっ!!!!!」
暗闇の中、必死に金庫の扉を内側から叩いて押すロベリアだったが、外部の圧力が高くなっているために扉はびくともしなかった。
大気の熱が金庫の外側から伝わり、内部は高温のサウナ状態になる。
「おばさん!みんな!たすけて!助けて!!」
必死に脱出を試みるが、やがてロベリアは酸欠を起こし…気絶した。
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「そろそろいいかなぁ~?」
「…容量、無理しない」
フィーが魔法を解除すると、首都を包んでいた気圧が一気に下がる。
「調理完了。料理の出来る私って女子力あると思わない?」
「せめて…食べれらるものに…して」
ラズが指さす足下の首都は、水分がなくなりボコボコと沸騰する赤黒い泥に包まれていた。
もはや建物の大半は崩れ、その周囲には建物から逃げようとしていた沢山の人々が倒れていた。
「…しかし、さすが『次元断層系魔法』ね。消費コストが馬鹿にならないわ」
ラズの突っ込みを無視して、フィーは持っていた杖にはめ込まれた「光る石」を見てため息をついた。
「一度『戻りましょう』か?ラズ」
「帰る…了解…」
そう言うとフィーは懐から「銀色の鎖で首がつるされた妖精」を出す。
片足が失われ、片手が腫れ上がった痛々しい姿の妖精を、フィーは空中に作り出した魔方陣に容赦なく押しつける。
魔方陣が割れ、かわりに「次元航行用のゲート」が出現した。
「そろそろ『コレ』も限界ね?代わりを手に入れましょう。もう汚いし」
「…殺しては…だめ…」
「わかってるわよ。心臓と頭だけにすることはしても、殺しはしないわよ…代わりが手に入るまでね」
壊滅的な被害と共に、もうもうと膨大などす黒い煙を上げるカルスレーンの首都を後に、
2人はこの異世界から姿を消した。
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それから数時間後の夜
この星を包む「輪」が黄色から赤の光を放ちながら空高く星空を横断し、
2つの赤い月が空に静かに姿を表す頃
気圧が下がり冷却されたために開いた金庫の扉と、その隙間から入ってきた夜の風に頬をなでられ、ロベリアはゆっくりと目を開けた。彼の身体は金庫の中に敷き詰められた大量のクッションと、爆破の際に偶然にも金庫の下に積み重なった大量の瓦礫に守られていた。
扉を開けて静寂に包まれた外にゆっくりと踏み出す。
あたりは暗く、まだ悪臭がこもっていた。
瓦礫の山を降りると、ぬかるんだ地面がある。
「だれか…」
「だれかいませんか?」
「だれかいませんかー!!」
暗黒に閉ざされた周囲に呼びかけるも、彼の周りからはなんの反応もない
だが、そのかわり
まるで彼の呼び声に答えるように、雲の隙間から2つの月が一斉に顔を出した。
今日は満月だった
2つの満月の光は彼の足下にある、ぬかるんだ地面の正体をあらわにした。
それは、鉄のような悪臭のする赤黒い泥の沼
生物の部品と内臓と骨が泥の流れによって混ぜられかき集められた
死肉の集積場だった
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああががががががああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
彼は目の前のあまりの惨状に喉が張り裂けるほど叫んだ
背中に走る寒気と身体を震えさせるほどの恐怖が止まらない
本能が危険を警告し、心臓が破れそうな速度で鼓動を刻み始める。
そんななか、彼の脳内に不意に、
空から氷柱を街に投げつけた
「2人の誰か」の姿が浮かんだ。
恐怖が一巡りしたあと、今度は彼の腹の底から
彼自身が信じられないような「ドス黒い感情」が沸き上がってきた
「あいつら…ろして…やる…
…殺…してやる!
殺してやる!殺してやる!!殺してやる!!!
絶対に
絶対にあいつらを殺してやるっっっ!!!!!!!」
ロベリアの平穏だった日常は
彼と共に生きていた沢山の人たちは
膨大にして莫大な瓦礫と死体の中に消えた…
そう、
彼の
正気と共に…
もう一人の主人公ロベリアをよろしく!(オイ
首謀の小説が読めるのは小説家になろうだk(<殴!




