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第1話 その1

怪物の外見は随時pixivに上げていく予定なので、気が向いた方は気軽に「蒲竹等泰」で検索をお願いします!

『速報です。本日未明、神織第二総合病院にて爆破事件が起こりました』


6月のある日の朝は、そんなニュースから始まった。


『この2ヶ月で相次ぐ爆破事件との関連も視野に入れて捜査を進めるとのことです』


「うわぁ、物騒だなぁ……っと、やべ、そろそろ行かないと」


俺はテレビに表示されている時刻を見て、

食パンを牛乳で流し込み、リュックを背負う。


「……っと、身だしなみ身だしなみ」


玄関の鏡で髪を直し、

Yシャツの襟も正し、

ドアを開ける。


今日は待ちに待った日。

普段は柔道部の朝練だの、委員会の仕事だので忙しい明子(あきこ)と、

久しぶりに一緒に登校できる日。


絶対に遅刻するわけには……


「うぉっ」「おっと」


その思いから勢いよく家を飛び出した俺は、

ちょうど戸を叩こうとしていた人物とぶつかってしまう。


「おー、すみません進(すすむ)くん」


ぶつかった衝撃で転ぶ俺に、相手がそう謝罪しながら手を差し伸べてくれる。


その声で相手が誰なのか気がついた俺は、


「いえ……こっちこそすいません斗陸(とりく)さん」

「おはようございます」


少し恥ずかしく思いながら、彼の手を取って立ち上がる。


「はい、おはようございます」

「荷物は大丈夫ですか?」


「あ、はい、大丈夫です」

「中身も大して入ってないんで」


俺は拾い上げたリュックの汚れを払いながら、


「朝から来るなんて、初めてですよね」

「何か用事ですか?」


斗陸さんに尋ねる。


「ん……あぁ、そうそう」

「お父様、棟新(とうしん)の奴はいますか?」


「父さん?」

「朝拝の準備中だと思うけど」

「……あ、もしかして用事って父さんに?」

「なら、できれば朝拝後にしてほしいんですけど」


朝拝まで時間はある。

話をする時間がないわけじゃない。

だけどこの人と父が話を始めると長いんだよな……

もし話があるというのなら、朝拝後の方が良いだろう。


「朝拝ですか……終わるのは何時ごろで?」


「えっと……朝拝が終わるのは10時頃ですかね?」


「10時……さすがに2時間以上もここで立って待つわけにもいきませんね」

「一度、帰るとしますか」


それを聞いて悩む斗陸さんを、ぼーっと見ていると、


「なら、上がって待ってろよ」


「うわ!?」


背後から、突如父さんが彼に声をかけた。


「気遣いサンキューな、進」

「でもなんで玄関で立ち話なんてしてるんだ?」

「明子ちゃんと一緒に登校すんじゃなかったのか?」


父さんが俺の背中を痛いくらい叩く……と、


「……おや?」


斗陸さんが不思議そうに首を傾げていた。


「今日、待ち合わせをしていたのですか?」

「私が家を出たとき、あの子は既に玄関で身だしなみをチェックしていましたが……」


「え?!」


俺はその言葉に驚く。


「やば……待ち合わせの時間、間違えてたかな?」

「ちょ……俺、もう行きますね!」


「おう、行ってこい!」


「えぇ、娘をよろしく」


走り出す俺に2人は手を振ってくれる。


俺は近道をするため階段を使わず、神社の裏手、雑木林を駆け下りる。


「よっと……!」


フェンスを飛び越えるため木によじ登ると、カラスの巣が頭に乗ってしまう。


「っと……ごめんって!」


鳴き声を上げながら襲いかかってくるカラスを払いながら、巣を木の枝に下ろす……と、


「なんだこれ?」


巣の中に何かが入っているのに気がついた。

カラスが好きそうな銀色で、キラキラ光るカードのようなものだ。


「……」


そのとき俺は、そのカードに妙に目を奪われていた。


いや、それ自体はなんてことのない代物だった。

なのに……それを見ていると鼓動が速くなる。

緊張と物欲……両方が同時に刺激されるのを感じる。


どう見てもただのおもちゃ。

見るからに安っぽい。

なのに目が離せない。

欲しい……


「……って、やばいやばい!」

「ぼーっとしてたら約束に遅れちゃう…!」


ていうか……え、嘘だろ?

今俺、明子との約束を一瞬、忘れてなかったか?


「こんなんで……?」


やっぱり気のせいじゃなくて本当に何か凄いものかも?

もしそうだったなら、なんかの話の種にでもなるかもしれない。


こういう話題、明子も好きなはずだ。


「………悪いけどカラスくん、これ貰ってくね!」


俺は襲いかかってくるカラスたちを払い、

その銀色のカードを巣から引き抜く。

フェンスを飛び越え、とりあえずそれをポケットにしまって待ち合わせ場所に走り出した。


そんな俺を木にとまったカラスたちは、

不自然なほど静かに、

鳴くことも羽ばたくこともせず、

しかし鋭く睨みながら見送るのだった。



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