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第20話 選択
高台は、研究所から、さらに半日、坂を登った先にあった。
海を見下ろす、岬の突端。
風は、強く、塩の匂いがした。
足もとの草が、ざわざわと、一方向に、なびいている。
眼下に、水没した街の屋根が、青い海に洗われていた。
初めて目覚めた日の窓から見た景色を、今は、上から、ひと目で見渡せる。
石段が、岬の先へ、続いていた。
その先に、小さな石造りの建物が、ひとつ。
壁は、風雨に削られて、丸い。
扉は、固く閉ざされている。
私は、石段の、手前の一段で、足を止めた。
「凪さん」
渉も、立ち止まった。
澪が、少し離れて、立った。
何も言わずに、待っていてくれた。
「……少しだけ、聞いてほしいの」




