第57話
2人で錬金術をしたら経験値も2倍!……などということはなく。
どうやら錬金術スキルは2人同時に発動できない模様。
しかも分裂してるとパラメータが半々になっちゃうようで、失敗率は倍。
なんという罠! ストーリークリアしたとはいえ、パラメータ半分では……!
「失敗しちゃった……一番簡単なポーションなのに……お姉ちゃんなのに……」
「大丈夫だ、むしろ薬草で失敗して良かった。『初めての錬金失敗!』の実績報酬貰えたからな」
「ふぇぇ。ごめんなさいぃー! お姉ちゃんなのにぃ!」
というわけで、分裂して手分けして作業はできなかった。残念。
改めて合体して錬金術をやっていこうね。
自動成功みたいな畑仕事なら大丈夫かなー。
「ところでトリアは2人目との接触調査はしたかぉ?」
「ああ。でもミーティちゃんは参考にならないかもな。体の中にずぶずぶ手が入ってったし」
「ああ……スライムだったぉね、ミーティちゃん」
アルトはアルトでニカちゃんを撫でまわしてみようとしたようだが、頭と手足以外は弾かれたらしい。
ただし。
「やっぱり戦闘訓練中なら結構緩かったぉ。お尻ペンペンもできたぉ」
「何!? したのか、ニカちゃんのお尻を!?」
「いやボクがされた方だぉ。何も悪い事してない子のお尻は叩けないぉ?」
じゃあお前は一体どんな悪いことを……ああ。接触調査という悪だくみしてたね。ボディを提供してるアルトちゃんはとんだとばっちりだな。
「……またあのお店行きたいぉね。ペンペン誘ってみんなで行くぉ!」
「そうだな。今度は6人で、か」
「2人目の子達はお留守番でいいと思うぉ」
『精霊様、何の話ー?』
「何でもないよミーティちゃん。な、アルト?」
「そうだぉー」
ちなみにミーティちゃんの発言設定はホーム内フレンド可になっているので、光輪状態でもアルトと会話ができる。
アルトちゃんも会話に参加できるわけだが、大人しく黙ってるなぁ。
「というわけでおススメはジュードーだぉ! カラテだと打撃だけど、ジュードーは投げ技と寝技! 接触しないと始まらないヤツだぉ!」
「なんという下心。ペンペンにジュードー着作ってもらおう」
「研究中の水着にも期待だぉね。とりあえず布やら皮やらを色々差し入れしよ」
俺も防水布とか錬金術で作れるかやってみるか……あ、クラフト系だからペンペンはとっくにやってるかな。
『精霊様! あたしジュードーやってみたい!』
「なぁ、スライムにジュードーって出来んのかな???」
「ミーティちゃん関節決まらねぇし掴んでもつるんと抜けられそうだぉね。ちゃんと骨まで擬態してたら別だっただろうけども……」
「絞め技は強いぞ。研究員の頭包み込んで握ってパーンってしてたから」
「それ絞めてねぇぉ! 潰してんだぉ! 握撃だぉ!!」
酸で溶かしながらだから、それほど圧力はかけられてなかったが。
「ミーティちゃんはミーティちゃんのジュードーを極めろってことだな……」
『わかった! ジュードーがんばるね!』
「いやいや、ジュードーって言ったらそっちの人に怒られるヤツだぉ。せめてスライムバリツとでも言っとけぉ」
『バリツ?』
「なんだそりゃ、スライムはともかくバリツって」
「有名な探偵キャラが使ったとされる架空の格闘技だぉ。元ネタはジュードーと近いものらしいぉ?」
へぇ。アルトは物知りだなぁ。
「必殺技は丸呑みや突き刺し、消化なんだが、それでもいいと思う?」
「もはや格闘技ではなくねぇかぉ? スライムにおける生身の戦闘術って考えたら大きなくくりでは格闘技とも言えるけども」
「まぁスライムって付いてるし、言ったもん勝ちだな」
『スライムバリツ! スライムバリツ!』
ミーティちゃんも気に入ってるようだし。
「そういや、ニカちゃんはどんな攻撃手段を持ってるんだ?」
「基本ブン殴りだぉね。とりあえずメイス使わせてるぉ。筋トレをずーっとやってて、武器屋があるような環境でもなかったから道具はほぼ素人。精々筋力に飽かして殴りつける程度からだぉ」
「その攻撃力のほどは?」
「ボアの突撃を正面からホームランできるぉ」
わぁ強い。
「さすがにエレメンタリオン、あの大亀は無理だろうけど、子亀なら殻割れるんじゃないかぉ? 店売りのメイスが壊れなければ」
「メイスもペンペンに作ってもらえば? 材料探して持って行ったらいいんじゃないか」
「メイスの材料となると、やっぱ鉱石かぉね」
いっそただの鉄の棒とかでも十分かもしれないね。




