第17話
『冒険者ギルドに着いたのかぉ! で、早速Eランク昇格と』
「ああ。子亀でレベル上げ過ぎたかな、ゴブリンだと瞬殺でさ。ボッだぞ、ボッ」
『まぁ低いよりはいいぉ?』
「それはそう。このゲーム死んだらロストだしな」
翌日、俺は早速同僚とゲームの話題で盛り上がっていた。
「ちなみに町の名前はツードンってところなんだけど、同僚のいる町もそこ?」
『いんや、別だぉ。こっちはフリレーンって町だぉね。合流は遠そうだぉー』
「そっかぁ残念。あ、フレンドコード渡しとくよ。すっかり忘れてたんだけど」
『ぉあ! そういやコッチも忘れてたぉ! これはしたり! あとで登録しとくぉー』
チャットで保存しておいたフレンドコードを送っておく。
『あ。そういやボクセル表示なんだけどぉ?』
「おう、やってみた? アレはアレで中々味があるよな」
『なかったんだぉ』
「なかった? え、そんな馬鹿な」
はて、と首をかしげる。うちでは確かにコンフィグから選択しボクセル表示にできた。記憶違いではないはずだ。
『……でもな、Lv15にあがったら出てきたんだぉ』
「は? え、どういうこと?」
『まさかのシステムにレベルキャップ? 謎ゲーすぎるぉw』
「ええー、なにそれ初めて聞いたぞそんなシステム。どうなってんだよ」
そういえばペンペンもLvは15だと言っていた。スタートがランダムで、レベルアップで解禁。ビジュアルの種類が増えるってことか?
現状を整理するとそういうことだろうか。
『ゲームが進むとやれることが増えるのはよくある事ではあるけど、グラフィックとかでは初めてだぉ』
「ん? そんなにある事だっけ?」
『ストーリー進めると強化解禁とか、拠点をゲットしたら拠点の模様替えシステムが使えたりとか、そういう感じのはあるぉ?』
「言われてみれば確かに」
『でもグラフィックの種類でキャップかけるのは意味不明がすぎるぉ!』
「それはそう」
意味不明が過ぎるのだ。確かに。
「戦闘時のスクリーンショットをアップしてたよな? だったらボクセル表示でスタートしてるペンペンみたいな連中がなんか言っててもおかしくないと思うんだが」
『あ、Wiki見ると「ウチのと全然違う。別ゲーのスクショですか?」ってコメントがついてたぉ』
「あ、居るんだ」
『そしてそいつのアップしたスクリーンショットはSDキャラによるコマンド戦闘式だったぉ』
「…………???」
訳が分からん。SDキャラ? コマンド戦闘式? RPGの?
「そいつが普通に別ゲーのスクリーンショット上げただけじゃないのか?」
『それが、他にも何人かはSDキャラで「うちの子可愛いから見て」してたんだぉ』
「同名の別ゲーやってんじゃないか?」
『うーん。検索してもそれらしいのは出てこないんだぉ。ただ一つ言えるのは、Wikiがますます混沌としてる、ってコトだぉ……』
同じゲームをやっているはずなのに、違うゲームが始まっている。
それはなんというか……その、えぇっと。
「AIのGMが、ゲームシステムもそれぞれで構築してる……ってことか?」
『同僚氏ナイス! 鋭い指摘だぉ! その可能性は十分にあるぉ!』
「もはやどういうゲームか分からんなそりゃ」
『事前情報でゲーム内容の情報がほぼなかったのもそれが要因だったのかもだぉ?』
AIでシナリオ毎にゲームシステムから構築しているなら、そりゃ情報出せないわな。どんなゲームになるか分からないんだもの。
むしろそこを売りにできそうな物だけど、『カイト・ア・ルイセ』の運営は何も発表していない。
……商売やる気あるのだろうか?
「ん? となるとペンペンは箱庭スローライフなゲームをしているのに、3DアクションRPGな俺と同じ世界で一緒に冒険もできてる、ってことだよな。ゲームが違うのにそういうのは成り立つってどうなってんの?」
『高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に行き当たりばったり?』
「無茶苦茶が過ぎる。どうなってんだそりゃ」
『最近のAIってすごいぉねー。まぁ、いくつかテンプレートはあるんじゃないかぉ? 同僚氏、プログラマー的にはどうなんだぉ?』
「え? そうだなぁ……」
相互インターフェース部分だけちゃんと作っておけば、わりと違うゲーム同士でも連携がどうにかなるんだろうか? クロスプラットフォーム、とは違うよなぁ。
あ、いや。まてよ?
「仮想世界をひとつ用意して、それを各々切り抜いてそれぞれのゲームのフィルター、ガワをかぶせる形ならどうだ? 俺らは3Dアクション、ペンペンはほのぼのスローライフ、WikiのSDのはRPG。そういうガワ」
『それで説明がつくのかぉ?』
「ゲームの種類が混在しても同じワールドで一緒に遊べる点については、一応?」
『おぉー』
「でもそもそもゲームの種類が混在している理由はマジで説明がつかん。3Dアクションだけでいいだろ……RPGってどうなってんだ?」
『謎だぉ……あ、Wikiの「謎」項目に追加しとくかぉ!』
それが良いんじゃないかな。情報が少なすぎてサッパリが過ぎるし。
シナリオが各々ユニークでバラバラなだけじゃなく、ゲームシステムもバラバラとは……
『もしかしたら、将来的にはボクらもほのぼのスローライフゲームがプレイできるようになるかもだぉ? 具体的には生産職解禁とかで』
「うーん、でもウチのトリアに生産スキル盛る余裕が無いんだよなぁ」
『情報が古いぉ同僚氏! なんと、早くも2人目を解禁した人がいるんだぉ!』
「2人目? ロストして、ってコトじゃなく?」
『だぉ。タクロウ氏ではなく、ちゃんと生きてて2人目だぉ。そのアルル氏曰く、「2人目を雇ってキャラメイクしたわ! いっぱい稼ぐわよー!」ってコメントだったぉ』
へぇー。2人目。そういうのもあるのか。
「ん? ちょいまち。雇ったってどういうこと?」
『……また別のゲームなのかもしれないぉね?』
Wikiのコメントについては、俺もあとで見ておこう。
とりあえずそろそろ仕事に戻るかぁ……あんまりサボってたらお給料減らされちまうからな。




