第106話
王子の目的の部屋。そこはなにやら医務室を彷彿とさせるSFチックな部屋だった。
というか普通に入口のプレートに「医務室」と書いてあった。
「手記の通りだ!……読める、読めるぞ!」
「あ、これ現地人読めない設定なんだ?」
「普通に医務室って書いてあるぉね」
「っすよねー。■■語っす」
プチノイズ入ったが、まぁ俺達には普通に読める言葉だった。
ゲームだからね。なぜか読めるもんだよね。多言語化対応もしてそう。
そして、輪っかがいくつか転がっていた。どうやらこれ、マハリクさんとこの部下達の光環に似ている。光ってないけど。
「……そ、そうか、精霊憑きであれば読めるのか……」
「まぁ、多分?」
「では折角だからここの読みを教えてくれないか?」
「ん、どれどれ?」
王子に指さされた箇所を見ると、そこには『スキル補助システム追加オプション』と書かれていた。
「私の研究では、『随伴してスキルを助けてくれる者を召喚しない』、だな。手前の四角が否定を意味しているもので」
「なるほど、スキルを補助するシステムを追加するオプションらしいな。これは処置前にチェックをいれといた方がよさそうだ。ほい」
「……あ、うん。この四角、触ることで肯定と否定を切り替えができるのか。なるほど。助かる」
「とりあえずいい感じにやっとくかね。えーっと、他のオプションもそれっぽいの入れとくね」
「……とても助かる」
パッシブスキル抑制システム追加オプション、これはまず間違いなく必要だろう。王子のスキルを抑えないといけないからな。
「トリア、あとこいつを王子の頭にセットするっぽいぉ」
「あ、それやっぱり頭にセットするんだ?」
「マニュアルが落ちてたぉー。ほら王子、さっさとそこに横になれぉ。ボクはさっさと用事を済ませて探索したいんだぉ」
「う、うむ」
大丈夫? そのマニュアルとかメカ光輪、時間経過で劣化してない?
まぁ動力は分からんけど灯りも付いてるし、施設的にも動いてるし、このレベルなら人体にセットする前に自己チェックとかするだろ……
「じゃ、スイッチオンだぉーーー!」
「き、緊張するなこれは……ふぐっ、お、ぉ、ぉ!?」
診療台の上にあおむけになった王子。頭を固定され、なにやら機械がとりついて……あ、寝た。ゴーグルから催眠映像でも流れたかな?
そして寝ている間に処置を行って完了、と。へー、生体電流と魔力で動くから充電不要のスタンドアローンでいいんだ。ハイテクじゃん古代文明。
と、処置が完了したようで機械が王子から離れた。
「お、終わったみたいっすね」
「王子お疲れー。……お、光輪浮いてるな」
王子が体を起こすと、その頭の上には白く光る光輪があった。
……なるほど、これはNPCの精霊憑き化。しかも男でも使える、と。
とはいえ、無茶苦茶メカっぽい。これはこれで古代文明のメカキャラということになるんだろうか?……アリだな!
「私は……むむ、なんだこれは。視界に何か映っている。む、消えた」
「お。メニューか何かが表示されたんかな?」
「あれ邪魔だと思ったら消えるっすからね」
「地味に必要な時に出て来るのは便利だぉね」
「メニュー……メニューというものなのか、これは。古代文字か?」
ARとかMRとかそういうのを知らない王子からしたら、見慣れない文字や線が視界にある感じなのか。
……音声入力でいけるかなぁ?
「王子ー。スキルの調整できそう?」
「わ、分からん」
「あ、マニュアル見るぉ。……王子、多分最初はこの画面が出てると思うから、まずは利用規約を読み飛ばしてOKするぉ!」
「り、利用規約? 契約ということか? いやこれでも王族なのだ、そういうものを読まずに契約はできないぞ」
「うるせぇ契約しろぉ! こちとらお前ほっぽって探索に行ってもいいんだぉ!?」
「……わかった、では契約内容を最低限確認する、その間は探索に行っていていいから」
「いってくるぉー!!」
次の瞬間、アルトは探索に出かけた。
……俺も行ってこようかな。行ってきていいよね?
「頼む。どちらかは解読を手伝ってほしいのだが」
「あー、仕方ないっすねぇ。じゃあ私が付き合うっすよ、トリア氏、私の分も探索しといて欲しいっす」
「オッケー。面白そうなものがあったらペンペンの分も確保しとくね」
そういうことになった。
さーて、俺も古代遺跡を探索じゃーい!




