第三十九話 ウインドドラゴン登場
一行は更に進む。
テツ「おい、まだ着かねえのか?もう3日だぜ」
キノ「それにしても、ここが空の上だなんて、信じられないねぇ」
オト「ほんとだぜ。どこまで広いんだ?このアルカディアってやつは」
レイラ「あの山を超えればまた天空人の集落がある。そこが目的地だ」
サキオ「また山越えでやんすか」
レイラ「このアルカディアには、前と後ろがある、お前達が来た、"世界樹の出入り口"は後ろの方だ。前方のあの山は大体アルカディアの真ん中辺りにあって、あれを超えれば低い山々と平地が多くなる。主に人々が暮らしてるのは前方のほうだ」
ソラ「ヘェ〜」
サキオ「不思議でやんすねぇ、追放された大地が前に進んでるんでやんすねぇ」
テツ「そもそも浮いてる時点で不思議だけどな」
オト「大地の神エザフォスか。龍の神ってのは封印されてるんだよな」
キノ「おや、オト。あんたがそんな事言うなんて珍しいねぇ」
オト「いや何となく思ったんでさ。伝承が本当にあった事なら、何処に封印されたのかってな」
テツ「そうだよな、実際アルカディアだってこうやって浮いてる訳だし、現実味あるよな」
にゃん吉「ふむ、ここまでは確かに伝承通りじゃな。そう考えると、やはり何処かに封印されてると考えるのか普通じゃろ」
テツ「それじゃぁ封印場所行ったら、神様に会えるって事か」
ソラ「なんか願い事叶えてくれそうだね」
ティア「ふふふふ、叶えてくれたら全て解決ですね!」
レイラ「何を戯言を…」
テツ「レイラ、お前はノリが悪いな」
レイラ「悪かったな、ふんっ」
………………………………
更に一日が経ち、
一行はレイラが指した山を越え、
ついに目指す集落に近付いていた。
レイラ「もうすぐそこだ」
テツ「なぁ集落ってのはあちこちから煙が上がってるもんなのか?」
レイラ「煙?」
にゃん吉「何か様子が変か?」
レイラが突然走り出した。
あっという間に見えなくなってしまう。
テツ「あ!おい!」
にゃん吉「いきなり血相変えて行きおったわい」
サキオ「さすが龍人でやんすね」
ソラ「追いかけた方が良いよね。先に行く!」
ソラも一気にレイラが消えた方角へと走り去る。
にゃん吉「我々も行くぞ!」
………………………………
天空人の集落。
その集落の中心と思しき広場の真ん中辺りに、
人々が集められ、座らされている。
30人くらいいるだろうか。
その周りには10人ほどの刀を持った者達が囲んでいる。
「これで全員か?」
囲んでいる一人の男が横の男に声をかける。
声をかけた男は、
大柄で筋肉質、
髪は短髪で緑がかった銀髪をしていた。
手には大振りな刀を持っている。
「はい、これで全員かと思われます」
「よし、ではこれよりスカイドラゴン共をあぶり出す」
そう言うと男は集められた人々に向けて言った。
「よく聞けお前たち!この中に10年、お前達を騙して来たスカイドラゴン共がいるはずだ。死にたくなければ差し出すか、スカイドラゴン共は名乗り出ろ!」
ざわざわ
「庇っても良いが、碌な結果にはならないぞ」
集められた人々の中に、
俯いている二人の男女の姿があった。
歳の頃は30歳くらいだろうか。
周りの男達に聞こえないように、
密かに会話をしている。
男「10年、今まで気付かれなかったのに…」
女「あなた、ここはもう」
男「最後まで抵抗するさ、俺達は66番目の系譜番目の系譜なんだ。何とかなるさ」
女「でも、この人達が…」
男「誰も殺させない…」
男は立ちあがろうとする。
と、その時、広場の外から声がした。
外套を被った男と、その男に手を掴まれた、
小柄なエルフの少女だった。
男「まだ一人居たぞ!」
男はエルフの少女を、
囚われている集団の中に入れた。
テツ「ティア、頼んだぜ…」
ティア「ふふ、迂闊ですよ」
そう、テツは周りの男達の仲間のフリをして、
集められている集団の中にティアを送り込んだのだ。
ティアは少し集団を見渡し、
ある男女に目を止める。
先程ヒソヒソと話していた男女だった。
ティアは迷わずその男女の元に行き、
小声で囁く。
ティア「こんにちは、助けにまいりました」
男「君は……?」
ティアは少しイタズラっぽい表情を浮かべ、
人差し指を口の前に立て囁く
ティア「しーっ、ふふふ、少しお時間を下さいね」
ティアはそう言うと、
詠唱を始めた。
ティア「リーター テオ アモス フィーリア シール プロスターシア エマタ…<風の神アモス その友愛と慈悲で、災いから私たちをお守り下さい>」
男「それは…古代語か?」
「おい!そこ!妙な真似するなよ!」
ティア「ふふふ、もう遅いですわよ、<バーリア>」
ティアがそう言うと、ティアを中心に光の輪が広がって行く。
光の輪は、囚われた集団を囲み、そこから半球の形になり、集団を包んだ。
テツ「今だ!」
テツが叫ぶ。
ソラ「とりゃぁああ!」
レイラ「貴様ら!許さんぞ!」
サキオ「失礼するでやんすよ」
オト「恨みはねぇが、切り捨てごめんだぜ」
剣士四人組が一斉に包囲してる男達に飛び掛かる。
グアっ
ぐえっ
へでぶっ
次々に無力化される包囲網たち。
男「くそっ結界だと!?古代魔法ではないか!?」
レイラ「食らえ!」
レイラが男に切り掛かる
ギンッ
男も刀を持ってレイラの剣撃を止めた。
レイラ「貴様!アモネス!裏切り者め!」
アモネスと呼ばれた男は、
刀をもう一つ、左手に持ち、レイラを跳ね返す
アモネス「ふん!」
レイラ「くっ」
アモネス「ソイルドラゴン如きが、ウィンドドラゴンの俺に叶う訳ないだろ」
そこへソラが来た。
ソラはフードをかぶっている。
ソラ「じゃぁスカイドラゴンならどう!?」
そう言ってソラはフードを下ろした。
アモネス「お前は!スカイドラゴン!そこに居たか」
レイラ「ソラ!余計な事をするな!こいつは私の敵だ!」
アモネス「ふんっ。生意気なソイルめ。スカイドラゴンの小娘、姿を見せたが最後だ、後で相手してやる」
それを集団の中から見ていた、
ティアと一緒にいる夫婦が言った。
女「あ、あの女の子は!?」
男「あぁ、間違いない、我らスカイドラゴンの系譜だ」
女「じゃ、じゃぁあの子は!」
男「いや、待て、ソラと呼ばれていた。多分違うだろう…」
女「そう…」
女は俯き、悲しげな顔を浮かべる。
その間に、包囲していた男たちは制圧され、
残るはアネモス一人となった。
アネモス「ふんっ役立たずめ」
レイラ「貴様、何故裏切った!」
アネモス「あのお方には誰も逆らえん。貴様も分かれ愚か者が」
そのやり取りを見ていたにゃん吉
にゃん吉「彼奴がウィンドドラゴンか。二刀流とはの」
レイラ「愚か者は、お前だろーーがぁああ!」
レイラが切り付ける。
アネモスは左の刀でそれを受け、
右で攻撃してくる。
レイラがそれを受ける。
高速で剣撃のやり取りが始まった。
ガキッ
キキキンッ
ビュッ
ギンッ
サキオ「これが龍人同士の戦いでやんすか」
オト「すげーな」
テツ「ふんっ俺の方がすげーぜ、なんせ俺はあのスカイドラゴン様から一本取ったからな」
サキオ「くすぐっただけでやんしょ」
オト「ドヤ顔やめろ、気持ち悪い」
テツ「ぐぬぬぬ」
ソラはと言えば、
レイラに加勢して良いものか迷っていた。
どうしよ、ちょっと押されてるよね。でもソラが加勢したらこの人怒りそうだしなぁ。
かと言ってレイラさんが勝てるとは思えないんだよねぇ。
レイラ「くっ」
アネモス「どうした?そんなものか?そろそろ本気で行くぞ!」
にゃん吉「それにしても、部下達が全滅だと言うのに、彼奴め、動揺しとらんな」
ティア「みなさん、そろそろ結界が解けます。安全な所まで逃げて下さいね。テツさん!」
テツ「おう!まかせろ!」
テツ、オト、サキオ、キノは、
レイラとアネモスの戦いに巻き込まれないよう、
集められた集団を守るような陣形を取る。
結界が解けた。
集団が避難していく。
ティアと一緒にいた夫婦は、
その場に残った。
女「ソラという子、あの子…」
つづく




