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僕の彼氏はただのショタ  作者: 神門芽羅
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第一章 恋に落ちた少年

学校終わり、スマホに通知が来ていた。クラスメイトの松谷からだ。

普段は学校で話すのに突然trang(トラン(SNS))で送ってくるなんてなんだろう。

通知を開いてみると、それは動画だった。

ビーチで所謂チャラ男数名がナンパをしている。女性が1人OKしたようだ。なんなんだこの動画は。

男女はホテルの部屋に入る。まさかこれって…

怖くなった僕は、すぐに動画を閉じた。



―「なぁ西戸、昨日のやつどうだった?」


突然送り付けてどうだったもこうもあるか。

「どうだったってそんな…いきなりあんな動画送りつけてくんなよ」

「そうか、そんなにか…分かった、放課後とっておきのやつ送るからさ!」

「いやいいって、ちょっと?松谷くん?」

彼はもう僕の話なんか聴いていないようだった。


とにかく、そんな松谷と離れたくて廊下をふらついている。特に行くあてもないので、階段を上って下りて廊下を通っての繰り返しだ。

ふと校舎の外を見ると、隣の校舎にもたれかかっている生徒を見つけた。背が小さいので小学生と間違えたが、すぐにここが中学校であることを思い出した。

どうせ暇なんだから誰かと話そうかなと思い、僕は彼に近づいた。


「ねえ、いま大丈夫?」


彼が僕の問いかけに反応してこちらを向く。

低い身長、それに似合う小学生のような可愛い顔、そして髪をよけていないため片方隠れた目。

考えるより先に口が滑ってしまった。


「え、めっちゃショタ…」




「は?」

ショタの彼が怪訝そうにこちらを見ているが、その顔もたまらなく可愛い。


しかし僕はすぐに自分の発言が混乱を招いたことに気づき、

「いや、あの…」と言葉を濁した。


「それで、なんなんですか?」

このビジュアルで声まで可愛いとかもうチートじゃないか!と思いながら話を続ける。

「あ、そうだった。ちょっと暇でさ、君も暇そうだったから話しかけてみたんだけど…」

「そうだったんですね、でも僕コミュ障だからあまり喋れないですよ」

「そうだったんだ、じゃあごめんね。」


「まって。」

早々に去ろうとする僕を彼が引き留めた。

見ると、彼は恥ずかしそうに目を背けながら制服の端を小さい手でつかんでいる。

「もうちょっと…ここにいてください。」


(可愛い可愛い可愛い可愛いかわいいかわいいかわいい…)

初めて理性の糸が切れた感覚がした。頭からプツーンと音が鳴ったような気がして、僕はその場に座り込んだ。

そんな僕を見て慌てている彼に、またもや口が滑ってしまった。


「結婚……し…て下さ……い…」


彼は慌てるのをやめ、もう一度別の意味でパニックになった。

「どういう…えと、僕でよければ…いや何普通に答えてんだ?…」

僕はまたもや自分の発言で混乱を招いたことに気づいた。



そんな2人を見守るかのように、学校中のスピーカーが一斉に昼休みの終わりを告げた。

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