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この世界の設定

 俺の転生した世界は、俺が過去にプレイしたシュミレーションゲームである。

 魔法と剣の世界であり、主人公は前王の弟の息子、という設定だ。

 十年前に崩御した前王には娘が二人しかおらず、そのために前王の妻方の甥が国王に即位している。

 現王のバーデットは前王程のカリスマは無いが、義理堅く真面目で国民一番に動く王として国民には人気がある存在だ。


 しかし、彼には王家の血が一滴も流れていないことが問題なのだ。


 そして、皮肉にも王家の血が流れていないからこそ生き残れ、混乱を収める者として王に即位させられたともいえる。


 早い話、女王になりたかった前王の娘のメディアが、自分の邪魔になりそうな王家の一族郎党を悉く殺しまわったのだが、暗殺リストから抜けていたバーデットが王弟の息子である主人公や俺が中の人なメディアの姉の娘であるヴィヴを助けて守ってしまったのである。


 その功績でバーデットが王様になれたということだ。


 その時にメディアは国外追放の憂き目に遭うが、諦めない彼女はその十年後に自分が嫁いだ先であるモーランド国の兵士を連れて強襲して来るのである。


 ゲームの物語は騎士見習い程度だった主人公がメディア軍と戦い、彼女の唆しでバーデット王から離反した貴族達も粛正し、そして、アウローラ王国の王となるというものだ。


 どうして主人公が神殿に匿われていたヴィヴを誘拐したのかは、ヴィヴが住まう神殿がメディアの兵に襲撃される報を聞いたからであり、前王の孫という血統のヴィヴと婚姻を結ぶことでメディアの「王族の血を一滴も引かない王位簒奪者から国を救う」という大義名分を潰せるからだ。


 クエストを全て達成した主人公は、ゲームのエンディングを迎えるが、エンドロールでは王となった主人公と美しき姫との幸せそうな結婚生活のハッピーエンドムービーが延々と流れたりもする。

 プレイした当時の俺は感動さえもしたものだ。

 美人の嫁さんと幸せで良かったね、と。


 が、現時点での俺は、ここは分岐で用意されているバットエンドの一つを目指して行こうかと考えている。


 銀色にも見える美しく輝く灰色の髪に水色の瞳をした美少女だろうと、おわん型の丸みのある形のいい乳房を持っていようが、中の人である俺は女性が好きな男の人でしかないのだ。

 転生した自分の身体が第二次性徴を迎えた時には気恥ずかしさを感じてしまった事もあるが、男性の裸を想像して欲情してしまった事など一度もなく、それどころか、毛深い指先で腕を撫でられたら即行に相手に対して殺害行為を行ってしまいそうなくらいなのだ。


 俺の娘に何してくれる!系の怒りだ。


 しかし、ああ、このゲームは洋ゲーじゃなくて和ゲーだから、男連中は女性ゲーマー向けに毛深くなくて煌びやかさ。

 だがな、俺はされる方じゃなくてする方でいたい前世の記憶こそ強いのだ。

 前世で全くすることも無かったがな!


「はあ。絶対にバッドエンドだ。カルがサブヒロインと結婚して、聖女ヴィヴは神殿に帰る、というバッドエンドを目指すのだ。」


 俺は自分に言い聞かせるようにして独り言ちた。

 このエンドの場合、エンディングラストで主人公が暗殺されてしまうが、俺は自分の身が一番可愛いのだから仕方が無いだろう。

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