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それぞれの戦い(エーゼル) 42

(……我の方も準備を進めておかねば)


次々と鳴り響く爆音を耳にしてエーゼルは風の精霊を神殿の中へと飛ばして中の様子を確認する。


里全てを巻き込む自爆を決行する前にどのぐらい聖樹の内側に入れたのかを確認しておかなくてはならない。


精霊の目を通して見えた光景は予想していたものではなかった。


(どういう事だ!?何故、全員が外に居て、作業も進めていないのだ!?)


誰が中に入るかで揉める事は考えられる事態ではあるが、どうにもそういう様子ではない。


(聖樹に既に結界が展開されている?しかも嫌に整った結界だ)


精霊の目から見た光景に面倒事の気配が感じられる。


結界を展開出来る知識と技量を持つ存在を順に思い浮べて、起こり得る事態を想像するとどれも良いものではないのだけが確かだった。


「チッ……!」


(どうにも嫌な予感がする。確かめねばなるまい)


エーゼルからすれば全く良い予感がしない。


エーゼルは近くに倒れていた神殿部の長の襟首をやや乱暴に掴んで引き上げる。


彼女の口から『ぐえッ……!』と苦しそうな声が漏れるが気にしていられる状況では無い。


最悪の場合を想定すると、彼女の手が必要になる可能性が高い。


そう判断してのことだ。


引き籠もりではあってもそれなりに長生きしているし、術の扱いにも長けているのは確かなのだ。


聖樹の管理を主な仕事としている神殿部だ。


聖樹に関わる事態であれば一番頼りになる。


「え!?ちょっ……何!?」


「行くぞ、舌を噛みたくなければ少し黙っていろ」


「行くってどこへ……ひゃあッ!?」


見た目が中年に差し掛かっているエルフの女性の口から可愛らしい声が漏れる。


全力の身体強化による疾走。


米俵を抱える様に肩に抱え上げる所謂お米様抱っこ状態だ。


「神子様どちらへ向かっているのでしょうか?」


「聖樹だ。どうにも厄介な事になっているようだ。お前の力が必要になる可能性が高い」


「私に出来る事であれば如何様にも。微力を尽くさせて頂きます」


「やけに神妙な態度ではないか」


臆病な彼女らしくもない殊勝な言葉だ。


「私だって、彼らのあの姿を見て何も思わない程枯れてはおりません。確かに彼らとは仲が良いとは言えない間柄でしたが、それでも共に長い時をこの里で過ごした輩なのですよ……」


命を賭した彼等の行動は彼女の心を動かしたようだ。


「行くぞ。彼らが作り出してくれた時間を無駄にしない為に」


「はい」


神殿の奥にある聖樹へと向けてエーゼルは駆ける。



「何が起こっている!時間が無いので簡潔に説明しろ!」


聖樹の前、人だかりの前に辿り着いたエーゼルの第一声はそれだった。


「長老衆です!長老衆が聖樹の虚の中を占拠し内側から結界を張って立て篭もったのです!」


答えたのはペレサだ。


非情に分かり易い答えだった。


「恥知らずのドチクショウ共がッッ!!」


それを聞いたエーゼルは激昂した。


(クソが!あの時殺しておくべきだった!!)


そう思いはするがもう遅い。


時間が無いので放置してしまった因果が今巡って来たのだ。


長老衆のような害悪共が生き残り、守るべき者達が死に果てる。


それはエーゼルにとって決して許せない状況であった。


あまりの憤怒にエーゼルの中で何かがブチ切れた。


ズンズンとエーゼルが不機嫌さを全開にして聖樹へと向かう。


あまりの怒気に聖樹の前に出来ていたエルフ達の人だかりはエーゼルの進む先が割れていく。


真っ直ぐに進んだ先でエーゼルは聖樹の幹に触れた。


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