それぞれの戦い(シュラ) 4
さて、確認したい事は終わった。
であれば速やかに成すべき事を成すのみだ。
ティアリエやゴドリックの話を疑っていた訳では無いが先入観を持って相対すべきではないと思って話をしてみた訳だが……
見事な屑の集まりであった。
こいつらは人では無い。
ただの害獣だ。
害獣は駆除するに限る。
安全装置は既に外れている。
というか、目の前の連中が外してくれた。
『形状操作』を発動させて、自らの姿を変える。
「な、何だ!?」
俺の変化に一団に戸惑いの声が上がる。
俺の姿は金属質な輝きを見せる竜へと変貌していた。
一応、俺が遭遇した風竜を模したつもりなのだが、風竜は俺と違って全身金属では無いしカラーリングも緑系だったので大分違って見える。
一番近いのはモ○ハンのクシ○ルダオラだろうか。
夜状態……
光源の関係でグレーでは無く黒っぽく見える感じの時の。
「自ら畜生以下の存在に成り果てた害悪共に告げる。貴様らには人として戦うに値しない存在だと認識した」
仮にだが、上からの命令等で嫌々やっているとかだったら俺は人として戦おうと思っていた。
でも、そうではなくこの一団は非道とも言える行いを楽しむクソ以下の存在であった。
盛大かつ迅速に終わらせると決めた。
4つの足でしっかりと地面を踏み締め、長い首を真っ直ぐに伸ばして正面を向く。
そして、内在する全魔力を風竜玉に一気に注ぎ込む。
風竜玉が注ぎ込まれた魔力を増幅させて、風属性へと変換する。
「前方の正体不明の敵より高魔力反応!この魔力波形は竜種のものです!」
「何、竜だとッ!?」
今更、気付いた所でもう遅い。
こちらの準備は既に完了しているのだ。
「俺自身がこの身に受けた災害の如き圧倒的な暴虐をその身に刻むといい。『暴風息吹』」
キュゴッッ!!!
喉元で閉ざしていた遮断弁を開放し、体内で圧迫されていた膨大な量の風が首を通る事で収束されて口から一気に放たれる。
それは正に俺が2度も味わった風竜のブレスそのものであった。
全てを薙ぎ倒さんばかりの勢いの風の中に、無数の真空の刃が内在しているので直線状に居た全員が一瞬でミンチどころか血霧となるまで刻まれて消し飛ばされる様が見えた。
真ん中を貫かれて一団が左右均等に真っ二つに割られる。
一団の中心でふんぞり返っていた御輿の上に乗っていた男も一瞬で消し飛んだ。
それだけでは終わらない。
ブレスが続く間に俺は首を左右に振って、文字通り薙ぎ払う。
最初は右に振って、その後左と頭を一定の範囲で3/4往復させた後に残っていたのは、扇形に地面が大きく抉られた陥没だけであった。
生き残りは0。
竜の象徴とも言えるブレスは正に暴虐の化身であった。
先程まで居た1000人以上の一団は物も、肉片も何一つ形を残すことなく消し飛ばされた。
見た目はク○ャルダオラに近いが、やったことは殆どア○ムトルムの薙ぎ払いのソニ○クブラストに近い。
文字通りの一蹴、一掃である。
だが、無論代償はあった。
(内圧で全身のダメージが酷いな……『自動修復』無ければ自滅確定だな、これは)
ブレスを放つまでの圧力上昇で全身がボロボロで細かい亀裂が至る所に刻まれていた。
全身を駆け巡る激痛が酷い。
特に首の損傷が酷い、ただでさえ半端では無い反動のブレスを放っている中で首を振ったので負荷が凄い事になったせいである。
ダメージは酷いは酷いのだが、HP的には半分と少し削れた程度であった。
500mからの自由落下でまともなダメージを受けなかったこの躰に10万以上のダメージをもたらすとなるとそれだけの威力があったと察して欲しい。
ティアリエが『開戦したら一瞬で終わるまである』とゴドリックに言っていたのはこの切り札の存在を知っていたからである。
まあ、風竜玉の性能調査の時に色々と一緒に実験したから当然だ。
地面を『内部保存』してそのまま『自動修復』に回して消耗したHPとMPを全快させる。
そして、再度元の鎧姿に形状を戻して、念のために生き残りがいないかを探る。
特に地面を重点的に。
見ていた中で空に逃げた者は居なかったが、あれだけの人数だと土魔術などで地面に穴を掘って逃れた者が居たとしても見落としている可能性を否めないが故であった。




